意識が常識を変えていく~地方への可能性とは~
本屋さんに行くと、自己啓発本がたくさん並んでいる。
人生のアドバイスや自信の育て方、生き方に迷いがある方へ!と問いかけてくる本がたくさん並んでいる。その中で「孤独を感じずに、楽しく1人で生きていくためには?」という言葉をよく目にした。実際、国も動き、孤独・孤立への対策をしている。よく考えてみれば、生命として個人と集団を切り離すことは出来ないとも思う。
私は地方の大学を卒業して、大阪の教育業界の会社に入社して5年目に突入。女子大卒ということもあって、周りの友達は地元企業に就職する子が多かった。また、結婚を考える時期でもあり、都市から地方に戻る子も少なくない。
では、なぜ都市に魅力を感じるのか。
やはり、都市であれば「流行り」や「人の流れ」、給与や福利厚生など、人もお金も集まってくる。社会を知らない学生時代は、都市にいけば仕事があるとも考えていた。しかし、今では市場も衰弱しており、都市にいないと出来ない仕事も少なくなってきている。つまり、都市が生み出す快美刺激では人を引き付けられなくなってきている。
そんな中、最近であれば「地方」というキーワードをよく見る。上記のような動きがある中、地方が注目されているのか(ここでの「地方」とは、三大都市圏を除く地域のことを指すことにする)。ここで、人々は何を求めているのか、深堀りしていきたい。
〇マイナビによると、地方への動きはもうすでに始まっている。
(マイナビ:https://tenshoku.mynavi.jp/ui_turn/)
・地方に移住して、仕事をする人が増えている理由は?
近年、「田舎暮らし」「地方移住」に多くの人が目を向けるようになった理由は何でしょうか。
「どのような企業でも将来にわたって安定が約束されているわけではない」ということが広く認知されるようになり、それなら「自分がもっとも充実して仕事や生活ができる場所を探そう」という意識が芽生えてきました。そして充実の一基準として「地方」が大きくクローズアップされてきたと考えられます。
20代前半~後半の若手社員は、学生時代の頃から「ボランティア」や「社会貢献」というワードが多かったと思う。もっと「自分自身」が、社会や家族・集団の役に立ちたいと思う若者が多くいる。昔と違って、プライベートや家族を犠牲にして、地位や給料のために仕事に打ち込むような仕事の姿勢が薄らいで見えるのも、仕事の関係だけでなく、社会や地域、仲間や家族・プライベートなどの様々な対象との役割充足に向かうような意識の変化があるのかもしれない。それは、プライベートと仕事は別という意識ではなく、プライベートと仕事・集団が一体になっている意識。仕事・集団の中での役割そのものが、個人の親和や充足感、安心感を創り出し、一人ひとりの動きを変化させていく。
まさに、生命本来の集団性=本源を求める意識の変化が感じられ、それが「地方」の可能性を感じ、人々の「地方」への動きになっている。
その意識が今や、一つの企業で一生を過ごすという常識を変化させている。転職もあれば、住む場所も変えて心機一転新しい人生を歩もうとする人もいる。つまり、人そのものが流動的になっている。企業側も人々のこの意識に合わせるように人を育成し、能力上昇を可能にする環境を目指し、また個人は、新しい職業や社会の変化に対応できる「主体的」な能力の可能性を「地方」に向けていると思われる。この地方の可能性は、人々の意識が本源価値を求める動き(衣食住や子育てをよりよくしたい等)に移行してきている。
〇人々の意識が市場の動きを創り出す。最近であれば、企業の「脱首都圏」が急増しているという。(PRTIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000429.000043465.html)
新型コロナウイルスの感染拡大で、本社機能や主要拠点が首都圏に集中することの脆弱性が改めて認知された2021年。足元では、在宅勤務が定着するなか、本社など主要拠点を都市部から地方に移転・分散する動きが急速に進んでいる。こうしたなか、首都圏から地方へ本社を移した企業の数は昨年351社となり過去最多、首都圏として11年ぶりの転出超過となった。
〇このような動きが社会に出てからではなく、すでに学校・教育の段階から始まっている。
ここで、企業×地域×学生のモデルとして2022年8月に文部科学省から高専の設置認可がおり、開校がきまった全寮制の「神山まるごと高専」を紹介したい。(HP:https://kamiyama.ac.jp/)「テクノロジー×デザイン×起業家精神」を教育の土台としながら、「モノをつくる力で、コトを起こす人」の育成を目指す。学校の舞台は、徳島県神山町。通いやすい大都市やオンラインの学校の方が確かに便利ではあるが、あえてこの場所を選んでいるという。
1つ目の理由は「自然の中で学ぶ」。生み出したいのは、人間の未来。自然を無視した未来はこれから考えられない。社会を動かす人を原点に、自然や地球との営みがある。その重要性を私たちは信じている。また、2つ目の理由は「イノベーティブな町を体感する」。神山町は日本の里山でありながら、インターネットが普及したての頃にいち早く町内全域に光ファイバーを敷設したり、サテライトオフィスという常識がまだない頃から、全国の企業が集い、今や10社以上が拠点を構える。3つ目の理由は「町と交流しながら共に学ぶ」。この町には創造し続ける先駆者たちがいる。神山の精神「やったらええんちゃう(Just Do It!)」の心意気のある住民たちと、共に学べることが最大の魅力。
その他にも、企業側としても都市から地方に移ることで固定費を抑えられるなど、メリットもある。また、地方は、都市に比べると地域、人々の繋がりが強い。それが安心感にも繋がっている。その地方の可能性を非日常ではなく、生活の一部として、仕事や生活と一体になっていく。地域の課題そのものが仕事になり、アイデアを創り出し、想像性を高めることが出来る。つまり、一人ひとりの活力が、企業や地方といった集団の生産性を上げることにも繋がる。
自分のためにただ働く、ただ勉強するだけでない。人間関係、そして生き方そのものから見つめなおし、動き始めている。孤立・孤独とは真逆の世界である。まさに、本当の働き方改革である。
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