参院選でのマスコミ報道の迷走⇒もはや大衆を騙せなくなったマスコミ
2010年07月11日の記事「参院選後の政治状況(民主・自民の従米連合?)」で、「代表選に向けて小沢派に対するマスコミ・官僚の攻撃は必至だ」と書いたが、既に、民主党大敗北を小沢派へ責任転嫁する報道が始まっている。
いつも応援ありがとうございます。
『世に倦む日日』2010年7月13日の記事「一色清と星浩の詐術と脅しと暴論 – 官僚の鬱積を代弁する捨て台詞」からの引用。
マスコミが、菅直人と執行部の免責キャンペーンに血道を上げ、民主党の敗北の責任を小沢一郎に押しつけている。
朝日を始めとするマスコミの菅直人と執行部擁護の主張には二つの特徴がある。一つは、まだ首相に就任して1か月も経ってなく、そんなに急に変えると世界の笑い者になるという言い草だ。しかし、それなら宇野宗佑も同じだろう。朝日は同じ理由で庇ってやったのか。もう一つは、執行部批判をしているのが小沢派の連中で、小沢派は国民の敵だから、執行部は辞任の必要はないという論調だ。正義の執行部と悪の小沢派のコントラストで執行部を擁護する論法。 今回は、この悪質な論法と演出が際立っている。
恰も小沢派のみが執行部批判をしているように演出して報道し、悪の小沢派の攻撃から正義の執行部を擁護すべしという論陣で菅直人を免責するのであり、責任論を不当だと排斥するのである。こうしたメッセージを新聞とテレビで発信することで、朝日や毎日は民主党の県連や関係者の執行部批判を押さえ込み、また、「消費税増税を公約したから選挙に負けた」という事実を隠蔽しようとしている。菅直人の消費税増税による自滅選挙という事実の確定を妨害し、そうした一般世論が定着しないように攪乱を図っている。世論を操作している。
現実には、小沢派の周辺だけでなく、選挙を戦った多くの民主党関係者が菅直人の消費税戦術に怒っていて、当選できる者を落選させたと嘆いている。総括と責任追及が必要だと感じている。特に1人区の地方の県連や連合はそうだ。だが、マスコミはその真実を伏せて報道しない。小鳩体制で選挙していればもっと負けていたという見方を流している。
そして、民主党と自民党が連立(従米連合)を組むべきという論調も始まった。
昨夜(7/12)の報道ステーションでの、星浩と一色清のプロパガンダも目に余る内容だった。
一色清の主張は、民主党のマニフェストの政策には不要なものが多く、厳しい財政事情を考えて、来年度予算では早く切り込まないといけないというものである。「国民の生活が第一」を否定する議論だ。
この一色清の主張は、誰もが気づくとおり、谷垣禎一の主張とそのまま同じである。民主党は鳩山マニフェストの「バラマキ」政策を撤回せよという主張。一色清は、民主党に自民党の政策と合わせることを促している。政策で大連立せよとせっついているのであり、すぐに始まる予算編成では、自民党の要求を全面的に受け入れ、「国民の生活が第一」の諸政策は放棄しろと言っているのだ。
昨年まで官僚が作ってきた予算に戻し、マニフェストの新政策を入れて予算を膨らませるのは止めろと言っている。国債を発行してまで、「国民の生活が第一」の政策を実行する必要はないと言う。もともと、「国民の生活が第一」の政策の財源は、無駄を削って捻出する16.8兆円で充当するというのが昨年の公約だったが、その無駄を削る点については一色清は捨象して何も言わない。
このようにして、一色清と自民党と菅直人によって、昨年の民主党の政策公約は貶損され、無意味な画餅にされて廃棄同然の扱いにされつつある。朝日新聞は、小沢一郎と「国民の生活が第一」に悪性レッテルを貼り、丸ごと焼却処分にして、国民にそれを忘却させようとしているのである。「国民の生活が第一」の政策への支持は誤りだったと、そう国民に刷り込むべく、観念操作のプロパガンダに躍起になっている。それは、「構造改革」路線に戻った菅政権への支持に誘導するため、消費税増税を受け入れさせるため、法人税減税を来年度からスタートさせるため、そして、無駄を削りたくない官僚の意向を通すためである。これだけ国民は消費税増税に反発し、民意を投票で示しているのに、朝日はその民意を無視し、別の「民意」に偽造して報道している。消費税増税への認識が高まったなどと出鱈目を言い、菅直人の「功績」を褒めてやっている。
しかし、この記事で最も注目すべきは、次の指摘である。
昨夜(7/12)の放送の中で、星浩がやや意味不明の独り言のようなことを言っていたが、注意して聴き取った者はいただろうか。
13%増税の自棄の暴論の後、奇妙なマスコミ批判をやっていた。マスコミの記者の中で、菅直人や枝野幸男を批判して責任を問う者がいるが、口を慎めという旨の苦言を呈し、政治記者は政局話にかまけず、経済記者は専門領域だけの関心で政治を論じるなというような意味のことを言っていた。
これは、視聴者に喋っているのではない。身内に向かって囁いているのだ。岸井成格とか、日経の誰かに向かってメッセージを発信しているのである。選挙後に身内で何か悶着があったのではあるまいか。想像するに、おそらく、マスコミの中で政局への対応が分かれている。菅直人を擁護する急先鋒が朝日で、読売と日経は、菅政権を追い詰めて潰してもいいのである。自民党の方に政権を戻したい欲望が強いのだ。したがって、選挙の意味づけの記事表現とか、選挙後の報道姿勢で差が出る。彼らは、日常、頻繁に会合して情報交換し、どういう報道をするかを協議している。世論操作の作戦と分担を練っている。
もし、私が想像したとおりで、消費税増税に失敗した菅政権に対する処置をめぐってマスコミ内部で亀裂を起こしているとすれば、その差は、選挙後の世論調査の報道に現れて出てくるだろう。谷垣自民に肩入れする側は、すぐに内閣支持率の下落を発表、その報道をぶら下がり会見のネタにし、菅直人の不機嫌なリアクションをさらなる支持率低下の誘因軸にする。また、「菅首相は責任をとって辞任すべきか」を問う世論調査をして、数字を高めに出し、これもぶら下がり会見のネタにするはずだ。
今、その世論調査について、水面下で駆け引きが行われている気配が臭う。朝日は、菅直人と執行部の責任を問う世論調査を避けたいのだ。だが、他紙がやって朝日がやらないわけにはいかない。
最近の世論調査は、クエスチョネーアのスペックが各社横一列で同じで、タイミングだけが微妙に差があるだけだ。報道各社が事前に相談して、質問票の設計を共通仕様にしている。各社で出力される数字が違うだけになっている。調整の陰謀が察せられる。論説幹部が密かに集まって、おたくはこれだけ、うちはこれだけという数値の範囲と異同を決めている。
マスコミの世論調査は政治だ。それは、きわめて重要な政治である。例えば、明日の新聞とニュースで、「菅首相は責任をとって退陣すべきか」を聴いた世論調査が一斉に発表され、賛成が60%で反対が20%と出されると、菅直人は続投で居座るのが困難になる。これを阻止するために、まさに官房機密費が使われるのであり、特に読売に対して入念な工作が必要になるのだろう。星浩は、同業者による選挙後の世論調査に神経質になっている。
マスコミ同士の足並みが揃っていない、あるいは亀裂が入っているという、この指摘は重要である。
改めて考えてみると、菅政権発足以降、マスコミの論調は迷走している。
政権発足直後にはマスコミ各社とも菅内閣持ち上げ路線で、高い支持率を捏造したにもかかわらず、そこから2ヶ月も経たない参院選直前になって支持率低下報道に一転した。このことは、マスコミによる世論支配が迷走していることの現われではないか。つまり、マスコミは最早、大衆を騙せなくなって迷走し始めたのではないだろうか。
想像するに、マスコミは最初は菅政権持ち上げ路線で高い支持率を捏造したが、次第にその嘘がばれる=菅政権は大衆からソッポを向かれ参院選では負けることが明らかになったので、急遽、支持率低下報道に一転した。これが、今回の参院選におけるマスコミの迷走の真相なのではないだろうか。
振り返ってみれば、’05年郵政選挙の時は、アメリカ→官邸→マスコミ各社が完全に一枚岩となってやりたい放題の翼賛選挙を行い、世論もそれに完全に支配された。ところが、’09年8月の衆院選において民主党に政権交代した。それは、官僚・マスコミ一体となった世論操作に大衆が騙されなかった(撥ね返した)ということであり、共認支配に対する大衆の共認闘争の勝利であった。
大衆意識という観点から、今回の参院選の結果をどう見るか?
民主党が大敗北したのは直接の原因は消費税増税に反発したものとされている。それは一面の事実であるが、重要なのは底流にある意識潮流である。
そして、それは’09年「特権階級支配を撥ね返した大衆の共認闘争の勝利」の延長にある。つまり、従米に転向し格差拡大路線に転じた菅民主党に対して、大衆が「NO」を突きつけたと見るべきだろう。この判断は、好き放題に格差を拡大し権力の乱用を繰り返してきた自民党・特権階級に対して、’09年衆院選において大衆が不信と危機感をもって自民党を見限ったのと同じベクトル上にある。
但し、それは未だ潜在意識のレベルにあって、脱米・反米、あるいは特権階級の無能視へと明確に舵を切ったわけではない。従って、民主党に対するアンチとして自民党へと票が流れることになったが、自民党が勝ったのも、その従米路線と特権階級支配が支持されたわけでは決してない。大衆的支持が本当に自民党にあれば参院第一党になってもおかしくはなかったが、そうはならなかった。民主党と自民党を拮抗させた。これも、大衆の潜在意識の絶妙なバランス感覚と言えなくもない。
そして、今回の参院選後に顕在化しつつあるのは、マスコミ支配の迷走と内部分裂である。その背景の一つとして、これまで日本もマスコミを支配してきた戦争屋-CIA勢力が追い詰められ、その支配力を低下させていることも挙げられる。つまり、戦争屋→マスコミ・官僚という支配体制に綻び始めていると見て間違いない。
そして、その根底にあるのも、大衆が騙されなくなったことである。
近代社会全体の騙しの仕組みから大衆が無意識に脱却しつつあり、もはや騙されなくなったからこそ、支配階級(金貸し・戦争屋)とその手先たる特権階級(学者・官僚・マスコミ)が追い詰められ、迷走と暴走を繰り返していると見るべきではないだろうか。「騙しの破綻→特権階級は追い詰められている」
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コメント16件
Kさんへ | 2011.03.08 23:00
なるほどです。
あなたを自由にする言葉 | 2011.03.09 21:55
詰め襟学生服と日本の失敗
最近は減りましたけれど、中学生や高校生が着用させられているあの窮屈そうな野暮ったい詰め襟学生服、あれはプロシアの軍服を模したものです。
あの制服の集団…
unimaro | 2011.03.26 21:32
お疲れ様です。
大変勉強になります。
でも、
一般の人は生理的に受け付けないでしょうね、、、
自分の「利益」の根本に反することですから。
だから「民主主義」が”彼ら”の重大な武器となって、”彼ら”に都合の悪い多くの国々を白んぼ国家連合への侵略を積極的に応援するのでしょう。
日本でさえ同じですね。
本当に日本のためになること・人・ものなどは攻撃され、目先の利益しか追えないし、それを餌に騙されていることすら見ようとしない・できない。
人類はとっくに不帰読点を過ぎ、嬉々として絶滅にまっしぐらに向かってるのではないでしょうか。
私は悲観論者ではないですが、「甘い見方はあまりできない」現実をそのまま見ることしかできない癖があるので、、、
愚考失礼しました。
unimaro | 2011.03.26 21:51
再度失礼します。
TBにある「詰襟・・」を見ましたが、、、類ネットと対極に居るような人ですね。
以前から「脳みその貧富の差が激しくなっている」と言ってきましたが、その良い対比になっています。TBした本人は永久に気付くことはできないでしょうが。
「自由」も「権利」と全く同じモノで、本文の「権利」を「自由」に置き換えてもそのままですよね。
自由も権利も奴隷たちがどうにかして「手に入れるもの」で、奴隷の概念が無かった日本には無縁のことです。
だから躾の全くされていないひねくれた凶暴な子供の我儘同様な「自由」を平気で「要求」するのでしょう。
反面、生物社会には不可欠な「責任」は全く葬り去られています。
「責任」は「権利」や「自由」にとって都合が悪いことのようですからね。
社会が崩壊するわけです。
学級崩壊なんぞかわいいものですw
と言いつつも、、、学級崩壊は「学級崩壊させるレベルの人間を作り出して、そのまま社会に出す」ことをしていることのほかになりませんが。その結果が今でしたね。
「他人をスポイルさせる人間」
これが癌細胞ですねー
hassy | 2011.03.28 13:58
みなさん。コメントありがとうございます。
Kさんへ
>「けんり」rightは明治時代は「権理」と訳され漢字をあてたそうです。
>権理の主張には道理があってのことだそうです。
>権利は己の利益を主張するだけになると。
確かに「権理」であれば要求するだけでなく、少し立ち止まって言葉を使っていたでしょうね。いつ変わってしまったのか気になります。教育の弊害でもあります。
unimaroさんへ、
>「他人をスポイルさせる人間」
これが癌細胞ですねー
批判だけでなく、最後は「教育」の問題に焦点を当てて警笛を鳴らしておられるのだと拝見しました。
今後のシリーズでも教育の問題も含めて追求していきます。ありがとうございました。
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k | 2011.03.05 14:39
西部すすむ氏がテレビで言っていたんですが、
「けんり」rightは明治時代は「権理」と訳され漢字をあてたそうです。
権理の主張には道理があってのことだそうです。
権利は己の利益を主張するだけになると。
お邪魔しました。