【インボイスで殆どの農家は適格事業社になる必要がある?!】
先日の参議院選挙で与党が圧勝したことから、インボイスの導入はほぼ確定といって間違いない状況です。
そこで、売り手と買い手の問題点を整理します。
まず売り手。農家の問題点を整理します。
1.買手事業者(小売店等)が取引先にインボイス制度登録事業者を選ぶようになる可能性大
売手事業者がインボイス制度に未登録の場合は、今までは支払う必要のなかった消費税を、買手事業者が支払うことになります。
買手事業者が仕入税額控除分の損をしたくないと考えるのは、必然と言えます。
その結果、インボイス制度に登録済みの農家を選ぶ可能性が高くなるのです。
2.インボイス制度未登録では農家の売上が減る懸念がある
前述したように、買手事業者がインボイス制度に登録済みの農家を選ぶ可能性が高いことから、未登録の農家は売上が減る可能性が高いです。
要するにインボイス制度に未登録のままの課税事業者や免税事業者は、取引がなくなったり、取引先からの発注が減ることで、仕事が減ってしまう恐れがあるからです。
当然、インボイス制度に未登録のままの課税事業者や免税事業者は、買手事業者から仕入消費税分の減額を求められる可能性があります。
3.免税事業者は課税事業者にならないとインボイス制度に登録できない
そもそも、免税事業者の場合はインボイス制度に登録できません。
適格請求書を発行するためには、課税事業者になる必要があるのです。課税事業者になると、これまで納めていなかった消費税を納める必要があります。
つまり、消費税の納税が免除される条件を満たしているにも関わらず、消費税の納税義務が発生してしまうのです。
要するに免税事業者は未登録のままで仕事が減るか、課税事業者となって消費税を納めるかの選択を迫られるという事です。
もしくは課税事業者に替えられないために、減額の求めに応じなければならない可能性が非常に高いです。
次に買い手。要するにJA以外の販路(小売店、通販プラットフォーマー等)となる事業社です。
1.インボイス未登録の農家との取引をどうするか?
インボイス制度に未登録の農家と取引する場合は、適格請求書が発行されないので仕入税額控除が受けられず、消費税の納税額が増えるので税負担が大きくなります。
今回、免税事業者との取引をする場合、消費税額を仕入原価に反映させる(=仕入額の実質値引き)事は問題ないと公正取引委員会から見解が出されていますが、そもそも手間を考えると取引を取りやめる事業社がいても不思議ではありません。
2.インボイス制度開始から経理事務が煩雑になる懸念がある
インボイス制度が開始すると、仕入税額控除の仕組みが変わることによって経理事務が煩雑になる事は間違いありません。
なぜなら、インボイス制度に登録済みの農家と未登録の農家が混在した状態では、適格請求書とそれ以外の請求書に振り分ける必要があるからです。
更に、振り分けた請求書は仕入税額控除の有無に従って処理するので、入力作業が増えてしまいます。
結局手間を考えると、事務作業面においても免税事業者と取引をするメリットが無いと言えます。
以上、大多数の農家を直撃する税制であり、ただでさえ担い手問題が顕在化してる状況で更に担い手不足が加速しそうな状況です。
税制導入は避けられない状況の中、その上で突破口は無いのか?
次回はその可能性の追求をしていきたいと思います。
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