2009年12月29日

「観念パラダイムの逆転」シリーズまとめ ~思想史年表~

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この間、現在の既成観念が役に立たない理由と思考パラダイムの転換の必要性をテーマにした、るいネット投稿「構造認識の現況」、「思考次元」、「観念パラダイムの逆転」の各シリーズを紹介してきた。
 
今回はこのシリーズのまとめとして、人類史における観念内容がどのように変遷してきたのかを、年表形式で俯瞰してみたい。
 
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■思想史年表

  
A.現実直視の実現思考→精霊信仰(観念の獲得)
生きとし生ける全ての存在は、外圧に適応すべく探索を続けている(思考している)。外識(感覚機能)と内識(欠乏)をイコールで結ぶことの出来る「実現回路」(新たな本能や行動様式)を獲得しそこに可能性収束する。この観念以前の生物の思考こそ健全なる思考様式(実現思考)の原点である。
 
原始共同体の時代、肉体的には何ら武器を持たない人類は、本能では到底生きる事が出来ない、過酷な生存状況におかれていた。
本能では可能性を全く開くことが出来ない。そのような中にあって、人類は自らを超越した圧倒的な存在である自然に対し、人類の命綱である共認機能を用いてとことん対象を注視し、ひたすら対象の語るところに耳を傾けることで、この自然現象の背後にある大きな力を見いだした。それが、「精霊」である。
 
目に見える対象の背後に、大きな力の存在を措定した、この精霊信仰こそ、本能を超えた、人類の観念機能の原点であり、科学的思考の原点でもある。人類はこの新たに獲得した、本能に代わる観念回路を駆使し、自然を注視し続け、様々な自然の法則(摂理)を掴み取り、極限状態を突破し続けてきた。
 
いうまでもなく彼らは自然外圧を決して否定などしていない。あくまで現実を直視し、その中に可能性を見いだそうとする、実現思考に貫かれていた。
 
参考:思考次元1 潜在思念の実践思考
    観念パラダイムの逆転7 新しい認識だけが、現実を変えてゆ
    実現論 前史 ヘ.人類:極限時代の観念機能
 
 
B.現実否定→倒錯観念の古代宗教
 
6000年前、掠奪闘争が勃発して以降、集団は自らの縄張り=私権の獲得に収束し、集団同士が縄張り闘争を繰り広げた結果、必然的に武力に基づく序列統合=権力支配を生み出した。力の強いものが弱いものを従えるという、力による統合原理である。そして権力支配の進行につれて万人が私権の獲得へと収束していく。
 
古代宗教(ユダヤ教、仏教、儒教、ギリシャ哲学)は権力支配確立期の2600年前に世界的にほぼ同時に登場する。
古代宗教とは、この権力支配がつくりだす、貧困や戦争などの「苦」の現実を全面否定し、頭の中だけで喪われた本源価値を再構築しようとしたものである。
しかしこれは現実の中に可能性を見いだすのではなく、頭の中だけの架空観念に収束したということであって、原始以来(動物以来)の思考であった現実直視(肯定視)のパラダイムから見れば、180度思考ベクトルを逆転した、観念の倒錯である。
 
ただしこれは、身分支配によって現実の可能性が封鎖され、しかもその原因である万人の私権へ収束を覆すことが出来ない以上、頭の中の観念に可能性収束するしかないことは必然でもあった。
 
参考:思考次元2 否定意識の倒錯思考
    観念パラダイムの逆転2 現実否定の倒錯思考
    観念パラダイムの逆転4 実現基盤を摘出できない、現実否定の「構造認識」
 
 
C.現実否定→欺瞞観念の近代思想
 
近代に入り市場が拡大する。これは身分支配に覆われて私権の可能性が封じ込められていた、武力支配から見れば、私権獲得の抜け道が登場したということでもある。
市場の拡大につれて、人々に私権獲得の可能性が開かれると、それを導く新たな思想が登場する。それが近代思想である。
ただし、市場時代も制覇力が武力から資本力に転換しただけであり、なお力の序列原理によって社会は統合されている。従って、近代思想も古代宗教と同じく、現実を否定し頭の中の架空観念に収束するという、現実否定の倒錯観念としての構造は残したままである。
 
古代宗教と近代思想の違いは、古代宗教は現実を全面否定(捨象)しているのに対して、近代思想の正体は、開かれた私権主体の可能性だけを「個人主義」「自由」「人権」等の頭の中だけにしか存在しない架空観念(理念)で正当化していることである。従って近代思想は自己正当化の欺瞞観念と言う色彩が濃厚である。
 
参考:構造認識の現況1 否定意識や自我観念から脱却できない近代人=現代人
    観念パラダイムの逆転2 現実否定の倒錯思考
    観念パラダイムの逆転4 実現基盤を摘出できない、現実否定の「構造認識」
 
 
D.私権の強制圧力の衰弱によって実現可能性が開かれた⇒現実直視の新パラダイムへの逆転
  
先進国では’70年に貧困が消滅する。貧困が消滅すると共に生存圧力は衰弱し、それにつれて人々は私権(地位や金)に収束できなくなってゆく。
これまで人々の現実の可能性を封じ込めていた序列統合や、私権収束は急速に衰弱する。それと共に人々はそれまで封じ込められていた、現実の共認充足の可能性へと収束し始める(仲間収束等)。
現実の本源充足の可能性が開かれた以上、現実否定の潜在思念に立脚する、現実否定のパラダイムの衰弱は必然である。

 
頭の中だけの架空観念(既成観念)は忽ちの内に人々から見捨てられ、既成の思想は急速に力を失っていく。(ただし学者・マスコミなど共認形成の場を独占する知的特権階級の存在によって、なおも支配観念の地位は保たれたままであり、時代の大転換に対して全く答えを出せずに人々を閉塞に追いやっている。)
 
今現在、我々がなすべきことは、この既成観念(現実否定のパラダイム)を「全的に否定」し、現実を直視(可能性視)した人類本来のパラダイム(実現思考)へと早急に頭の中を塗り替えることである。
そして万人が参加しうる、新たな共認形成の場を拡大することで、旧パラダイム派に引導を渡し、みんなの共認によって統合される、共認社会への転換を促進してゆくことなのである。
 
参考:構造認識の現況2 特権知識階級の商売道具と化した「構造認識」
    思考次元3 本能⇒共認⇒観念の超越思考(構造認識)
    観念パラダイムの逆転1 現実捨象の倒錯観念から、観念捨象の現実直視へ
    観念パラダイムの逆転3 現実とは、人々の意識である
    観念パラダイムの逆転5 現実、その下部意識と上部意識
    観念パラダイムの逆転6 残る観念は、頭で塗り替えたら終い
    観念パラダイムの逆転7 新しい認識だけが、現実を変えてゆく
 
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List    投稿者 kknhrs | 2009-12-29 | Posted in 12.現代意識潮流26 Comments » 

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コメント26件

 TY | 2010.08.06 10:01

日本の国債は、90%以上日本人が円建てで買っているので、結果として国民の資産が年々増えているということになります。で、国が破綻するって?

 通りすがり | 2010.08.06 11:23

こんにちは。国の借金=国の力の反映ですよ。
大体、普通の家庭と国の運営は違う。
ネガキャンはつっこみどころ満載です。
国の借金は家庭の借金と違うわけです。

 tiba-tosi | 2010.08.06 12:29

>TYさん、通りすがりさん
コメントありがとうございます!
僕の拙い記事をご覧頂いて嬉しいです。
お二人のおっしゃるとおり、現在の国債は円建てで発行されており、しかも国内保有率が96%と高い状況です。
単純にそこだけを切り取って見てみれば国家の破綻に結びつくとは一概に考えられません。
しかし、国債を無尽蔵に刷り続けなければ国政が立ち行かないという現状、そして最近中国による国債買受(海外流出の可能性)を見るにつけ、決して楽観視はしていられないという状況もおわかり頂けると思います。
まだまだ僕自身不勉強な部分が多く、現時点で納得のいく説明が出来ないのが申し訳ないですが来週アップ予定のシリーズ続編では、こうした表出している事象から問題を掘り下げ、その本質を見ていくつもりでいます。
これからも追求し記事をアップしていきたいと思いますので、またご覧頂いて、矛盾点や疑問点はどんどん出して頂いて一緒に追求して頂ければありがたいです。

 あーなんだ | 2010.08.06 19:53

自転車操業だから良いんでないの?
国債で資金を吸い上げて財政からばら撒いているので、資産が固定化されず循環してるんでしょ?
それから日銀保有分に注目。
日本国債は最終的に日銀が買い入れるから市中銀行は安心して購入できるんでないですか?
日本銀行券がどういうルートで発行され、流通し、我々の手元に届くのか、国債との関わりで誰か明らかにしていないかな?

 おいらは、ちびのり | 2010.08.06 20:43

 日本の900兆円もの借金が危機的状態で無いと言える根拠は、【国の借金=国の力の反映】といった事では無く、(1)国債の90%の債務を日本の企業などが所持しており外国の経済の影響を受けにくい。(2)日本国民の総資産>借金の状況である。の2点です。
 しかし国債発行が続けば利払いが生じ、計算上 国民の総資産<借金となれば安心はしていられません。また企業も外資が経営層での割合が増えれば、日本国内で消化しているとは言い切れず、意図的に破綻させる引き金になり得ます。
 そして日本国内で問題無いと言っても、USA当たりの格付け組織により世界的評価が下がれば、日本経済への影響はゼロではありません。
 行政ですから一般家庭の家計と同じ考えは当てはまりませんが、国債の発行高を縮小する必要はあるでしょう。

 あーなんだこれ | 2010.08.06 23:29

「国民の総資産>借金」の状況・・・って、国債は政府の借金であり、国民の試算だから、現状だと「国民の総資産+国債新規発行による資産の増加=借金+国債新規発行による政府債務の増加」となるから永遠に逆転することはないことになるぞ。
間違ってる?

 小島明宏 | 2010.08.07 0:51

ブログ主宰者様
中学3年の小島明宏と申します。
主宰者様の記事で、よくわからないことがあります。
色々教えてください。
どうして90%以上が円建てで日本人が買っていると、国の借金は安全なのでしょうか?あとコメントで
>>国債の90%の債務を日本の企業などが所持しており・・・
の意味がわかりません。
国債とは国が借金をする際の、証書、債券ではないのですか?
どうして国の借金の債務を日本の企業が持っているんですか?
財政投融資により、国民が銀行や郵便局に預けた貴重なお金を国が半ば勝手に借り上げてそのお金で、アメリカ国債を湯水の如く買ってしまっているのではないですか?金融機関が国債を購入していると言うと、聞こえがいいですが、実際はこれも国民の預貯金や税金を(公的資金)勝手に運用しているだけではないのでしょうか?
私も副島先生の本を、沢山読んで勉強していますが、既に700兆円くらいは、アメリカ国債やドルを購入して、アメリカに貢いでしまっているのではないでしょうか?外貨準備金と言ってもその大部分はドル建てであり、これも植草先生がずっと警告している危険な運用ではないのでしょうか?
手元にいくら日本国債証券があっても、それはあくまでただの紙であり、それと引き換えた現金の大部分がアメリカ国債やドルに変換されている現状で、どうして900兆円もの借金を楽観視できるのですか?
アメリカがデフォルト或いはデノミネーションしたら、どうするんですか?

 あーなんだこりゃ | 2010.08.07 2:11

>実際はこれも国民の預貯金や税金を(公的資金)勝手に運用しているだけではないのでしょうか?
そうだよ。だから良いんじゃん。
貯蓄は投資先を必要とすんの。
民間経済がダメで投資先が無く、金庫で金が眠っちゃってんだから、政府が余った金を銀行の金庫からむしり取って、その金で仕事を注文して金をバラまきをするのは良いことだよ。
金は天下の回りもの。
回さないことが悪。回すのは善。
公的資金なんて言う奴らがいるが、金は元々(中央銀行を含む)政府のものだ。
政府が俺たちに最初にバラマき、その後商品と引き換えに俺たちの間で通貨がやりとりされる。
税だの国債だのは、政府はそれを回収してるってことだ。
>既に700兆円くらいは、アメリカ国債やドルを購入して、アメリカに貢いでしまっているのではないでしょうか?
それ、出鱈目だから。

 あーなんだいまひとつ | 2010.08.07 19:04

>どうして国の借金の債務を日本の企業が持っているんですか?
900兆円の政府の借金のうち、600兆円は特別会計・特殊法人を介して民間に又貸ししているからだよ。
つまり金は以下の流れで借りられている。
市中銀行—>政府(一般会計—>政府特別会計)—>特殊法人—>民間
すると、600兆円の政府債務は以下の流れで返済されなければならない
民間—>特殊法人—>政府(国債整理基金)—>市中銀行
政府の累積債務600兆円について返済義務を負っているのは民間の最終借り入れ主体なのだ。
なぜ景気を良くしないとヤバいのかわかるでしょう?
ところで国債は満期になると返済要求されるはずだけど、国債は満期前に勝手に売り買いして良い。
この場合、満期に政府から金を取り立てる権利を売り買いしていることになる。
で、市中銀行はかなりの国債を満期まで保有しない。日本銀行が買いオペを告知したら、指定された分の国債を日本銀行に売らなくちゃいけない。代わりに市中銀行は日本銀行権を手に入れる。
満期に政府から取り立てる権利が日本銀行に移るわけだは、日本銀行の最大株主は日本政府。つまり日本銀行は政府の子会社であり事実上一部なわけだ。
満期に日本銀行が政府に支払いを請求しても、政府の中で金が右から左にうつるだけ。日本銀行の利益は政府の会計にはいるから。
つまり日本銀行に買いオペされた国債は、まさかの売りオペが行われない限り返済されたのと同じことなわけだ。
もちろん日本銀行は政府から利子収入を得るが、前にいったとおり日本銀行の儲けは政府の会計におさめられるから政府には損も徳もない。
この程度のことは中三社会科の教科書に載ってるんじゃないか?載ってないのか?高校教科書かな?

 ヒデキカンレキ | 2010.08.08 9:26

デフォルトするぞ、などという脅しは財務省のいつもの手口ですね。
それならなぜ法人税の税率を下げ続けているのか?
景気も良くならないのに。
結果的に税収は減り続ける。
なぜ日銀と政府は超円高デフレスパイラルから抜け出そうとしないのか?
容易に作り出せるはずの3%インフレ、その努力さえ怠っている日銀とは何なのか?

 凪に反日って言われちゃった v(^_^ ) | 2010.08.08 11:04

三橋貴明が落選して本当に良かった

 祝・三橋貴明落選。
 と言いたくなるのが私です。
 なぜか?
 この男の経済対策なり政策なりが求めてるのと全く逆だから。
http://ameblo

 凪に反日って言われちゃった v(^_^ ) | 2010.08.08 11:07

社会保障の不要性

 社会保障が崩壊する、大変だ、というような事ばかり聞いたり聞かなかったりするのが不思議でしょうがない。
 なんでそれが必要なのか。
 何より不思議なのが、…

 凪に反日って言われちゃった v(^_^ ) | 2010.08.08 11:11

なんで左翼のような事をいうのか?

 ああそうですかと。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-10597536844.html
>片やや…

 Sunshine | 2010.08.08 12:29

私は、会社経営している者です。
「決算書」というものを作らねばなりませんが、複式簿記の「貸借対照表」「損益計算書」に分かれます。
■この「貸借対照表」の中身は、「資産」=「負債」+「資本」であります
組み替えますと、「負債」=「資産」-「資本」となります。
国家の資本をどう見るかによりますが、資本ゼロとします。
■【資産について】
国は、この「資産」を発表していません。
「資産」は、「流動資産」と「固定資産」に分かれます。
「流動資産」は、「現金・預金」、「売掛金」、「有価証券」、「未収入金」、「仮払い金」等です。
「固定資産」は、「土地・建物」、「出資金」、「車両」等です。
現在、日本の国家資産のうち
「固定資産」だけでも、最低でも700兆円あると言われています。
「流動資産」となると、予測が付きません。
この中には、「他国の「国債」、「返還義務のあるODA」、等があります。
ざっとみても「資産」は、900兆円の負債を超えていると思いますよ。
■つまり、日本株式会社は、赤字国家では無いということです。
「負債額」だけを見ていたら、怖ろしい数字になりますが
【国家資産は、負債額を上回っています】
その負債にしても、身内(国民)が、株(国債)を持っています。
つまり、上場していないので、他国に株(国債)を買われてしまう危険性はありません。
■さらには、国民の「金融資産」だけでも、1400兆円あります。
「固定資産」を含めれば、2500兆円前後になります。
■日本は、優良なる黒字国家です。
財務省とマスコミの「負債危機感」に踊らされては、実像が見えなくなりますよ。

 匿名 | 2010.08.08 18:36

Sunshineさん、バランスシートの考え方も仰る通りなのですが、問題は「資産」が全く発表されていないことです。「資産」として計上されているものの多くが、実は不良債権だとしたら、実は債務超過だったということになります。
建設投資なんかは資産と考えられているようですが、本当に資産価値があるのか疑問ですし、米国債などは間違いなく不良債権です。
財務省とマスコミが「負債危機感」を煽って、消費税増税を目論んでいるのは仰る通りなのですが、あまり楽観はできないと思います。

 あーこりゃこりゃ | 2010.08.08 19:20

>米国債
日本の保有量はたった70兆円(それでも世界一)。
日本の経済規模からすれば、これが完全にゼロ円になっても大したことないんでないかい?(波及効果は考えていない。あくまで米国債だけの話)
そりゃ霞ヶ関や金融屋さんは困るだろうし、自殺も増えるだろうけど、今現在の不況を理由として困っている人や自殺した人の数に比べればわずかなもんだろう。
米国債の心配をする暇があったら国内の雇用を心配した方が良い。
(セットで心配出来る人はそれはそれで良いけど・・・)
今のところ米国債は相変わらず優良資産だ。
利払いもきちんと行われている。
今回の参議院選挙で図らずもみんなの党がバラしていた。
日本政府の米国債保有量は小泉内閣時差井の2002年から2004年の間に3000億ドルから7000億ドルに増えた。倍以上になったのだ。
我が国の米国債保有に不満な人は、小泉・竹中に文句を言おう。

 ないとう | 2010.08.09 0:40

>小島明宏さん
>どうして国の借金の債務を日本の企業が持っているんですか?
1970年以降の日本経済は、高度経済成長期を終え、世帯の貯蓄が増えて行きました(家計の金融資産の増)。現在では超低金利ですが、家計からの預金には銀行は利子をつけて返さねばなりません。かつ、預金(≒金融資産)が溜まっている状態では金回りが悪くなり、景気を維持→回復させることはできません。
当時、日本政府の一般会計予算では、社会保障費が公共事業費を上回り始めた時期で、再び経済成長を目指して、「消費を喚起して」景気を維持しようとしました。(この場合、公共事業は政府自身の供給によって景気を維持しようとすることですし、社会保障は消費を喚起する政策となります)
しかし、税収以上の支出が無ければ、景気を刺激することはできない。そこで、「借金」=「国債発行」となった訳です。先進国では1970年前後から相次いで景気回復のための赤字国債が発行されていきます。この国債を買い受けたのが、家計の金を預かっていた銀行でした。当時の銀行は、「護送船団方式」とも言われ、大蔵省の下で横並びでした。国債の引き受けも、日本の銀行団によって行われました。
バブル崩壊以降は、BIS規制(自己資本比率規制)が引かれていたこともあり、膨大な家計の預金を預かる邦銀は、積極的に国債を買い受けていきます。
1970年以降の日本経済の大きな流れは、「生産力(供給)>消費力(需要)」です。だからこそ、貿易黒字を達成し続けてこれたとも言えます。この”余剰生産力”分を国債の買受に回してきたとも言えます。

 小島明宏 | 2010.08.09 9:09

皆様
私のような世間知らずに色々、教えてくださってありがとうございます。
日本がアメリカに貸しているお金の合計が700兆円規模なのか100兆円規模なのか、どちらを信じていいのか、よくわかりませんが、いずれにせよアメリカのドルは、崩壊するであろうことは間違いないと考えています。
それ以前にカリフォルニアやニューヨークといった州が、デフォルトしてしまうのではないかとも、考えています。
実際にカリフォルニアもニューヨークも公然と、もうだめかもしれないという主旨を州自体が、何度も発信しています。

 ないとう | 2010.08.09 17:12

「日本がアメリカに貸しているお金=米国債の保有残高」は、アメリカ財務省が公表しています。
http://www.treas.gov/tic/mfh.txt
http://blog.livedoor.jp/nandeya_umeda/archives/51041317.html
これによると、日本は
786.7(billions of dollars)=7867億ドル 分の米国債を保有していることになります。(2010年5月、現在は中国についで2位)
7867億ドルは
 1ドル=100円とすると 78.67兆円
 1ドル= 85円とすると 66.87兆円
となります。
現在のような円高ドル安局面だと、米国債の(日本円に戻したときの)価値はどんどん減衰していきます。
これを多いと見るのか少ないと見るのかは、議論が分かれるところだと思いますが、
少なくとも、日本が米国債を買うことは、アメリカが強く望んできたことで、現在の世界2位の保有量は「日本がアメリカの属国であることの証」であるとは言えると思います。

 あーこりゃこりゃ | 2010.08.09 18:39

>「日本がアメリカの属国であることの証」である
対米貿易黒字の資本輸出分が米国債に向かうなら分かるけど、わざわざ政府短期証券の発行で得た借金でドルを買って、米国債を買うなんて、属国呼ばわりされてもしょうがないよね。
でも、2005年以降、日本政府の為替介入は行われていないし、それに合わせて米国債購入も控えているらしく新規の増加分は無いみたいですね。
それとも円高で目減りした分、買ってるのに残高は減ってるってこと?
それにしても中学生相手に日本の米国債保有量は700兆円だって吹き込んだホラふきはどこの誰だ???
すげー迷惑なヤツだ。

 ないとう | 2010.08.10 2:02

加えて、日本全体として、どれくらいアメリカに投資していて、どれくらい借金を抱えているかは、日銀が公表しています。
日本銀行:国際収支統計
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/bop/index.htm
これによると2009年度末で
・・・・・・・・・・直接投資・・証券投資・・合計
対米債権・・21.2兆円・・84.6兆円・・105.8兆円
対米債務・・ 6.9兆円・・49.7兆円・・ 56.6兆円
となっています。
日本は世界最大の債権国家(=金を貸している国家)ですが、アメリカに対しては突出して高く、「政府が米国債を買う」だけでなく、「日本の金融機関が、アメリカの民間金融機関や企業に投資」していることが分かります。
小島さんの「100兆円」という言葉は、この統計から出てきているものと思います。

 tiba-tosi | 2010.08.10 18:34

皆さんコメントありがとうございます。
>それにしても中学生相手に日本の米国債保有量は700>それにしても中学生相手に日本の米国債保有量は700兆円だって吹き込んだホラふきはどこの誰だ???
>すげー迷惑なヤツだ。
僕も気になっていたので調べてみました。
以下引用です
―――――――――――――――――――――――――――――――
すべては、アメリカに日本の資金が流れ出すようにしたいからだ。どこまでも果てしなく米国債を買わせたいのである。その米国債の日本の保有残高たるや秘密にされているが、今や4兆ドル(500兆円)もあるようだ。これには日本政府の分が150兆円(1.3兆ドル)。機関投資家(銀行、生保、証券)の分が100兆円(8.3兆ドル)。トヨタや松下などの日本の輸出大企業2000社がアメリカ国債で運用している分が100兆円。そして日本の個人の金持ちたちが海外で投資したり保有したりしている分が150兆円ある。合計で500兆円(4兆ドル)である。この数字も、日本では私がずっと書いてきた。
―――――――――――――――――――――――――――――――
副島隆彦『ドル覇権の崩壊』より
このあたりの数値に何かしらの形で200兆円分上乗せされて700兆円と言われているのではないでしょうか。
兆円だって吹き込んだホラふきはどこの誰だ???
>すげー迷惑なヤツだ。
僕も気になっていたので調べてみました。
以下引用です
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
すべては、アメリカに日本の資金が流れ出すようにしたいからだ。どこまでも果てしなく米国債を買わせたいのである。その米国債の日本の保有残高たるや秘密にされているが、今や4兆ドル(500兆円)もあるようだ。これには日本政府の分が150兆円(1.3兆ドル)。機関投資家(銀行、生保、証券)の分が100兆円(8.3兆ドル)。トヨタや松下などの日本の輸出大企業2000社がアメリカ国債で運用している分が100兆円。そして日本の個人の金持ちたちが海外で投資したり保有したりしている分が150兆円ある。合計で500兆円(4兆ドル)である。この数字も、日本では私がずっと書いてきた。
――――――――――――――――――――――――
副島隆彦『ドル覇権の崩壊』より
このあたりの数値に何かしらの形で200兆円分上乗せされて700兆円と言われているのではないでしょうか。

 あーなんだこりゃ? | 2010.08.10 20:18

ところで、21年度総予算の円グラフ。あれ良いですね。
作成した方に感謝です。
で・・・
歳入が220兆円なのに、歳出が206兆円。
14兆円が行方不明になっていますが、いったいどうなってんでしょうね?

 あーなんかスルーされてるかも | 2010.08.12 18:47

この14兆円の行方不明は重要だと思うけどなぁ・・・
歳入・歳出の額が違って良いはずが無い。
用途が決まっていないなら普通は予備費として計上するもんです。
このままの数字だと14兆円をネコババするってことですよ

  | 2011.04.08 16:42

現状では大丈夫です。なぜなら、日本は対外純資産がプラスの純債権国だからです。日本は債権国だから、円が強く、デフレで日銀がゼロ金利政策を実施しています。3年物国債の額面金利は0.3%です。ご存知の通り、実際は異なりますが、仮に1000兆負債を抱えたとしても、利払い(利息)は3兆です。3000兆でも9兆です。つまり、日本政府はダダでお金を借りている状態です。日本では財政危機が起こると10年以上前から言われています。しかし、日本で財政危機の兆候すら現れないのは、表現は正確ではありませんが、バブル崩壊後、20年間日本はデフレだからです。ですから、インフレになれば、長期金利が上昇して、利払い負担が増加、財政危機が表面化します。しかし、仮にインフレになり、長期金利が上昇、財政危機が起こったとしても大丈夫です。なぜなら、日本は債権国なので、日銀が日銀特融を実施して、国債を買えばいいだけですから。ご存知の通り、国債を購入している投資家は分散投資で、国債だけでなく、株、不動産、貸付、預貯金、海外投資をしています。ですから、国債が買えないということになると、株や不動産にお金が流れてバブルになります。バブルと引き換えに、日本が破産することは避けられます。ところが、日本が破産するというケースもあるんです。日本が債権国から債務国に転落して通貨危機が起こる場合です。円安が止まらない、輸入企業が為替市場からドルを調達できないということになると、IMFからドル資金を融資してもらい、IMFの管理下に入り、再建ということになります。こうなると、円の問題からドルの問題になりますから、日銀がお金をすればいいという問題ではなくなります。ご指摘の通り、日本という国は世界一財政規律がない国で、借金をしても財政危機が起こらないのをいいことに900兆借金をしてきました。歳出カットしても、増税してももう返しきれません。ですから、通貨危機が起こって、財政危機が起こると日本経済は破産するかもしれません。

 mbt wingu | 2014.02.22 11:57

mbt shoes wholesale 日本を守るのに右も左もない | 国の借金900兆円どうなる!? ~1.日本財政の現状は?~

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