【日本列島を一つの会社と捉え地方産業を活性化させる】
本来競合関係にある企業が協業し、新しいバリューチェーンを構築する事で、衰退を続ける地方産業、特に第一次産業を再生させる兆し現れてきています。
バリューチェーンとは生産・流通・販売というフレームワークの中で、自社の強みを可視化し、企業間競争にどうやって勝っていくかという考え方ですが、新しいバリューチェーンの形は企業内とどまらず、日本列島をひとつの企業として捉え、生産・流通・販売の各フレームワークをその業態を得意とする企業が担い、商品を高付加価値化していくという動きです。
その最先端事例として挙げられるのは(一社)離島振興地方創生協会(以下、離創協)です。
https://risokyo.or.jp/
前阪急オアシス会長の千野氏が立ち上げたこの協会は、長崎の離島振興を中心に活動をしています。
長崎県の人口減少率は2021年10月の国税調査によると全国で4位。
対馬、壱岐、五島列島といった離島の人口減少率は更に加速している事は容易に想像出来ます。
これら離島の主産業は農業、漁業といった第一次産業。
島の若者は高校生になったら島を出て行き、そのまま島には戻ってきません。
結果、第一次産業の担い手は消失し続け、人口は減少の一途。このままでは離島は無人となり、国境を維持できなくなる可能性が現実のものとなろうとしています。
この状況を打破するために離創協は新しいバリューチェーンの考え方を提示しています。
具体的には、最適規模のエリア別バリューチェーン(生産→一次加工→加工→保管→二次物流→販売)の構築。離創協が離島・地方の生産者と販売者(小売業、外食産業、給食産業、海外、Eコマースなど)をつなぐ役割を果たすという事です。
これにより、都市と地方のバリューチェーンが創出され、マーケットインの視点をもって離島の産業再生が実現しています。
更に、バリューチェーンが構築された事により、その基盤である生産拡大基盤、生活基盤の整備も推進され、人口減少に対し歯止めを利かす政策も進んでいます。
この間、社会を守るために様々な取り組みを始める個人、企業は増えてきていますが、更に大きな視点でこれまで競争相手だった企業同士も、社会を守るために連携する動きが顕在化してきました。
コンサルティングな視点ではなく、実践主体としてあらゆる視点、位相で自分達が今、何をなすべきかという事を追求し、実践する動きが顕在化しています。
本当に皆のために出来る事を実践していく時代に入ったという事です。
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