2015年07月08日

中国経済の実態を総括「新常態ー中国が直面する6つのボトルネック」2/2

前編では「世界の工場」からの転落と、大量の失業者+自給難という実態であった。
後編は地方の債務状況と経済危機である。
ー後編ー
5、『金融危機』
6、『富の分配の深刻な不公平と貧富の差の拡大』

中国産業の生産能力過剰危機は深刻であるとともに、いつ破綻してもおかしくない地方自治体の債務状況は深刻である。
ホットマネーを囲い込む意図で仕組まれた”遊水池(=不動産)”にお金が集まり、また株式市場にも流れ込んでいる。貧富の差富の偏
在は際立ったものになり、差は激しくなる一方だ。

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「新常態ー中国が直面する6つのボトルネック」2/2

(以下引用)
■第五のボトルネック『金融危機』
(中略)
現在みられるのは解放改革以来、不動産業のでたらめな勘定が引き起こした第三回目の不良債務の頂点です。

第一次は朱鎔基時代で1998年にはじまり、中国政府は最初、1700億米ドルを切り離すのに6年以上の時間をかけました。しかし、古い不良債務を整理したらさらに多くの新しい不良債務が生まれてしまい中国銀行が海外で株を上場するのに大きな障害となりました。で、「賢しこいアイデア」をひねり出し4つの国有資産管理会社をつくりだし、こうした不良資産を隔離して帳面を合わせ、銀行の収支に悪影響を与えないようにしました。そしてその一部の不良資産はまとめて外国の投資会社に売り付けました。
外国投資会社がなぜそんなものを買ったのか?それは当時、彼らにとて中国の金融システムというのは謎に包まれており、そのような不良資産を購入することによって中国金融の仕組みを探っていたのです。

第二次の危機は温家宝時代で銀行の不良資産は8000億ドル以上になりました。米国で上場するためには米国証券市場の2002年7月に決まったSOX法案の規定をクリアしないとダメですから、中国は仕方なく米国の評判の高い評価機構、アーンスト・アンド・ヤング、プライスウォーターハウスクーパースなどの会計監査の助けを借りました。
(中略)
中国政府が銀行の不良資産を処理するやり口のすごさは外国の同業者を唖然とさせるほどのものでした。2008年、米国金融危機に欧州各国の銀行も大変対応に苦労し、米国事態も最後には百年来のリーマンブラザーズを破産させるしかありませんでした。これに対してウォール街ジャーナルは「中共党支部をウォール街につくればいい」という皮肉な一文を掲載して、「資産管理会社を作って不良資産をそっちに移動させ銀行とその会社の間の借金関係にして、帳簿上で何度か転がしたら、跡形もなくそんなものは消えてしまうから」と書きました。

中国の通貨過剰発行の問題についてもお話しておきましょう。この30年来の中国の経済成長の重要な手段というのは通貨の超過発行です。ここ数年は中国は世界最大の貨幣印刷マシンとなっています。2003年から2013年の10年間に基本通貨は88兆元増え、外貨資産は3.4兆米ドル増えました。投資の盛んな時期には超過発行のマイナス面ははっきりは見えません。この二年ほど投資が減速してその結果、国内貯蓄が増えて、遊動資産が増え、流動性の過剰さが増しました。これを帳消しにする手段は極めて限られており、中国金融の後ろ暗さをしっかり承知している中央銀行の周小川総裁はついにこれを相殺する方法を考え出しました。

それが2010年11月の経済サミットで提起した「池理論」で、そのあらましは短期の投機的資金、ホットマネーの流入に対応するためにしっかりと防波堤を築く必要があり、すでに国内に流入したホットマネーには”遊水池”をつくる、というものです。周のいう『池』とはなにか?それは分かりやすく言うと不動産を池にして流動性を囲い込むというものです。
それが中国の不動産価格がどんどん上がりっぱなしになって世界一になった理由です。誰かがかつて北京の不動産価格だけでアメリカ全土まるごと購入できる、と皮肉ったものでしたいまや不動産業がダメになり、株式市場が「遊水地」となり、流動性を囲い込もうとしていますが、一旦株価が下落すれば市場価値は蒸発してしまい、流動性は大々的に減ります。

中国はかくも大量の通貨を発行していますが、基本的な生活用品でみればインフレ率は高くないようです。その原因は消費物価指数には不動産ははいってないからです。米国ではいれてます。もしそのようにしたなら中国のインフレ率は相当高くなるでしょう。現在、不動産市場は下落しているので、株式市場を「池」にして、株価の急騰暴騰は暫時、金融危機を解消します。
このやり方は国民党末期の金円券制度(*リンク)よりカシコいものです。国民党の金元券は強奪に近いもので、国民党は政治的大失敗となっって、軍事的失敗と同時に財政が崩壊してしまいました。
(中略)

■第6のボトルネック『富の分配の深刻な不公平と貧富の差の拡大』
この20数年にわたって中共権力貴族層は公共財と民の財を誰憚らず略奪してきたために、貧富の差富の偏在は際立ったものになりました。
(中略)
2012年中国の家庭の財産のジニ係数は0.73で、頂点の1%の家庭が全国の三分の一以上の財産を占有し、底辺の25%の家庭の財産は総量のわずか1%前後でした。このような富の角の偏在、高いジニ係数は世界中を見渡しても中国しかありません。
ですから中国の低収入階層というのは貧民であり、人口の6割をしめており貧乏人の多すぎる社会であり、社会的に上昇していこうにもパイプがないという社会ですから、不安定要因に満ち満ちた社会なのです。
(中略)
1949年以前、中国はこの手の革命をおこないました。農民一揆と共産革命です。二番目は帝国主義的な、資本主義経済の危機にあたって、戦争によって対外的な拡張でもって国内の危機を乗り切るやりかたです。第三はケインズ方式で、国家の関与を強め、税収をたかめて赤字財政によって投資を刺激し、就職口を生み出し国民の購買力をたかめて資本主義の生産過剰の危機を解決するやりかたです。中国政府は事実上計画経済のもとで政府のコントロールとケインズ方式を一緒にしているのですがみなさんもご存知の通り効果は芳しくありません。
(引用終り)

List    投稿者 sin | 2015-07-08 | Posted in 01.どうする?マスコミ支配No Comments » 

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