2007年07月08日

アメリカ連邦準備制度(FRB)設立の背景

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アメリカ連邦準備制度(FRB)は他国の中央銀行より遅れて設立された。第一次大戦前夜の1913年。
その背景を考察する。

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1913年アメリカ連邦準備制度(FBR)が設立されるまでは、アメリカには中央銀行はなかった。1864年制定された国法銀行法によって、それぞれの国法銀行(名前は国法銀行だが、実態は民間銀行)は独自の紙幣を発行する特別の許可を受けていた。つまり、いくつもの民間銀行が紙幣発行権を持っていた。政府は公債を発行し、それを購入した国法銀行から銀行券を政府が受け取る仕組み。
当時の代表的な国法銀行にファースト・ナショナル・バンクとナショナル・シティ・バンク。
ファースト・ナショナル・バンクはモルガン銀行との関係が深い。1890年代には有力国法銀行チェース・ナショナル・バンクを支配下に置いた。
ナショナル・シティ・バンクは、1890年代に”石油王”ジョン・D・ロックフェラーⅠ世の弟ウィリアム・ロックフェラーが経営に参加してロックフェラーの影響力が強まる。
この二大銀行系列が次第に資本的・人的な結合を強化して一体となり、1913年連邦準備法によってアメリカ連邦準備制度(FRB)が設立される。
1912年の共和党タフト対民主党ウィルソンの大統領選で、JPモルガンを中心とした銀行団は、自分たちが操りやすいウィルソンを当選させるために共和党の票割れを画策した。共和党のセオドア・ルーズベルトに共和党から離脱させて進歩党という新党を作らせた。その年、連邦準備法が議会で成立した。

(参考:『最高支配層だけが知っている日本の真実 』副島隆彦編著 成甲書房)
田中宇氏は「国際ニュース解説」で、こう書いている。

1910年代の第一次大戦に際し、アメリカをヨーロッパ戦線に参加させたのが、ウォール街の画策の成果である。  それまでアメリカの政治経済体制は、各州などの地方政府の力が大きく、連邦政府の権力が小さかったが、第一次大戦への参戦に際し、アメリカの経済力を連邦政府(大統領)のもとに中央集権化することが行われ、連邦政府のドルの発行力を増すため、中央銀行にあたる連邦準備制度が作られたりしたが、これらを画策したのはウォール街である。ウォール街は、大統領に大きな権限を持たせてやった報酬として、その後の歴代大統領の外交政策を自分たちに都合の良いように動かす「政治献金」「回転ドア」「ロビー団体」「シンクタンク」などのメカニズムを作り続け、今日に至っている。

当時の背景は?

1800年代アメリカは、北米大陸の開拓=先住民の侵略により領土を拡大してきた。それが終わったのが1890年フロンティアの消滅宣言。以降アメリカは、海外侵略を始める。1898年スペインとの米西戦争を皮切りに、キューバ・フィリピン・グアム・プエルトリコ・ハワイを支配下に置く。さらに、ドミニカ・ハイチ・メキシコなどに海兵隊を出兵させる棍棒外交を繰り広げた。
一方、第一次対戦前、アメリカは35億ドルもの債務を抱える世界最大の債務国であった。ところが、第一次大戦が始まった当初、アメリカは中立を保ち、ヨーロッパに兵器・食糧の輸出して儲けた。最初はドイツにも輸出していたが、急速に英仏へ偏っていく。1914年輸出額が英仏7.5億ドル、独3.5億ドル→1916年には英仏27.5億ドル、独0.02億ドル。モルガン財閥は英仏に30億ドルの兵器を売り、アメリカは10億ドルを英仏などに貸付。そして、モルガン財閥は膨大な貸付金・未回収債権を確実に取り立てるためにアメリカの参戦を望んだ。
ドイツの潜水艦が客船を撃沈し、多くのアメリカ人が死亡した事件(ルシタニア号事件)などが参戦の世論形成に利用されたが、真相は、英仏が負けると膨大な貸付金が回収できなくなるので、アメリカが英仏側に参戦したということ。そして第一次大戦後、アメリカは125億ドルもの債権を抱える世界最大の債権国となった。1920年代にモルガン系の銀行は、ヨーロッパ諸国に9.6億ドルもの金を貸し付けている。

(参考:『早わかり世界近現代史』宮崎正勝著 日本実業出版社 『詳説世界史研究』山川出版社)
続く
(本郷)

List    投稿者 hongou | 2007-07-08 | Posted in 03.アメリカの支配勢力と支配構造2 Comments » 

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コメント2件

 ふくしょー | 2007.08.10 7:48

>石油の消費量は世界中で伸び続けている。もっと深刻なのは軍事にともなっての石油消費である。石油は消費されるように仕向けられ、さもなければ政府自らが莫大に消費しているのだ。
なるほど~ アメリカが突出しているわけだ。

世界各国の原油生産量と消費量

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cheap hermes belts china 日本を守るのに右も左もない | 原油枯渇説の論拠

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