日露対話は今、復活しつつある
先日の日露首脳会談は、途切れた日露関係を復活へ導くものになるのでしょうか。
日露関係は、これまでアメリカの圧力で途切れたままでしたが、ロシアのメディアが、その関係が復活の兆しを見せていると報じています。
以下、こちらより引用します。
●米国の圧力で途切れた露日対話は今、復活しつつある、露外務省(Sputnik)
ロシアは、日本との間に両国のあらゆる議題についての途切れることのない、建設的対話をもつことを支持している。6日、ロシア外務省のマリヤ・ザハロヴァ公式報道官はこうした声明を表した。
ザハロヴァ報道官は、露日の相互関係は米国の圧力で中断されたものの、現在、徐々に復活しつつあると指摘している。
「我々の側から対日対話を中断したことはなかった。残念ながらこれもセルゲイ・ラヴロフ外相がすでに指摘したとおり、やはり米国の圧力によって日本 の側から中断されていた。現在、それは徐々に復活しつつある。我々は問題解決のためには、それが日本であるか、または他の国であるかにかかわらず、ひとつ の原則が機能しているということを何度も繰り返してきた。それは遮断ない通常の対話の維持だ。」
●安倍首相とプーチン大統領の会談について:日本は事実上、対ロシア制裁システムから抜け出した。(Sputnik)
日本の首相は、ロシアとの平和条約交渉で本当の飛躍が訪れると確信している。安倍首相はロシア南部ソチでプーチン大統領と会談した後、与党「自民党」の委員会会合で、そのような確信を示した。
安 倍首相は、「北方領土」問題に関するハイレベル対話を含む積極的な交渉プロセスを続けると指摘した。なお菅官房長官は、南クリル問題に関する日本の基本的 立場に変化はないことを強調した。その原因についてロシアの複数の専門家たちは、プーチン大統領と安倍首相の会談が、露日関係の主要な方向性の答えを与え たのではなく、不明瞭で矛盾した考えを引き起こしたからだとの見方を示している。ロシア科学アカデミー極東研究所日本研究センターのワレリー・キスタノフ 所長は、次のような見解を表している-
「こ のような声明は、すでに双方から出されていた。しかし私は、安倍首相が両国関係を70年間も陰気にさせている問題を解決したリーダーとして歴史に名を残す のを実際に夢見ていると考えている。また安倍首相の父親の安倍晋太郎氏は、外務大臣を務めていた時に、当時のソ連大統領だったゴルバチョフ氏を日本に招く ために非常に多くのことを行った。その時ゴルバチョフ氏は、領土問題は存在していないというそれまでのソ連の立場から事実上離れ、少なくともそれを話し合 う必要があると考えた。その時、安倍氏はがんを患っていたが、ゴルバチョフ氏と個人的に会うために病院のベッドから起き上がった。これは同問題が安倍晋太 郎氏にとってどれほど重要であるかを示しており、恐らくその息子である安倍晋三氏にとっても同じであると思われる。ロシア関係における日本の現首相の行動 は、実際に決断力のあるものだと述べることができる。なぜなら安倍首相は、米国側からの極めて強い圧力があるにもかかわらず、そのような行動を取っている からだ。事実上、安倍首相は現在、G7にとって『スト破り(streikbrecher)』となっている。安倍氏は共通の体制から抜け出して、ロシアへの 制裁や圧力政策を無視した。
安倍氏は、ロシアとの交渉で進展を得ようという決断力に満ち溢れているかのようだ。」
またアレクサンドル・パノフ元駐日大使も、安部首相のソチ訪問は、今のところいかなる具体的な声明も表されていないものの、実際には両国関係に多くの進展をもたらしたとの見方を示し、次のように語っている-
「安倍首相のソチ訪問は、極めてポジティブなものとなった。なぜなら、すぐに両国関係にたくさんの動きを与えたからだ。その際、日本は事実上、公式には述べら れなかったものの、西側の対ロシア制裁システムから抜け出した。安倍首相がソチへ持ってきた提案を見た場合、ほぼ全ての分野に飛躍的かつ非常に重要なポイ ントがあるのが分かる。政治的対話が盛んになってきている。今年、政治的対話はかつてなかったほど集中的に行なわれるだろう。ハイレベル会談は5回以上予 定されており、安倍首相はウラジオストクで開かれる経済フォーラムへの招待を受け入れた。
安倍首相は経済でも関係発展のための日本のプランを提示した。そこでは西側の制裁下に置かれた分野も取り上げられている。それはハ イテク協力や原子力エネルギーでの協力だ。シベリアと極東での協力は、インフラ建設で日本の投資が求められている。そしてこれも西側の制裁政策の下から抜 け出すものだ。
領土問題だが、これについては日本の政策で何らかの新たな要素が実際に現れそうだ。いずれにせよロシアの大統領報道官は、安倍首相 とプーチン大統領のソチでの一対一の会談についてコメントし、テーマは極めて建設的な雰囲気の中で取り上げられたと指摘した。安倍首相は4島返還を求める 日本の立場に変わりはないと述べたが、その際、協議では過去の考えから解放された新たな立場も用いられるだろうと指摘した。そしてロシア側は、日本のこの アプローチを極めてポジティブに評価した。なぜならこれは今後交渉を実施するための新たな基盤を与えるからだ。以前は日本の変わらぬ立場によって平和条約 に関するいかなる交渉もなく、ただ足踏み状態だったからだ。」
これら全てを総括し、安倍首相とプーチン大統領のソチでの会談のための新たな提案を日本が自ら作成したことを考慮した場合、これは、平和条約締結に関するロシアと日本の交渉プロセスの進展が実際に可能であると考えるきっかけを与えている。
(by ken)
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nihon-syakai.net/blog/2016/05/5614.html/trackback