北朝鮮を巡る様々な憶測~建国70年と主体思想から考える~
北朝鮮のICBM発射や核実験を巡り、日本は一時大騒ぎとなり、今もワイドショー等では北朝鮮を問題視するコメントばかりが流れている。10年以上も前から頻繁にミサイルを発射しては日本をおちょくっている様な振る舞いを見せているが、北朝鮮の真の目的は何なのか。
北朝鮮は本当に戦争を起こしたいのか?一体何を考えているのか?
◆北朝鮮を背後で操る者はいるのか
CIA・ネオコンが、北朝鮮の金成恩を背後で操っているという噂や、実はプーチンが北朝鮮を傘下に入れたという噂など、様々な憶測が流れているが、どれも事実ではない。北朝鮮は自分達の志を実現するために、利用できる者は何でも利用しているに過ぎない。そのためなら、ネオコンにも習近平にもプーチンにも接触する。
金日成による北朝鮮建国の精神に立脚して考えれば、現在の北朝鮮は、どこの誰にも支配されていない、自立した国家であることが見えてくる。(後述)
◆北朝鮮は世界で「孤立」しているのか~実はレアメタルの宝庫~
日本のワイドショーを見ていると、北朝鮮は世界中から疎まれている孤立した国家であるかのような印象を持ってしまう。実はこれがマスコミによる洗脳・刷り込みなのだ。実は北朝鮮は世界で166カ国との国交がある。逆に国交を断絶している国は26カ国と少ない。(ただし国交=仲が良いとは必ずしも言えないが)
また、北朝鮮は世界でも有数のレアメタル保有国であり、タングステンやモリブデン、コバルトをはじめ、兵器には欠かせない鉱物を多く生産している。主要鉱物は、石炭、銅、金、黒鉛、マグネサイト、亜鉛など約20種類。中でもマグネサイト(40億トン)は世界2位、黒鉛(200万トン)は世界3位、タングステン(16万トン)は世界6位の埋蔵量があると言われている。その潜在的価値は推定で約640兆にも上るとされる。各国がレアメタルを求めて北朝鮮と取引をしていても何等おかしくはない。
◆金日成の「主体思想」
北朝鮮は金日成の掲げた「主体思想」をもとに建国された。朝鮮半島の歴史は古くは中国王朝、近代では大日本帝国と長らく己より力を持つ国の支配下にあった。そのような被支配の歴史の中で根付いたのが、己より大きな者に従う「事大主義」である。この屈辱から脱し、何処にも属さずに自分達の生きる場所を築こうと立ち上がったのが金日成であり、それを広く民衆に根付かせた観念が「主体思想」なのだ。ちなみに、朝鮮出自の属国根性である事大主義は、今では日本の政治家・官僚に引き継がれていると言える。
この建国の歴史に同化すれば、北朝鮮がここまで核武装にこだわる背景が見えてくる。こちらより引用します。
そもそも北朝鮮がなぜここまで非難され、制裁されても核兵器を持とうとするのか、それは北朝鮮の立場にたてば氷解することである。韓国は緊密なアメリカとの軍事同盟がある。北朝鮮は現在のそのような協力な軍事同盟を大国と結んでいない。
アメリカは何度も北朝鮮に侵攻し、一気に体制を崩壊させようという計画が立てられたのは周知の事実だ。現在も侵攻する、とまでは言わないにせよ、朝鮮戦争での惨憺たる米軍の軍事攻撃による被害の記憶の生々しい北朝鮮が、なんとしても国家の存立、継続の手段として核を持つしかない、と考えたのはある意味、当然である。
それほど北朝鮮は国家の存続が危ういのである。北朝鮮の持っている国家存続の危機感は他国では容易に想像できるものではない。すべての根源が国家の存続への不安なら、唯一の解決策とはアメリカが北朝鮮の存続の保証を与える朝鮮戦争最終終結の平和条約を結ぶ以外にないことは明白だが、・・・堂々巡りで決直不能な面がある。北朝鮮の行った、ちょっと常識では考えにくい非道も、国家存続の危機感の裏返しと理解するべきであろう。
◆アメリカに対抗する力を得るという志の貫徹
このように北朝鮮を建国以来から脅かして来たのは、他ならぬアメリカであることは明白。そのアメリカに対抗する力を得ようと70年間、ひらすら軍備の増強を図ってきたのが北朝鮮であり金日成であり金正日であり金正恩なのである。驚くべきことに国民の1/3が軍人ということからも、その意志が国民にまで浸透し、一体化していることが分かる。
アメリカ本土にまで届くミサイルと、核の保有に成功した北朝鮮は、建国70年来の悲願を達成したのだ。テレビで流れた金正恩の喜びようは、祖父の代から続く志を実現できたという達成感であろう。前述をたどれば、それが狂気の沙汰ではないことが分かる。
◆北朝鮮の自立の意志から今後の世界情勢を観る
悲願を達成し、金正恩と国民が一体となった軍事国家である北朝鮮に、アメリカは勝つことは出来ない。
(参考)・アメリカは北朝鮮に負け続けているという驚愕の事実 ・日本人が知らない朝鮮人民軍に関する驚愕の事実
今、世界の主導はロシア・中国であり、プーチン・習近平・トランプに見られるように「民族自決主義」のもと各国が自立して存続していく在り方に可能性収束している。今後、米従を離れて自立し、ロシアと歩調を合わせる国家がさらに増えていくだろう。そういう意味において、北朝鮮の自立は、世界の潮流とも重なっている。図らずも世界に先駆けて民族自決主義を実現させたと言っても間違いではないだろう。
(by ken)
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nihon-syakai.net/blog/2017/09/7128.html/trackback