2019年11月12日

大激動スペインと欧州諸国の現在

11月10日、スペインで総選挙(下院定数350)の投開票があり、ペドロ・サンチェス首相率いる中道左派の与党社会労働党が第1党を守った。

この総選挙は4年間で4回目となる。今年4月の総選挙では社会労働党が第1党となったが過半数を確保できずにおり、連立政権樹立を試みるも、9月の期限に間に合わず失敗した。そのため、今回のやり直し選挙が行われたのが経緯。

この選挙で極右と言われる政党ボックス(Vox)が第3党にまで躍進した。

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10日の選挙結果は以下のとおり。

社会労働党 120議席(選挙前123議席)
国民党 88議席(選挙前 66議席)
ボックス 52議席(選挙前 24議席)
市民党 10議席(選挙前 57議席)

上記結果を見ても分かる通り、ボックスの議席が2倍以上になっていることが分かる。このボックスの主な政策はWikipediaによれば、不法移民やカタルーニャ州の独立に反対、カタルーニャ州の自治権の剥奪、キム・トーラカタルーニャ州首相の逮捕、同性婚の廃止、保護貿易の重視、農村部や伝統的行事である闘牛の活性化などを党の主な目標として掲げている。

カタルーニャ州の独立に反対を唱えてはいるが保護貿易を重視しており、民族収束の潮流を下敷きにした政党と言える。

■スペインにも極右の波

この総選挙でもっとも注目されるのは、ボックスの躍進だ。

スペインは、フランシスコ・フランコ軍事独裁政権の記憶がまだ新しい。そのため、過去10年間に欧州で拡大してきた極右ポピュリズムの波とは無縁とみられてきた。

しかし今回の選挙で、ボックスがスペイン政界における一大勢力となった。

フランスの極右「国民連合(RN)」を率いるマリーヌ・ル・ペン氏はツイッターで、ボックスの「驚異的な前進」を称賛。イタリアのポピュリスト政党「同盟」のマッテオ・サルヴィーニ氏もボックスの躍進を喜び、こうツイートした。

「人種差別やファシズムなどではなく、イタリアでもスペイン同様、私たちはただ自分たちの国で平和に暮らしたいだけだ」(こちらより引用)

注目すべきは、スペインは2015年以降、安定した政権が生まれていないことだ。近年は新党が次々と誕生し、多くの政党が乱立する状態になっている。今回の総選挙でも、左右両派とも過半数獲得には議席が大きく足りていない。おそらく今回も与党は連立政権樹立に失敗するだろう。

スペインは、民族自決主義の潮流がカタルーニャ州独立運動から始まった。今回ボックスの躍進は、カタルーニャ州だけではなくスペインそのものの自立と自決主義を加速していくうねりとなるだろう。フランス、イタリア、スペインの民族自決主義の潮流やEUを離脱するイギリスなど、欧州は今脱金貸しへと潮流が顕在化している。

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