2008年02月19日

官僚組織体制の中国では、自主管理能力を持つ経営者は育たないのでは?

 現在、中国の経済発展が大いにとりだされ、北京オリンピックも目前であり、その成長は止まらないと言われているが、それは本当だろうか?サイトの中にはそこに対しておかしい・変だ・北京オリンピックで崩壊するといった声もあるが、マスコミの多くは中国賞賛の傾向が強い。
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 しかし、紙面で見たり、聞いたりする中国の原動力・成長力は、「労働力」という言葉しかあまり耳にしないし、他の要因は?というと、出てこない。他に要因が無ければ労働力が無くなれば終いであるはずだが・・・実際中国ってどうなの?
 最近の中国経済の中身、中国に進出した日本企業について「労働力」からアプローチしているブログがあるので紹介したい。
 株式日記と経済展望 ~
日本も中国も産油国もドルからユーロに換えて外貨を持つようになった
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中国の入管当局の発表によれば、1995年から2005年までの10年間で、中国側が強制送還した非合法入国、非合法滞在、非合法就労を意味する「三非人員」つまり不法入国・滞在・就労の外国人はのべ6万3000人だった。しかし、2006年一年間で、中国側が強制送還した「三非人員」は1万6000人にも及んだ。しかも、その数は猛烈な勢いで増え続けている、という。

これまで「三非人員」が目指す目的地は、ロシアと川を隔てるだけの黒竜江省、北朝鮮と隣接する吉林省や遼寧省からなる東北地区、ベトナムと陸続きの広西チワン族自治区、ミャンマーに隣り合わせの雲南省などの国境地域だったが、いまや労働力不足に悩む深?、広州など南方の大都市となり、密航ルートも香港、マカオ経由が急増しているという。

中国のメディアが報じた広州社会科学院都市管理研究所の黄石鼎所長の発言によれば、現在広州に6カ月以上の長期滞在をしている外国人がすでに5万人に及び、そのうちアフリカ出身者が2万人以上を占める。しかし、このデータには「三非人員」が含まれていないという。広州滞在の黒人は毎年30?40%増えており、「三非人員」を含めた総人数は20万人との指摘もある。

(中略)

日本から中国に進出している企業は2万社にもおよび、雇用している人数は920万人にもなるといいます。最近では中国マーケットを目指す進出企業が多くなりましたが、90年代から中国の安い労働力を目指して進出した起業が多かった。ところが最近は労働者不足が表面化して賃金の上昇が止まらないらしい。元もじり高だから中国に進出した企業の生産コストはかなり上がってきている。

韓国企業などは夜逃げする企業も出てきているほどであり、日本から進出した企業のほとんどは利益が上がっていないようだ。中国に進出した企業には香港から本土に工場を移した程度の企業もあれば、アジア各地を点々としてきた企業もあるだろう。しかし多くの企業は日本国内の工場を閉鎖して中国に工場を作ってきた。

親会社の中国進出に伴って中国に進出せざるを得なかったのでしょうが、最近は親会社が国内に工場を回帰させている。マスコミやエコノミストの言うことは無責任なものが多いから痛い目にあっている企業も多いことでしょう。最近では香港と本土との関係も逆転して香港ドルのほうが安くなっている。

最近は円は米ドルと連動性が強まって、韓国のウォンやフィリピンのペソのほうが高くなっている。元も切り上げてきているから円の安さは不可解だ。だから日本にはヨーロッパや中国やアジアからの買い物客が増えている。政府日銀はドル売り円買い介入をしてもいいくらいなのに不可解だ。本来ならば円は90円台くらいでないと不自然なのだ。

中国は貿易黒字が1兆4000億ドルも貯まってしまい、輸出主導経済から国内消費経済に移行を迫られている。だから元を高くしてインフレを抑えて労働者の賃金を高くする政策に切り替えたようだ。そして日本から進出した企業に対する優遇政策も次々廃止されて外資系企業を潰しにかかっている。だから韓国企業は夜逃げをしているのだ。

むしろ中国で深刻になっているのは労働者不足であり、アフリカなどから非合法の労働者を輸入している。普通ならば高品質高級化で労働者も高賃金化していけば問題はないのですが、低賃金でないと採算が取れないから倒産企業が増えている。冷凍ギョーザ事件でも分かるように中国では品質管理や労働者の管理が難しい面がある。

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 世界の工場としての「安い労働力」が唯一の売りであったのが、人民元の上昇・低賃金労働者の不足から、「安い労働力」という輸出の強みがどんどん低下しているのが良く分かる。賃金の上昇圧力と都市への若い人材流入が平衡状態になって(当然以前あった一人っ子政策も影響しているのだろう)、新たな低賃金層であるアフリカ人等を導入せざるを得ない状況のようだ。
 まず、日本企業をはじめとした、中国にとっての外資系企業は皆、安い労働力のみ求めて工場を建てた訳であって、技術力や勤勉性・経営能力を求めて進出したわけでは無い。だから労働力が上がればそこに居るメリットは無く、撤退は明らかで、既にその心積もりで工場を動かしていると聞く。
 そもそも旧ソ連の崩壊もそうであったように、市場社会である現在において、経営者を育てる土壌・歴史が弱いと言えるのではないだろうか?日本は元々封建体制であり、70もの藩があり、これは企業集団であり共同経営者達である。だから、明治の近代文明を急激に取り入れた時でも順応していった。
 一方、中国は皇帝を頂点とした君主体制が長く、共産主義を取り入れる事で西欧列強に抵抗した経緯がある。これは明らかな官僚体制である。日本でも明らかなように官僚組織には自主管理というものが無く、経営能力はほぼ無いと言って良い(∵国・地方に借金あるのはなぜ?)。
 ここで重要なのは、これらの国家運営から企業運営に至るまで、単位が集団である人の群れを「活かして」統合するのか?「殺して(封殺)して」統合するのか?の違いではなかろうかと思う。
 これからの中国にとって重要なのは、安い労働力をアフリカ等から手に入れて官僚体制運営を維持するのでは無く、経営者が育つ土壌を創るべく、地方への改善・地方独立経営などの転換が急がれるのではなかろうかと思う。

List    投稿者 h100p | 2008-02-19 | Posted in 09.国際政治情勢の分析1 Comment » 

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コメント1件

 schweiz hermes | 2014.02.02 4:46

hermes idar-oberstein 日本を守るのに右も左もない | 多極派の目論見は、米・欧・アジアの三極通貨体制か?

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