2009年02月24日

生き残る学校って?

昨年来、金融危機は、実体経済に大きな影響を及ぼし、日本も不況の真っ只中にあります。
日本の産業も過酷な状況にさらされていますが、教育業界、特に私立学校も生き残り戦略に必死です。
今後、少子化で、子どもの数は確実に減少します。平成5年頃がピークで200万人以上いた18歳人口は、今後減り続け120万人程度まで落ち込むのは確実。
大学全入時代などと言われ、学校間の生徒獲得競争も熾烈化してきています。しかし、これにプラスして経済危機がのしかかってきました。いま学校をとりまく状況とは?

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生徒や学生の確保が経営の要となる私立の中学・高校、大学は、生き残りを賭け、様々な改革を行っきました。
ここ数年で中等教育におけるトレンドは、「中高一貫化」「男女共学化」「コース制」など。このため、大学附属の高校などが、新たに中学を新設し、一貫化を打ち出す流れは現在も続いているようです。
一方、学力向上や進学実績に力を入れ、エリート教育を打ち出し、ビシビシややっている学校もあります。
公立も、例えば都立が進学校を復活させたり公立中高一貫を打ち出し、私立優位からの逆転を目論んでいるし、大阪府もこれに追随しています。
大学に目を転じれば、学部再編、入試改革(AO入試)、キャリア指導、社会人への門戸の開放、ビジネススクールの併設など、やはり目まぐるしい改革を行っています。
学校法人の合併・統合や系列化、連携、など一般民間企業のような経営再編も目に見えてきました。
文部科学省にとっては、少子化は既定の予測の範囲であり、早くから自助努力が必要と近い将来の経営危機に対しての私学の対策を呼びかけていましたが状況はかなり深刻のようです。
今、大学では現在約半分の私大で定員割れが出ています。少し古い記事ですが、以下を引用させていただくと・・・。
■私大の定員割れ5割弱 大学の「倒産」現実に 
2008/10/ 9
大学全入時代を迎え、大学の“倒産”が現実のものになった。私大の定員割れは全体の47.1%に達し過去最悪の事態。国の教育方針を決める文部科学大臣の諮問機関、中央教育審議会(中教審)は大学の統合再編も視野に入れて本格的な議論に入った。
9法人は「いつ、つぶれてもおかしくない状態」
鈴木恒夫・前文部科学相は2008年9月中旬、少子化が進み大学を取り巻く環境が厳しくなるなか「中長期的な大学教育全体の在り方を見直さなければならない」として大学教育制度の再構成や国際競争力の強化などの審議を中教審に諮問した。
これは、日本私立学校振興・共済事業団(私学事業団)が7月末に明らかにした私立大学の入学状況調査(08年5月1日現在)で、私大の定員割れが昨年比7.4%アップの47.1%(266校)になったことが”引き金”になった。
「定員割れの私大はかつて年20から30校だったが、1999年以降、急激に増加、06年には200校を突破した。少子化と規制緩和による大学数の増加が主な原因。文部科学省は、定員割れが進めば大学の経営破たんにつながり、在学生へ影響が出ると中教審に解決策を預ける事になった」(文部科学省担当記者)。
現実に、私大の経営状況は厳しくなっている。私学事業団が、08年1月にまとめた私大の経営状況調査では、521の大学法人のうち64法人が「経営困難状態」と判定され、9法人は「いつ、つぶれてもおかしくない状態」というショッキングな結果が出た。
大学人気の二極化も進む
「首都圏の大規模、ブランド大は地方会場での入試、全学統一入試で受験生の囲い込みを行なっている。これにより、地方より大都市、小規模校より大規模校という大学人気の二極化が一層、進んでいる」(同)。
私学事業団でも「地方の大学や小規模な大学は定員を縮小し、収支を均衡にさせる縮小均衡にならざるを得ない。ブランド力ある一部の大学は定員を増やしていくだろうが、多くの私大は規模を縮小しないと、いずれ淘汰される」と分析する。
文部科学省は規制緩和により大学を簡単に設立できるようにして増やし続けた。大学数は90年の507校から現在、227校増えて734校。少子化にもかかわらず大学を増やし続けた文部科学省の責任も大きい。全ての大学関係者は中教審の審議の行方を見守っている。
J-castニュース
一方、ここに来て実態経済の急速な悪化で、家庭の教育費負担にも深刻な影響が出始めています。学費が払えないで学校を断念する生徒や学生が出始めている。以下引用です。
引用(私立高校の場合)
学費滞納の私立高生、昨年3月の3倍に 私立中高連調査 2009年2月10日10時59分
 学費を滞納している全日制と定時制の私立高校生は昨年末時点で全体の2.7%と、その9カ月前の3倍に上ることが日本私立中学高等学校連合会の調査で分かった。
 連合会が塩谷文科相の意向を受けて今年1月に調べたものを、文科省が10日に公表した。回答したのは全私立高の9割以上にあたる1218校で、約91万4千人の生徒のうち、2万4490人が滞納していた。同時に昨年3月末時点の状況も尋ねたところ、全体の生徒数はほぼ同じで、滞納者は7827人と0.9%だった。
 地域別で滞納が多かったのは九州の5.7%で、昨年3月の4倍近かった。次が北海道・東北の4.5%、中国・四国の3.3%。東京地域は最低の1.3%だったが、昨年3月の3.3倍だった。
 塩谷文科相は「一般的に3月末に支払う傾向があるが、(不況で)それ以上に増えると思うので相当数の滞納者が出るのでは。生徒たちは支援制度もあるので相談してほしい」と話す。同省は追跡調査も検討している。(上野創)
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引用(大学の場合)
雇用情勢の悪化に対応した大学の緊急経済支援 学費減免の取り組み
2009年2月10日
 入試シーズン真っただ中だが、雇用情勢の悪化で、入学金や授業料などが負担できず、進学を断念する例も目立つ。そんな人を支援しようと、学費を減免し奨学金を充実させる大学も増えている。(砂上麻子)
 立命館大(京都市)は、家計の悪化で学費納入が困難になった新入生や在学生を支援するため、二〇〇九年度の奨学金を約三億円増額する。対象となる学生数は前年度から倍増し、約千五百人になる。
~中略~
 同大によると、昨年秋ごろから「学費の納入を延期したい」「学費が納められない」といった学生からの問い合わせが目立ち始めた。同大広報は「奨学金増額で学生が安心して学業に専念できる環境をつくりたい」と話す。
~中略~
 日本学生支援機構(横浜市)の学生生活調査では、一年間の学費は国立大で約六十五万円、私立大平均は約百三十二万円。収入が激減した家庭にとって負担が重く、進学をあきらめる例も目立つ。進路情報研究センター「ライセンスアカデミー」(東京都新宿区)が昨年十一月、全国の高校五百七十七校を対象にしたアンケートで、22%(百二十八校)が「景気後退後の影響により、進学断念・進路変更した生徒が前年より増えた」と回答。入学する大学を一校に絞った推薦・AO入試でも「合格を辞退した生徒がいた」は7%(四十二校)あった。同センターの山野智彦さんは「経済環境の悪化が大学進学に影響を及ぼしているのは確か」と指摘する。
 奨学金の利用者が最も多い日本学生支援機構は返済猶予の要望が多いことから、一月末に臨時相談電話を設けた。三カ月以上返済が滞っている延滞債権額は昨年度末で二千二百五十二億円。今後も雇用情勢の悪化が予想され、滞納額の急増が懸念されている。それに歯止めをかけようと、同機構は二〇一〇年度から、三カ月以上の滞納者に対し、個人情報を信用情報機関である全国銀行個人信用情報センターに提供する。提供された人は銀行ローンやクレジットカードの利用が難しくなる。同機構広報は「返済することを念頭に計画性をもって借りてほしい」と注意を促す。
 学費が払えない場合、分割や納入延期に応じてくれる大学もある。前出の山野さんは「入学辞退や退学などを考える前に大学に必ず相談を」とアドバイスし、学費を負担する親に対しても「長期的な子どもの進学計画を立て、必要な資金準備を進めてほしい」と求めている。
東京新聞
厳しい経済状況の中で、教育分野からも目が離せないようです。

List    投稿者 hiroshi | 2009-02-24 | Posted in 12.現代意識潮流4 Comments » 

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コメント4件

 unimaro | 2009.06.04 21:39

お疲れ様です。
朝鮮という目くらましに騙されないで粛々と目的に向うこちらのブログに好感が持てます。
流石と思いました。
いつも勉強させていただいております。
どうもありがとうございます。
>家計の投資/貯蓄バランスは中国とインドが高く…
これと露米とも比較してみたいですね。露米、支那インドは似たレベルではないか?と思っております。
ブラジルは東南アジアレベルから抜けることは無いと。大衆レベルの話ですが。
でも大衆が最強の日本がここまでなったので、国家の基盤は大衆レベルだということではないでしょうか。
時にオバマ氏で北米統合は出来るのでしょうか?

 ようこそイサオプロダクトワールドへisao-pw | 2009.06.05 0:05

鳩山由紀夫民主党に求められる覚悟!

★鳩山由紀夫民主党に求められる覚悟!小沢一郎の存在こそ国民主権実現への道を拓く。

 ギニュー特戦隊 | 2009.06.05 11:09

unimaroさん コメントありがとうございます。
>これと露米とも比較してみたいですね。露米、支那インドは似たレベルではないか?と思っております。
ブラジルは東南アジアレベルから抜けることは無いと。大衆レベルの話ですが。
でも大衆が最強の日本がここまでなったので、国家の基盤は大衆レベルだということではないでしょうか。
おっしゃるように、最終的には大衆レベルの生産力と技術の蓄積が決め手でしょうね。
しかし、しばらくの間は世界を翻弄し続けた金貸し&国家上層部は暗躍すると思います。
ロシアやブラジルは、資源の高騰によっては、まだまだ浮上するかもしれません。(あくまでも対外黒字という観点で→生産力・技術力があがるとは限らない)
当面は、世界の余剰資金がどこに廻るか注視する必要がありそうです。

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