正解のない時代の学び:与えれるだけではなく、失敗できる実践力が人を成長させる
昨年10月に内閣府が設立した、「新しい資本主義実現会議」をご存知でしょうか。
今年6月には、この会議体によって「新しい資本主義グランドデザイン(案)」を定め、日本政府が描くこれからの社会像が公開されました(内閣府)※このグランドデザインは、賃金や起業、注力する業態についても言及され、内容については賛否が分かれるところかと思います。(リンク)
この「新しい資本主義」のなかでも、ベンチャーの起業や人材の成長について積極的に謳われており、20世紀の日本の工業やものづくりの大量生産の時代から、人を成長させ、価値創造を生み出す産業構造を21世紀型産業と位置づけようとしているのがうかがえます。
そしていま、世の中は、震災、感染症、市場の高騰、そして戦争、、これまで以上に人の意識は、先行き不安=正解のない時代を迎えていることを直視しなければならなくなっています。
正解ありきではない追求、つまりはあたらしい価値の創造ができる人材を生み出す環境とはどういったものか、という疑問が湧いてきます。
それは、あらゆる研究を行う大学やだれしもが通る学校教育なのか、はたまた研修制度が整った大企業なのか。
正解のない今、ほんとうに求められる人とは?そしてそういった人が育つ環境とはなにかを考えてみたいと思います。
■人はなにから学びを得るのか。
人を育てる環境を考える時に、まず”学校”が浮かぶと思います。ただ、市場のなかで、答えありき、成績第一の思考では、使い物にならないことは誰しもが経験のあることかと思います。
現代人は、そもそもその大前提が成立しない空間に監禁されている。その最大の原因は、成長期の7才から22才まで16年間もの間、外圧から遮断された学校という特殊空間で過ごし、本当の外圧を知らないまま大人になってしまうこと。しかも、その間に、成績の強制圧力によって潜在思念が封鎖されてしまい、脳が与えられた答のある問題を覚えたり、理解するだけの暗記脳・文字脳・公式脳に固められて終うこと。
更に、(これも成績圧力の結果だが)、己の成績が第一となり、点数に直結しないことは「何?何で?」の追求であれ、社会や自然界の出来事であれ、何であれ「自分には関係ない」と捨象してしまうこと。「関係ない」と外識を捨象してしまえば脳は全く作動せず、思考停止状態に陥る。作動しているのは、点を取るための暗記脳だけ。それも、学校を出ると必要なくなるので、完全な思考停止状態となる。それが、現代の大人たちである。
(脳回路の仕組み14 意欲と追求力を上げるには?-生物史から、自然の摂理を読み解く)
では、社会に出たあとに人材育成は育つのか、それを視野に入れた研修制度の整備こそが、企業や日本の勝ち残り戦略となり得るのか。
少なくとも「大企業に入ることができる人」が持ってる選択肢の中では、「大企業」はおそらく、最も成長スピードが遅い選択肢だと思う。
人を成長させるのは「研修制度」なんかじゃなくて、「いかにストレッチさせるか」(いかに高い目標と裁量権が与えられるか)であり、「いかにぐちゃぐちゃな環境で成果を求められるか」なんだよ。
(中略)
「教えてもらう」では成長なんてできない。だから「教えてもらう制度」が整ってるかどうかなんて、何の意味もない。そんなのが大事に思えるのは、「教えてもらって成長してきた学生という立場」の間だけでしょう。
そうじゃなく、ぐちゃぐちゃの現実の中で、成果を出すということに拘る経験が最も人を育てる。だから、できるだけ「整ってない場所」からスタートしないと!
大企業は「お膳立てがないと学べない人」にはとても向いてます。「丁寧に教えてもらえないと学べない人」「手とり足とり指導してくれないと成長できない人」なんかにぴったり。
別の言い方をすれば、「市場から学ぶ能力の無い人」にはとても向いてる。
(「大企業の方が成長できる」はウソ-Chikirinの日記)
決して、学校や大企業の研修がだめなわけではありません。ただ、21世紀の社会は、これまで以上に”正解がなく”、言い換えるなら、”失敗がなにかもわからない”時代なのです。※それを国家も本当は気づき始めている。
これからの時代、従来の”答えありき”の学校教育や研修制度のように、与える・与えられるの環境では、時代に求められる人材へは成長しません。
むしろ、どれだけ好奇心から実践へ行動を移し、”失敗”や”経験”を重ね、そこから学びを得られるか。どれだけ失敗を失敗に終わらせず、成長の過程にできるかが非常に重要になってくるのです。
これを念頭に据えた時に、これまでにない認識やあたらしい価値創造を作り出す最先端の人材とは、どのように生まれているか?そしてどのように思考しているのか?
これ以上は長くなりそうなので、実現体から参考にするのは、次の機会に回したいとおもいます。
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nihon-syakai.net/blog/2022/07/13619.html/trackback