2009年01月20日

東南アジア諸国と日本 ~タイ編~

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昨日のフィリピンに続き、東南アジア第2弾「タイ」について検証したいと思います
まずは、タイ知識を・・・
タイは、国土の約4割が、耕地になっており、農業従事者は、実に就業人口の約4 割を占
めている。1980年代までは対GDP比率で50 %を上回っていたが,その後の製造業やサービス業等の急速な発展により、1990年には約13 %,そして2000 年以降は10%まで低下している。
平均的な農家経営は,全所得の6 割程度を農外収入に依存しているのが実態です。
国際市場に左右されながらも、タイの経済を担っていると言っても過言ではない、タイの農業を見て行きたいと思います。(続く)

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●緑の革命に影響を受けた70~80年代
タイの農民は、衣食住医を自然から賄う生活の知恵と伝統的な農法(※1)を取り
入れていたが、1970年~80年代にロックフェラー財団が作り出した「緑の革命(※2)」
の影響を受け、高収量品種から多額の増収を見込んだ農民達は、こぞって伝統農法を止め、
貿易に有利な単一作物を作り出した。
しかし、ここで、恩恵を受けたのは、地主・富農等上層農民だけである。
高収量品種を育てるには、農業機械、農薬、化学肥料といった高コストがかかり、多くの農民は、多額の借金(※3)を抱えるしかなく、作物の出来、取引価格の暴落等で、土地を売却し、小作人としてしか生活が出来なくなった。(農民の低所得化) 伝統農法で培ってきた「結」も瓦解され、農村共同体意識が崩壊してしまった。
また、水資源の不安定性、塩害になりやすい土壌、森林資源の急速な減少、環境問題も起
こり、タイの農業は、「緑の革命」によって外国資本の市場に組み込まれてしまったと言える。
以上から、肥料、農薬、農耕具等の工業製品の購入といった、経済的戦略を狙ったアメリカ
や外国企業による工場資本へのやむをえない従属・依存という構造を作り出した。
(※1) 天水田農業=土着のインディカ品種を利用し、雨季の始まりに水牛で耕起し、乾季に刈り入れ
    する雨季一期作のことである。田植えと刈り入れの労働ピークでは、伝統的な労働力利用として
    の相互的な労働交換を用いて解決していた。
(※2) IRRI(国際稲研究所)が開発した稲の高収量品種とそれに伴う農業機械、農薬、化学肥料等の
    使用し、画一的で効率的な農業として、政府や企業によって推進された。
(※3) 畜産、果樹、野菜生産ともにその収益性は低く、所得は全国平均の40%程度である。
    1997年度で約480万世帯の農民が、総額約2000億バーツの負債を抱えている。このうち、高利
    貸しからは1300億バーツも借りているという。農民の平均所得が3万バーツなのに対し、農家一
    世帯あたりの負債は約3万5千バーツにのぼる。
●資本主義化していくタイ経済
タイが工業化・開発に踏み切った背景として、1958年のサリットのクーデターと軍政以降ということがあり、1961年に始まる「社会経済開発計画」政策と外資導入策がアメリカの全面的バックアップによって行われた。
これは、積極的に外国資本に依存する工業化政策であり、外国資本の助けを借りて、国内で輸入に代替してつくり出す、という意味で「輸入代替工業化」と呼ばれた。
一方で、国の自主的選択の結果というよりも、先進資本主義国や国際機関に従属した選択であったため、従属的工業化ともよばれる。
輸入代替工業化(従属的工業化)の有力な契機は、1957年世銀調査団によるタイ経済の包括的調査と政策提言であった。この世銀報告は、
① 農業を重点的に開発すること
② 民間主導の工業化を推進すること
の二点を提言した。
この報告の考え方がもとになって、
① 産業基盤の整備を外国援助中心に行い、農民や資本の経済活動を刺激する。
② 数々の恩典を与えて、外国資本の直接投資を奨励する。
という二本柱の政策が1961年からの「経済社会開発計画」、「産業投資奨励法」のもとで遂行された。
1960年代から開始されたこの外資依存の工業化政策は、アメリカ・世銀など国際機関の外国
人専門家の全面的な協力がとくに当初にあった。
開発政策の農業戦略の特徴としては、
① 農業生産物を多様化して輸出を増大させること
② 都市部と農村両方に見られる低収入に対しては、国内販売用の作物栽培の多様化、家畜飼育・作
   物栽培の結合で増額できるようにすること
③ 失業の問題に対しては雇用創出で対応すること
④ 農村の貧困問題に対して生産の増大と農民の収入向上を目標とする。
等が挙げられる。
しかし、この国際金融家の投機を奨励する政策が仇となって、ドル・ペッグ固定相場制だったバーツが過大評価され過ぎ、98年遂に貿易の経常赤字が投機家達から大量のバーツ売りを行われ、タイ発「アジア金融危機」が起こった。(※4)
(※4) 田中宇氏 「アメリカによる世界経済支配の終焉」
( http://tanakanews.com/e0108thai.htm )を参照して下さい。
 98年IMFが介入し、ぼろぼろにされたタイ経済をそれ以降下支えをしたのは、農業に他ならない。政府は、多くの失業者を就農できるように、全国に7万ある村々にそれぞれ100万バーツ(約250万円)ずつの資金を低利融資したり、1村1品運動や農業支援を行い、内需安定基盤を作り、タイ経済の復興は、わずか5年でIMFの借入れ金122億9,600万ドルを完済させた。
●現在~世界金融危機余波
この経験を受け、今回の世界金融危機下で、穀物高騰⇒急落等、未だ市場の波に左右されている感もあるが、再び失業者の受け皿として就農が脚光を浴びている。(※5)
(※5) 「るいネット 世界的大不況、地道な対策を打ち出すアジア諸国・タイ」を参照して下
さい。( http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=191655 )
    日本の自給自足を探る上でも、参考になる事例かもしれません。
また、タイは、欧米支配からの脱却を掲げ、東南アジアでの連合(GMS、BISTEC、ACMECS、ASEAN+3)に力を入れており、今後もタイに注目していきたいと思います
次回は、自給自足の御手本となりそうな「インドネシア」を報告します
楽しみにしておいて下さい 😀
(スパイシー)
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List    投稿者 sionz | 2009-01-20 | Posted in 09.国際政治情勢の分析5 Comments » 

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コメント5件

 『たに』 | 2009.05.13 20:57

こんばんわ。
いつも楽しみにしています。というか教えてもらってます。
小沢さん、引っ込みましたね。
私も勝手に考えてブログ打ってますが、同じような内容が次にあれば、私も少し目が肥えた気がするんで、「次の真意」が待ち遠しいです。まじめな話しとして。

 finn | 2009.05.13 22:59

国民の注意を”民主党”にひくことができたんじゃないかな。と思いますよ。給付金で予想通り自民に風が吹いていますからね。策士ですよ彼は。

 匿名 | 2009.05.14 19:37

さっそく小沢さんは岡田さんを引きずり落としにかかっているようです。
やっぱり、表舞台に出るよりは裏で操るのが大好きなんでしょうね。
それで生き生きとして見えるのかもしれません。

 hermes lindy | 2014.02.02 17:22

hermes handtaschen vintage 日本を守るのに右も左もない | 小沢一郎、元気はつらつ辞任会見 その1

 mbt fashion shoes online | 2014.02.22 10:32

mbt tataga 日本を守るのに右も左もない | 小沢一郎、元気はつらつ辞任会見 その1

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