2014年08月08日

中国はどうなる!?4 ~絵に描いたような格差社会~

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画像はこちらよりお借りしました。

世界第2位のGDPを誇る、いまや経済大国となった中国。上海、北京、広州といった大都市では次々と高層ビルが建てられ、都市にはあらゆるものがそろっている。道路には日本や欧米の輸入車が走り、街では世界各国の食べ物を食べることができる。これらの大都市は、東京やニューヨークなどともひけを取らない繁栄を見せている。一方で、農村部に行くと、このような文明とはかけ離れた風景が広がっている。豊かな暮らしができず、教育も満足に受けることができない農村の人々。。。

中国にはこのような格差が長い間はびこっており、社会問題化している。

前回の記事では、中国の都市部では、ほぼ豊かさが実現されていることを明らかにした。しかし、農村部などを中心に、中国にはいまだに貧困が残存してる。中国の今後の意識潮流を予測していくに当たり、この極端な格差はどのように影響してくるのだろうか?

今回は、中国の格差に焦点を当てて、データ分析を行いたい。

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■所得格差の傾向
○都市部と農村部の所得格差
木走日記のデータを元に所得格差の傾向を分析したい。下の図は、中国の人口密度分布を示している。色が濃いところほど人口密度が高く、都市化が進んでいることを示している。ちょうど、上海や北京のあたりが一段と濃くなっている。また、沿岸部ほど都市化が進んでいるため、色が濃くなっている。逆に内陸部は農村地帯が広がっているため、人口密度も低い。

中国の人口密度分布

中国の人口密度分布

一方、こちらの図は、中国の所得分布を示した図である。色が濃いほど所得が多い人が集まっている地域ということを示しているのだが、先ほどの人口密度分布と濃淡の傾向が驚くほど似ていることがわかる。これは、都市部に高所得者が多く、農村部には低所得者が多いことを示している。

中国の所得分布

中国の所得分布

分布図からでだけではなく、実際の各省や都市の人口密度と所得の相関図からその関係性を確認したい。下のグラフは、中国における人口密度と所得の相関を表している。横軸が人口密度、縦軸が所得である。上海だけが人口密度が突出して高いが、それ以外の都市は概ね緩やかな相関関係が認められる配置になっており、人口密度が高いほど所得も高くなる傾向が見て取れる。

中国に於ける人口密度と所得の相関

中国に於ける人口密度と所得の相関

では、その格差はどれくらい広がっているのか?下のグラフは、各地域で最高所得の上海市と最低の貴州の、所得格差の推移を示している。1995年あたりから急激に格差が広がり始め、未だに拡大を続けている。これを中国の1人当たり名目GDPのグラフと比較してみよう。こちらは、1993年から大きく右肩上がりで増加を続けている。1993年とは、中国が社会主義市場経済に転換し、市場化を推し進め始めた年である。中国の格差とは、中国の経済の拡大と共に広がっていっていることがわかる。

上海と貴州との格差の推移

上海と貴州との格差の推移

中国一人当たり名目GDP

中国 1人当たり名目GDPの推移

中国では、経済成長による恩恵は都市住民のみが受け、農村部では享受できていないのだろうか?下のグラフは、都市と農村の所得を比較したグラフである。これは先ほどの「最高」VS「最低」ではなく、広く都市と農村の比較のため、先ほどのグラフほど格差の広がりは大きくはない。しかし、都市住民の所得がぐんぐん伸びているのに対し、農村住民の所得の伸びは非常に緩やかであることがわかる。1995年から2006年までで見ると、都市住民の所得は7000元ほどの伸びを見せているのに対し、農村住民は2000元程度しか増えていない。

都市・農村比較

中国の都市・農村一人当たり所得
図はこちらよりお借りしました。

以上より、所得格差の原因の一つに、都市と農村の経済状況の差が挙げられる。

■既得権益によって生じる格差
中国には、灰色収入という悪しき慣習がある。灰色収入の他に、白色収入、黒色収入もあり、それぞれ下記のような意味である。

・白色収入:合法な収入。主に賃金所得など
・黒色収入:違法な収入。
・灰色収入:白でも黒でもないグレーな収入。共産党や軍などの既得権益層が職務権限を利用して得る収入

灰色収入

中国の収入の割合
図はこちらよりお借りしました。

灰色収入とは、共産党や軍などのいわゆる「体制内」の人々がその権限を利用して得る収入であり、謝礼だとか、賄賂だとか、そういう類の収入である。これが驚くほど多い。なんと灰色収入は2012年で約102兆円もあったというのだ。しかも急速に拡大中であり、2005~2008年の間になんと91%増!そしてこの灰色収入を得ているのが、下図から読み取れるように軒並み最高所得層に属している。

所得別灰色収入
所得層別の白色収入と灰色収入
図はこちらよりお借りしました。

すなわち、中国では身分という既得権益があればそれを使用して高所得を得られる構造になっており、それにより格差も発生していることがわかる。

■戸籍制度による格差
中国ではさらに、戸籍制度により、生まれながらにして格差が発生してしまう問題がある。

差別的な戸籍制度が阻む中国の社会的「セーフティネット」構築

中国では、1958年に重工業分野での資本蓄積を加速するため、農産物価格を抑え、都市住民の福利厚生を優遇すると共に、農村から都市への人口移動を規制する目的で導入された。都市戸籍を持つ者に対してのみ、食糧及びその他の消費財、住宅、仕事が分配され、農村戸籍を持つ者は特別なルートを通して都市で仕事を得るか、都市の大学を卒業して就職する場合を除き、戸籍を転換し、都市に移住することはできなかった。

改革開放政策の進展に伴い移動の制限はなくなり、現在では農村戸籍を持ったまま都市で出稼ぎ労働を行う「農民工」が2億人近くに上っている。都市で農業以外の仕事をしているにも関わらず、「農民工」(「工」は「工人」(労働者)。すなわち「農民労働者」)と呼ばれ、いつまでも「農民」のタイトルを外すことができないのは、戸籍の規制がなくなれば都市が過密化し、新たに用意しなければならない公共サービスのコストが膨大になるからだ。

農民工は戸籍では「暫定的な居住者」でしかなく、多くの社会サービスを受けることができない。北京市内でも農民工が多く居住する地域を歩いていると、民家の一室に赤十字を掲げる「黒診所」を多く見かける。都市の病院は治療費が割高で、保険に加入していても戸籍所在地から離れた都市部では自己負担率が高くなるため、このようなヤミ診療所が繁盛している。だが、無資格の医師が治療行為を行うため事故も多く、超音波で胎児の性別を調べて女児を中絶させるというような違法行為も横行している。年金制度の発達していない農村では、老後に対する心配もあり、子どもの性別を選別する親が後を絶たない。

このような戸籍制度が、これまで中国における格差拡大を助長してきた。しかし、今年の8/1、戸籍制度の改革が発表された。格差是正を狙ってのこととのことだが、どこまで効果が現れるだろうか?

都市と農村を統一へ、戸籍制度を改革 中国 格差是正や消費拡大狙う

以上のように、中国における格差問題には様々な要因があり、根が深い。改善の動きはあるようだが、このままの流れでは中国の格差はますます広がっていくだろう。ちなみに、7月28日付の朝日新聞の記事によると、中国ではトップ1%の富裕層が全国の3分の1の財産を保有しているとのことである。果たしてこの格差が中国人の意識にどのような影響を及ぼしていくのか?今後も要チェックである。

List    投稿者 nihon | 2014-08-08 | Posted in 01.どうする?マスコミ支配No Comments » 

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