「一人っ子政策」緩和で、年間の新生児数が最大200万人増加は本当か?
中国(北京)では、「一人っ子政策」が緩和し、年間の新生児数が最大200万人増加すると見込まれるため、衛生当局が出産ラッシュへの対応策を講じ始めている。
しかし、近年の中国総人口推移に比しても数値の桁が大きく違う。
経済成長を遂げる中で、人々の意識も大きく変化してきている事から、一時的な変化に留まると思われる。
・・・経済成長の鈍化に対する目先的な対策であり、思惑の様にはいかない可能性大。
一人っ子政策の実施により、「人口出生率の低下、年少者負担率低下、高齢者負担率増加」という変化が起きた。
※下記グラフ上段:「年少者負担率=生産年齢人口(15~64歳)に占める年少者(0~14歳)人口の割合」
※下記グラフ下段:「高齢者負担率=生産年齢人口(15~64歳)に占める高齢者(65歳以上)人口の割合」
年少者負担率と高齢者負担率の両方を足し合わせた人口総負担率は、1982年の62.6%から2010年の34.2%まで減少し続けた。2010年までの人口総負担率の減少を、言い換えれば、2010年までの中国は生産年齢人口で支えられていた(=人口ボーナス)と言える。
※下記グラフ:人口総負担率
●一方で、今現在は生産年齢人口の減少が注目されている。
中国の人口総負担率が2011年から上昇に転じた。言い換えれば、2011年から生産年齢人口の割合が低下したということになる。
生産年齢人口のコアとなる15歳~60歳の労働人口数が減少している。2011年から2012年(93,727万人)までに345万人も減っている。
中国にとって、労働人口数の減少は初めてであり、人口構造のアンバランス問題が顕在化してきている。
また、中国の男女出生比率が2012年には117.7であり、明らかに正常の範囲(105前後)を超えている。女性より男性が常に3,000~4,000万人多い。
中国では、昔から男子重視の考えが根強いのが原因。
●この状況の中で「一人っ子政策緩和」は有効か?
⇒「一人っ子政策」での効果は・・・、
・人口4億人余りの抑制、資源環境への負荷も軽減。
・経済成長から、都市部でディンクス増加、拝金主義者の増加。
⇒毛沢東時代の「ベビーブーム」では・・・、
・多子多福(子供が多いほど、福も多くなる。ここでいう福は主に老後の保障を指す)」のような伝統的な考え方があった。
・貧困と経済未成熟で餓死する者もあった。
これらに比べて「一人っ子政策緩和」についての意図が感じられない。
伝統的な意識が犠牲になり、経済的な発展が遂げられたなかで、本源潮流への意識転換はそう簡単に変わるとは思えない。
※参照サイト
「中国が一人っ子政策をいよいよ見直しへ」(http://www.fujitsu.com/jp/group/fri/column/opinion/201402/2014-2-2.html)
「中国が出産ラッシュ対策 「一人っ子政策」緩和で年200万人増加予想」(http://jp.wsj.com/articles/SB10001424052702304817704579592992105451818)
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