2015年06月27日

中国経済の実態を総括「新常態ー中国が直面する6つのボトルネック」ー前編ー

中国経済の実態を総括する。
以下は、「六つのボトルネック」と題して、中国経済の未来とその関係性を検証するという内容。
→もっとも、中国産業の生産能力過剰危機は深刻であり、「中国経済の核爆弾」とも表現されているくらいである。
その核爆弾はどの様な状況でスイッチが押されるのだろうか?
以下はその目次。
ー前編ー
1、『中国は世界の工場の地位から転落し、復帰は絶望。産業構造再調整は極めて困難』
2、『膨大な失業者の大群』
3、『資源危機の深刻さと高度の対外依存』
ー後編ー
4、『地方政府の泥沼債務』
5、『金融危機』
6、『富の分配の深刻な不公平と貧富の差の拡大』

自動車生産量と販売量粗鋼生産量過剰

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前篇と後編に分けて紹介しようと思います。
ー前編ー
1、『中国は世界の工場の地位から転落し、復帰は絶望。産業構造再調整は極めて困難』
2、『膨大な失業者の大群』
3、『資源危機の深刻さと高度の対外依存』

「新常態ー中国が直面する6つのボトルネック」1/2
リンク

(以下引用)
□今日の講演テーマは「中国経済発展が直面する6つのボトルネック」です。みなさんのために中国経済の実態を総括検討し、この六つのボトルネックを突破できるかどうか、中国の未来とどう関係するかについてお話しいたしましょう。
まず最初に結構なニュースを。2014年から中国はすでに世界のGDP総額で10兆ドルクラブに加入しました。このクラブのメンバーはたった二国しかなく、ひとつは米国、もうひとつが中国です。ただ、中国政府はどうもこれを喜んではおらず、GDP総額が日本を抜いたあのとしから、ずっとこの「世界第二位」の地位を遠慮して固辞し「これは国際勢力が誇大に評価した陰謀だ」と言っていますね。でも事実上、世界銀行とIMFの統計は中国国家統計局のデータをもとにして、さらに購買力平価法で計算したものですから、つまり自分でデータを水増しした結果、このようになったわけで、他人様に文句は言えないのです。

■第一のボトルネック『中国は世界の工場の地位から転落し、復帰は絶望。産業構造再調整は極めて困難』
中国という「世界の工場」は2001~2010年まで光り輝いていましたが、いまやついに取り返しのつかないほどの衰亡ぶりです。最新の報道では世界の工場からの主要工場の東莞脱出、工場閉鎖が第二の波となっているといわれ、去年一年あまりに4000の企業が閉鎖となりました。この衰亡への曲がり角は2008年です。2008年から12年までの公開データでは東莞では72000の企業が閉鎖されました。いま、労働集約型を特徴とする東莞の企業の大量閉鎖は生態環境と労働者の生命を元手とする中国経済の成長モデルがついに行き詰まったという指標です。

これ以前には中国経済の成長は三頭立ての馬、つまり投資、外国貿易、内需で牽引されていたのですが、いまではこの三頭とも息も絶え絶えで、今年の最初の3月間の外国貿易は前年比15%減でありもはや外国貿易という馬が中国経済成長を引っ張れず、別にさがさなければならないということです。過去二十数年来、不動産業界が中国経済成長のトップ産業でしたが高度にバブル化した不動産業界も停滞に陥っており、政府も企業もなんとか滑りおちるのを支えようとしてはいますが、しかし不動産業の上流・下流の数十にのぼる産業は却って全面的な生産力過剰です。

たとえば、鉄鋼業、セメント産業の生産過剰は約3割、比較的距離のある床板、家具、紡績なども深刻な生産能力過剰です。こうした産業の生産能力過剰危機は「中国経済の核爆弾」ともいわれ核爆弾と同様にいつ経済危機に引火爆発するかわかりません。ですから、中国は現在「二つのシルクロード計画」を必要として、アジア投資銀行をつくって、外国にこの生産過剰を輸出したいのです。でも、これは別のテーマですから、今日はこの計画が成功する可能性は比較的低い。なぜならこの計画にはいっている数十の国家は大部分が主権の信用がよろしからぬ国々であり、中国とパキスタンなど国際協力に別の(*政治的、地政学的な)目的がある場合をのぞいて、中国の他の国々への投資はお金が無駄になるだけだとおもう、とだけいっておきます。
(中略)

■第二のボトルネック『膨大な失業者の大群』
(中略)
長い間中国政府の発表する都市の失業率はすべて4.5%以下になっていますが、このデータは中国の失業の真実を説明できていません。第一にデータは都市の政府部門の登記された人口だけで登記外の人口は入っていません。第二には都市登記失業率は農村の失業者を除外していますが、その農村の過剰労働力は相当に膨大なもので、このふたつを除いた統計データというのはもともと穴だらけなのです

現在、中国の失業者の大群は4つの層からなっています。ひとつは農村の過剰労働力、「世界の工場」が倒産したために大量の農民が帰郷し失業状況は深刻です。ふたつには外資系のホワイトカラーですが、外資大量撤退でもとは結構な給料をもらっていたホワイトカラーが失業しています。三番目は大学生で、大学生に就職証明書があってはじめて卒業証書を出すために、学生は両親や親戚に頼んで偽の就業証明を発行してもらいますから学校が提供する就業率というのは完全に意味を失っております。4番目は都市の中学・高校を卒業して長期に家にいる「待業青年」たちです。中国のメディアでは「臑齧り族」とよばれています。

では中国の失業者はどのぐらいなのか?
今年の1月に2015ダボス会議で述べた労働費上昇で中国は1.24億人の製造業の職場が他の発展途上国に移ってしまった、というものです。現在、中国の労働年齢人口は9.4億人で、一旦失業人口が3億ともなれば真実の失業率は32%になります。
(引用終り)
つづく

List    投稿者 sin | 2015-06-27 | Posted in 01.どうする?マスコミ支配No Comments » 

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