2014年08月14日

【情報戦】 15.諜報大国イギリスと、その自己矛盾の突破口としてのアメリカ

前回記事 【何故、イギリスは諜報大国となったのか?】http://blog.nihon-syakai.net/blog/2014/05/3339.html

バチカン

バチカン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■諜報大国イギリスの敵はバチカン=キリスト教であった。

・前回情報戦シリーズでは、イギリスがいかにしては、諜報大国となったかをみた。

国家としてのイギリスは、北方の島国であり、ドイツ、フランスといった農業を基盤とする国家と違い地代収入が乏しいため、海賊行為を奨励する海賊国家であり、その結果、英国には情報戦と騙し討の得意な海賊たちが結集した。

他方、ベネチアに起源を持つ、黒い貴族たちとそれに付き従った宮廷ユダヤ=ロスチャイルドたちは、資金源の豊かなローマカソリック教会=バチカンに寄生し、十字軍戦争を起こさせ、急成長したが、ハスプブルク家に対抗し、大航海時代を戦い抜くために、その拠点を、ドイツからイギリスへと移していった。

こうして、イギリスは王家そのものがドイツ系のゲルフ家=ウィンザー家となり、ロスチャイルドとの蜜月関係を築きあげた。そしてロスチャイルドが金融市場のなかで発達させてきた、情報戦を勝ち抜くための、諜報能力とメディア操作=プロパガンダ能力を最大限発揮させる場として国営の諜報機関を他国に先駆けて設置し、植民地支配競争を勝ち抜いて、莫大な利益をあげることに成功した。

ここで、改めて英国及び英国に巣食う黒い貴族たちは誰と情報戦争を戦ったのか?という視点で見ると、その最大の敵はローマ・カソリック=バチカンであったことが分かる。

 

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勿論、バチカンの中にもイエズス会という形で金貸しのスパイを忍び込ませてはいたが、西洋人の自我統合の綻びを懺悔という形で回収していく宗教の力は絶大であり、それを束ねるバチカンの力は、国家権力を上回っていた。そして、そこに巣食うイエズス会とバチカン本体のバトルも壮絶を極め、金貸し勢力はカソリック教会から自由になって経済活動を展開する道を探った。そうした金貸したちの脱バチカン運動が、宗教改革であり、イギリス国教会の設立であり、そしてイルミナティ=フリーメーソン活動であった。

金貸したちが脱バチカンを進めた理由は複数あるが、そのひとつは「キリスト教の持つ労働罪悪説や金利否定説」を排して「金儲けと蓄財を推奨」することであった。勤勉を推奨した宗教改革はその典型だが、イルミナティ=フリーメーソンが標榜する啓蒙主義も「大衆が他人の指導がなくては自分の理解力を用いえない未成年状態から脱すること」を目標としており、その本質は教会支配からの脱却し、人々が合理主義=経済合理主義的な判断力を持つことである。

そしてもうひとつは「キリスト教による迷信的思考」から脱却し「近代科学的思考を推進すること」であった。近代科学こそが市場経済を具現化する武器だったのだから、この認識革命は金貸したちにとって非常に重要なことだった。イルミナティ=フリーメーソンの本質が科学探求のためのサロンであったことは、ゲーテ、ヘルダー、さらには一説ではモーツァルトといった当時の最先端知識人が集結したと噂されることからも明確である。

さて国家としてのイギリスは、脱バチカンをはたし、イギリス国教会を通じて、陸に上がった=成り上がった海賊たちを統合していったが、その一方で、スコットランドやノルマンディ地方といった周辺部はテンプル騎士団等フリーメーソンの秘密結社が根を張っていった。イギリス国教会が組織する「教区」に住めないならず者たちを秘密結社の「ロッジ」は保護した。するとその中からまた成り上がりが登場し、「ロッジ」は一定の社会的地位を手にしていく。そして、この「ロッジ」に集まる貧困層が中心となってアメリカ移住者が登場する。イルミナティ=フリーメーソン活動の中心的運動律である、脱ローマンカソリックが、ついには脱キリストのエネルギーに高められていったのだ。

以下、越智道雄著「秘密結社」より要約

トーマス・ジェファーソンはフリーメーソンの集会や薔薇十字会に顔を出し、アメリカの基礎を何処に置くかを考えた。そして、ついに理神論=ディーイズムという宗教理論にたどり着いた。神が世界を創造したことは認めるが、その後、神は世界についての興味をなくし放置しており、後は人間が世界運営に関与するしかないという教義である。啓示や奇跡は否定し、人間は自然の法則を知り、智慧を持って自然を活用していく。そして人には皆自然権があるのだという見方はアメリカの建国宣言に取り入れられていく。

 

■帝国化することで海賊としての自己矛盾に陥ったイギリスと、その突破口を探ったアメリカ

しかし、イギリスが帝国として植民地経営に成功し、アメリカに多くの移民が移り住むようになると、イギリスは自己矛盾を孕んでいく。バチカンからの自由を勝ち取って自由に経済活動を展開していたはずのイギリス国民だが、当然、市場競争の敗者も登場する。するとイギリス本国で果たせなかった夢よ再び、ということで、アメリカに移り住む人々が出てくる。ところが移り住んだアメリカで彼らを待っていたのはイギリスが課す重い税金であった。彼ら英国からの移民たちはイギリスでは、相互扶助の観点からフリーメーソンを活用していた人々が多かった。国家への忠誠よりも、組織への忠誠を優先するフリーメーソンの会員たちは必然的に、密輸に手を染めることになる。

以下、越智道雄著「秘密結社」より要約

国家への忠誠か、結社への忠誠か?これは全ての秘密結社に通底する主題である。アメリカは植民地時代、大英帝国の厳しい税制や法律にがんじがらめにされ、まともに海外貿易をやっていては倒産するので、密輸が当たり前になっていた。例えばイギリスは、アメリカ人に「東インド会社」経由の高い関税の紅茶しか買ってはならないと厳命する。しかし、アメリカ人はそれに従うことなくフランスから3割は安い紅茶を密輸していた。そしてアメリカ人は大英帝国ではなく、密輸ルートの安全を保障してくれる秘密結社=フリーメーソンに忠誠を誓うことになった。フリーメーソンは世界各地にロッジと呼ばれる相互扶助組織を擁しており、交易ルート上のロッジに仁義を切っておけば取引の安全が保障された。そして、この大英帝国とフリーメーソンのどっちに交易のみかじめ料を払うかの争いが正面衝突したのが、有名な「ボストン茶会事件」であった。そして「国家からみれば密輸であっても、われわれにしてみれば自由貿易である」という運動律が、その後、大英帝国だけでなくアメリカそのものに向かっても発動されることになった・・・・という仮説が現在形において非常に現実感を持ちうる。

こうしてバチカン=宗教からの自由を勝ち取ったイギリスから生まれたアメリカはイギリス=国家からの自由をも勝ち取るべく、アメリカ独立戦争を仕掛けることになる。こうして、宗教からも国家からも自由なアメリカが誕生した。しかしアメリカ独立戦争の実質主導者はフリーメーソンたちであり、いわば完全金貸し支配国家の誕生という意味合いを持つものであった。実際、ジョージ・ワシントン、ベンジャミン・フランクリン、トーマス・ジェファーソンといったアメリカ建国の指導者の大半はフリーメーソンである。ちなみにアメリカ建国の父たちはピューリタンという教科書的言説は誤りである。

とりわけ、フリーメーソン、ベンジャミン・フランクリンの活躍は大きい。彼は諜報大国イギリスに学びながら、そのイギリスをも騙して独立を勝ち取った、情報戦の勝者である。http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=282508

アメリカのスパイの元祖は、雷雲の中に凧をあげて、雷が電気であることを実証したあの有名なベンジャミン・フランクリンだと言われてきました。様々な歴史的文書の調査結果では、フランクリンは一時イギリスの諜報エージェントとして活動し、時にはジャクソン、時にはジョンソン、ニコルソン、またある時にはワトソンなどの名前で署名したことが判明しています。アメリカからフランスに大使として派遣された時には、イギリスが彼のことを「エージェントNo72」と呼ばれていました。彼は何をスパイしていたのでしょうか。

イギリスとフランスが犬猿の仲にあったため、フランスから信用されていたフランクリンは、手に入れたフランスの情報をイギリスに渡していましたが、ところが彼はそこで得た情報をアメリカにも送って、裏では独立戦争でアメリカが有利になるよう工作しました。彼の優れていた才覚は、この秘密組織に加入する事によって、最終的にはアメリカの独立を認めさせるようイギリス人との友好関係を築いて、見事にその目的を果たしたことにあります。「2重スパイ外交員」、それがベンジャミン・フランクリンです。

フランクリンがイギリスの敵国であったフランスとも結び、独立戦争を勝ち取ったことは、アメリカ建国の記念に自由の女神がフランスから贈られたことからも伺える。この自分の利益のためなら二重スパイも厭わないフランクリン的な行動原理こそが、アメリカを生み出したし、その後のアメリカという国家の性格を基礎づけていく。自分の利益のために自分の国家であるアメリカをも裏切り続けていくスパイ組織=CIAの登場である。

 

 

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