2010年03月03日

『どうする 日本の社会』 ~私権闘争の終焉~

前回、『どうする 日本の社会』~社会の最基底部にある婚姻制~ では、
『父系制によって、生まれた私有意識が、蓄財意識へと変化し、終には略奪闘争によって、本源集団=母系集団を解体し、私有権を共認した私権統合社会=国家を築いた。』構造を明らかにしました。
 今回は、豊かさの実現によって、この私権統合が終焉を迎えていることを示します。
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画像はこちらからお借りしました。
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実現論 序文 より

’70年、貧困が消滅してゆく(もちろん先進国の話である)につれて、私権の強制圧力が衰弱してゆく。それにつれて、私権は第一義的な価値ではなくなり、人々はこれ以上、私権を獲得するためにあくせく働こうとはしなくなる。こうして労働活力が急速に衰弱してゆき、企業は私権(地位やお金)によって、人々を統合することが出来なくなってきた。

 貧困が消滅し私権が衰弱しつつあると言うと、「いや、自分はお金は欲しい」という人がいますが、「お金を手に入れるために、どれだけ頑張れるか。我慢できるか。」という点が、昔とは、全く違います。
 昔は、就職すると決まって身近な年長者から、「石の上にも3年。一旦就職したら、嫌なことがあっても、まずは3年間懸命に働いてみること」と言われたものでずが、今や、3年以内に退職する人の割合は、中卒で7割、高卒で5割、大卒で3割に達するということで、「七五三現象」という言葉が生まれているそうです。
 グーグルで、「石の上にも3年」で検索すると、『石の上にも3年。って良い意味なのですか?悪い意味なのですか?』と大真面目に質問している人がいて、私などは驚いてしまいます。
 一人前の(稼ぎのある)社会人になるためには、最低三年は辛抱して、頑張らなければならないという常識が通用しなくなったことが、企業がもはや私権(地位やお金)では、人々を統合することができなくなったことを如実に示しています。

企業だけではない。私権の強制圧力が衰弱したことによって、これまで私権の獲得を最大のエネルギー源にしてきた人々の活力が全面的に衰弱し、国家も、企業も、個人も、およそ全ての存在がもはや自らを私権に収束させることによって統合することが出来なくなってきた。実際、受験も就職も結婚も(これらは全て私権の獲得課題であるが)どれもが既に生命力もリアリティーも失っており、ただ制度的強制だけが残った苦役となりつつある。

 結婚も私権の獲得課題と言われると違和感を感じる人も多いと思います。
 しかし、『とにかく昔のようにいわゆる適齢期になれば、なんだかわからないけど自然に結婚できる、という時代ではなくなった。』という現実を受けて、最近「婚活」という言葉が話題になっています。
 これは、結婚が『生命力もリアリティーも失っており、ただ制度的強制だけが残った苦役となりつつある』という現実を端的に表しているように思います。

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こうして、個人も企業も国家も、全ての存在が目標を失い、フラフラと迷走し始めた。これは3千年に亙って社会を統合してきた私権原理が、終焉の時を迎えたことを意味する。

 若い人の間で、「やりたいことが見つからない」「自分探し」などと言われるようになって随分たちますが、今や、個人だけでなく、企業も、国家も目標を見失い、どこに向かえばよいかわからない状態が続いています。

そして私権原理が終焉の時を迎えたということは、失われた本源性が再生されてゆく大きな可能性が開かれたことを意味する。

 次回は、いよいよ、失われた本源性が再生されていく構造を明らかにし、具体的な実現例を紹介する予定です。

List    投稿者 tama | 2010-03-03 | Posted in 12.現代意識潮流2 Comments » 

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コメント2件

 知られざる人類婚姻史と共同体社会 | 2010.11.16 23:53

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