2021年12月27日

【世界の力を読み解く】米国の中露への経済制限は欧米金融勢力衰退させる/デジタル通貨はなにをもたらすのか?

前回記事では米国勢力の基盤であったドルの崩壊について扱いました。(リンク

基軸通貨であるドルの崩壊は今後の経済活動に影響を及ぼすことになります。

それ以外の経済活動の変化としてコロナ渦を受けて一気に身近なものになったものの一つとしてデジタル通貨(決済)があると思います。このデジタル通貨はコロナ時の非接触の推進のために導入されたものなのでしょうか?基軸通貨であるドルの崩壊とは密接な関係があるものなのでしょうか?

そこで今回は基軸通貨であるドルの崩壊とデジタル通貨について考察していきます。

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〇デジタル通貨とは?
まずはデジタル通貨とは何かを簡単に扱っていきます。

広い意味では、紙幣(お札)や硬貨(コイン)といった現金ではない、データ上でやり取りされるお金のことです。紙幣や硬貨といった現金は、法定通貨として信用されているため支払いなどに広く使われています。今回扱うデジタル通貨とは「現金に替わる決済手段として中央銀行が発行する電子的な通貨」のことになります。この法定通貨を電子データとして発行するものです。

具体的な発行の方法としては、個人が中央銀行に口座を設けて決済に利用する形、銀行など金融機関どうしの決済に対象を絞る形など、さまざまな研究が行われている。

〇主要国の取り組み意欲
・日本:中央銀行デジタル通貨を発行する計画はないが、準備だけは進めるとしている。また、日本やヨーロッパなどの中央銀行と共に「中央銀行デジタル通貨:基本的な原則と特性」も発表。
・アメリカ:導入の1番手になるつもりはないが、研究は続けるとしている。

・中国:シェンチェンにおいて1000万人民元(約1.5億円相当)のデジタル人民元を発行する初の公開実験を既に行っている。2014年から開発してきたデジタル人民元の利用を拡大させ中銀デジタル通貨を普及させた国となっている。
・バハマ、カンボジア:既に中央銀行デジタル通貨を発行している。

欧米諸国は検討しているとしていますがおそらく積極的に導入していくつもりはないように見えます。日本は主体的な判断はしないので、現状は欧米諸国に合わせているだけだと思われますが、この間のコロナ対応などを見ていると欧米従属と見せかけて、中露側に追従してる動きを見せています。なので、一気にデジタル通貨に舵を切る可能性も残されています。

〇デジタル通貨を拡大の準備を進めていた中国
実は中国ではコロナ渦以前の数年前から通貨のデジタル化を進めていました。2018年の時点で支払いの83%がスマホなどモバイル機器を使ったデジタル決済となっていました。国際決済にも使えるデジタル人民元の普及や、中国独自の銀行間送金情報システムを使うことなどにも取り組んでいます。

これが実は脱ドルに向けて新たな経済システムの試運転であって、これらのシステムに目途が立ったことで実施に踏み切ったのではないでしょうか?そのように予測する根拠としては、冒頭にも記載した通りコロナ(非接触の推進)をきっかけに“自然”にキャッシュレス決済が一気に拡大したことにあります。コロナの仕掛け人は中国であって欧米の衰退を狙った戦略の一環であると考えると、コロナによる生産性の衰退と合わせて新たな通貨システム導入に踏み切ったと考えても自然です。

中国が進めているデジタル決済は、中国の中央銀行である中国人民銀行が作った決済アプリを使うことになっています。(日本はアプリと銀行は別)

このようなことからも単純に支払い手間を減らすこと以外の意図があることは明らかです。

〇中露との関係を悪化させる米国
米国は中露との対立を深める出来事が続いています。その際に米国は中露に対して経済制裁という形をとってドルの使用を制限しました。“制裁”や“制限”という言い方をすると、立場的に中露<米国であるかのように見えますが実際には逆です。日本のメディア情報だけを見ているとそのように見えないかもしれませんが世界で実際に起こっている事象を見ると米国<中露であると見るのが自然です。

実はこの制裁の被害者は中露ではなく米国になります。基軸通貨であるドルが使用されることが米国にとってはメリットになるので中露の使用を制限すると、前回記事でも書いたように中露と関係の深い国においてもドル離れを加速させることになります。

米国は自ら勝てない勝負を仕掛けて、自らを追い込むようなことになっています。中露にとって制裁は歓迎すべきことになっています。

〇デジタル通貨がもたらす変化とは?
ここ数年、中国とロシアは制裁の有無に関わらず決済の非ドル化を進めていました。具体的には中露間の貿易は人民元とルーブルの相互通貨決済、世界30か国との人民元決済の体制作り、中露がイランなど他の非米諸国とも連携してSWIFTに替わる国際銀行間送金のシステムを作りです。

連携が強まりつつある中央アジアは上記の動きを推進する存在になっていくでしょう。

“覇権争いの土俵にある中央アジアのいま”(リンク

この動きが加速していくと反対にドルの動きが鈍くなっていきます。これまでは、米国が取引を行っていなくてもドルが買われる仕組みとなっており、それが米国の力の基盤となっていましたがそれが崩れようとしています。

ここでさらに先を予測しようとしたときに疑問点が出てきます。国家主導のデジタル通貨の発行により一般の人々の生活や意識はどのように変わっていくのか?銀行の役割はどのように変化するのか?融資事業は銀行が行うことがふさわしいのか?現在銀行を介さなくても資金を調達する方法も増えています。

これらを見据えた時に、ドルの基軸性の崩壊の先にデジタル通貨は何を目的としているのか?

次回の記事ではデジタル通貨により意識潮流の変化予測について扱っていきたいと思います。

by Satoshi

 

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