2012年07月30日
幕末の思想3 市場化による共同体の崩壊から生まれた世直し期待と民衆宗教
◆はじめに
前回、前々回は西洋思想や尊皇攘夷に下級武士は収束していったが、庶民は傍観していたということを紹介しました。
□幕末の思想1 下級武士が西洋思想に収束したのはなぜか?
□幕末の思想2 下級武士が尊王攘夷に収束したのはなぜか?
では、庶民・農民はどうだったのでしょうか?
庶民の間では幕末に「世直し」期待が高まりました。
その現れが、「ええじゃないか」や「民衆宗教」の成立です。
世直し期待とは何であったのでしょうか?
それを明らかにする為に、今回は民衆宗教の世界を探っていきたいと思います。
世界の運命は中央アジアが握る! ロシア編⑥~プーチンは如何にして権力と覇権を手にしたか?
前回の記事、「世界の運命は中央アジアが握る! ロシア編⑤~ロシア最強のリーダー” ウラジーミル = プーチン “とは何者か!?」では、大国ロシアの最強のリーダーとなったプーチン本人に着目し、絶対的な権力を手にするまでの経緯を明らかにした。
今回の記事「世界の運命は中央アジアが握る! ロシア編⑥~プーチンは如何にして権力と覇権を手にしたか?」ではまず、プーチンが、ロシアの財産を奪い取った国際金融資本家たちとどのように闘い、権力を手に入れたのかを明らかにする。そして、アメリカやヨーロッパと対等に闘えるほどの基盤を、どのように確立したのかを探っていく。
あじさい(紫陽花)革命に可能性はあるのか?(1) ~貧困(飢餓)の圧力を前提に、民主主義イデオロギーに導かれた社会運動~
先日は、主催者発表17万人、警察発表7万人のデモがありましたね。「反原発」を旗印に、(社会運動のプロではない)普通の人たちによる、1万人を超える静かなデモが週末になると発生し、官邸や東電本社を取り囲んでいます。毎週のように繰り返され、日本全体に拡がる気配をみせていることから、あじさい革命と命名し、社会変革の始まりだと期待する向きもあるようです。
さて、今回から新シリーズが始まります。テーマは、社会運動の歴史を学び、その構造を理解し、これからの時代に求められる共認運動について追求していきます。そのために、3月11日に開催された「なんでや劇場」での議論を基に考えていきます。
現在進行形の「あじさい革命」のこれからも、このシリーズの追求の中で明らかになっていくはずです。
ルネサンスの科学(魔術)2 キリスト教会に対する金貸しの観念闘争の武器(魔術)→神中心のキリスト教から自我中心の近代思想への転換
前回(ルネサンスの科学(魔術)1 キリスト教を市場拡大の守護神に転換したニコラウス・クザーヌス)は、山本義隆氏の『十六世紀文化革命』から「第9章 ニコラウス・クザーヌスと磁力の量化」の要約を引用しながら、「クザーヌスは、自然を数値で捉えることは神の言葉を読み解くことであるという論理で、市場拡大や自然科学の追究を正当化し、近代科学の発展の大きな要因を築いた」ということを見てきました。
引き続き山本義隆氏の『磁力と重力の発見』から「第10章 古代の発見と前期ルネサンスの魔術」前半部分の要約を引用しながら、ルネサンス期の自然魔術・人文主義の成り立ちと近代科学の発展過程を見て行きたいと思います。
盛期ルネサンス期の様子
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共認収束への大転換⇒実現の時代へ(4)~’02年、自我の終焉→加速する同類探索が課題収束を顕在化させた~
12年以降、いよいよ実現の時代に入りました。人々が社会をどうする?を自ら考え、答えが欲しい、答えを出そうという気運が高まっています。
しかし、この気運はある一つの事象のみによってもたらされたものではありません。’70年の貧困消滅に始まりその後100年をかけて転換(私権原理→共認原理)していくの大きな流れの一部なのです。
このシリーズの狙いは、まさに‘70年貧困の消滅に始まる共認収束の大潮流を謙虚に学び、近50年の状況を歴史段階的に読み解くことで、次代の新たな可能性の提示を試みるところにあります。
今回も前回に引き続き、大きな画期的な年であった’02年を取り上げます。
‘02年、私権拡大の終焉は、収束不全を顕在化させ、私権によって統合された集団を尽く統合不全へと陥らせました。
’02年 私権拡大の終焉
↓
①収束不全(集団の統合不全) ⇒ ②脱集団 → 「社会の当事者」になろうとする意識が発現
この事象が現在の潮流にどの様に繋がっていくのか、今回の記事では触れてみたいと思います。
なんでや劇場「力の原理から共認原理への大転換」その6 ~市場拡大や恋愛、自由、個人という正当化観念が市場を拡大させた~
小沢一郎が新党『国民の生活が第一』を立ち上げましたね。
・・・それにしてもこの党名ってどうなんでしょうか?
今の政治は「国民よりも優先する第一価値」が他にある。ということを明言、白状しているようなものですよね。或いは、あえてその事を顕在化するための、したたかな命名戦略なのでしょうか???
さて、今年2月に理論勉強会として開催された第133回なんでや劇場『力の原理から共認原理への大転換』のレポートも今日が最後です。
これまでの記事では、『力の原理』で運営されていた私権時代に市場拡大を牽引してきたのは「恋愛」や「自由」「個人」といった『観念』であることを解明しました。
ではこの「恋愛」や「自由」「個人」と『市場拡大』はどのように関連するのでしょうか?私たちが実感しやすい「恋愛」に引きつけながら復習しましょう。
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ルネサンスの科学(魔術)1 キリスト教を市場拡大の守護神に転換したニコラウス・クザーヌス
これまでは、ギリシャローマ時代から中世キリスト教社会の科学技術の流れを見てきました(科学技術の源流1・2・3・4・5)。ここからは、科学技術が本格的に発展を始める、ルネサンス時代に入ります。新しいシリーズの「ルネサンスの科学(魔術)」第1回目はニコラウス・クザーヌスです。
「ニコラス・クザーヌス」この画像はこちらからお借りしました
あまり知られていませんが、ルネッサンスへの扉を開いた先駆者の1人がクザーヌスなのです。十字軍の開始以降、貿易が活発になり市場が拡大していくと、人々は自我私権の拡大可能性に目覚め、禁欲を旨とするカトリック教会は崩壊の危機を迎えます。彼は、新たな世界観を提示しキリスト教を、市場拡大=自我私権の追究を積極的に肯定する宗教に転換します。彼はどのような理屈を使って、この大転換を実現したのでしょうか。
山本義隆氏の『磁力と重力の発見』から「第9章 ニコラウス・クザーヌスと磁力の量化」の要約を引用しながら、ニコラウス・クザーヌスの問題意識とその論理構造を解明していきます。興味を持たれた方は応援もお願いします。
幕末の思想2 下級武士が尊王攘夷に収束したのはなぜか?
(画像はコチラからいただきました)
前稿「幕末の思想1 下級武士が西洋思想に収束したのはなぜか?」では、下級武士が西洋思想や近代化に収束していった構造を明らかにしました。
一方、幕末期には『西洋思想(近代化)』と同時に『尊王攘夷論』も下級武士を中心に盛り上がりをみせます。
西洋を受け入れる近代化と夷狄(異国民)を排斥する尊王攘夷論。
全く反対の思想なのですが、共に下級武士達が収束し、2つの思想が相まって倒幕運動につながっていきます。
両者には共通する構造があるはずです。それは何か?
今回は尊王攘夷論の元となった水戸学を学びながらその共通構造に迫っていきます。
共認収束への大転換⇒実現の時代へ(3)~‘02年収束不全によって生まれた当事者意識の高まり~
画像はコチラより
’12年以降、いよいよ実現の時代に入りました。
現在を称して巷では、「激動の時代」とか、「100年に一度の危機」と表現されることがありますが、そこには一つ大事な視点が抜け落ちているように思います。
大きな時代潮流(人類史、あるいは生物史)から現代(今置かれている状況)を捉えなおすという視点です。これがなければ、今という時代の本質に迫ることは難しいでしょう。
歴史を通して、謙虚に「学ぶ」という姿勢は、自らの「主張」を第一とする民主主義とは異なるものです。
このシリーズの狙いは、まさに‘70年貧困の消滅に始まる共認収束の大潮流を謙虚に学び、近50年の状況認識を基に、次代の新たな可能性の提示を試みるところにあります。
第一弾「起点となった’70年の大転換」では、’70年が生物史上の大転換期であったことに触れ、現在の経済不況や、「実現の時代」幕開けの起点となった時代であることを提起しました。
以降の記事では、’70年の転換期を境に意識潮流や社会構造がどう変化していくのかを段階的におさえ、そこから今後10~20年がどのような時代になっていくのか(=新たな可能性の実現基盤)を提起していきます。
今回注目したのは‘02年。
今週から2回に渡って、‘02年はどんな意識潮流の変化が起こり、そして現代にどのように繋がっているのか?を考えていきたいと思います。
続きはこちらです。
近代科学の源流5 侵略⇒富国強兵のためにギリシア哲学と魔術を取り込んだキリスト教(→近代科学の源流の合流)
「近代科学の源流【1】潜在思念(本能・共認)を退化させ架空観念に収束したギリシア哲学~素粒子論(ヒッグス粒子)」
「近代科学の源流【2】ギリシア哲学から近代科学を貫く架空観念への短絡思考→カルト化した素粒子論と地球破壊」
「近代科学の源流【3】魔術によって神になろうとした古代~近世の西欧人」
「近代科学の源流【4】共同体を破壊した西欧人の死生観に基づいて、宇宙の循環を無視した終末論的宇宙観」
今回は「魔術から近代科学へ」シリーズ【まとめ】その5です。
「12.十字軍侵略とアリストテレス翻訳を先導した主勢力(ノルマン人+クリュニー修道会+イタリア商業都市)」
「13.私権追求のために自然科学研究の扉を開いたのがトマス・アクィナス」
「経済学の騙しの起点、スコラ哲学(トマス・アクィナス)」
「14.西欧にとって魔術は科学発展・侵略拡大に必要な観念だった」
「17.生産効率絶対という短絡思考が、西欧のエネルギー使用と専門分化を加速させた」
山本義隆氏著『磁力と重力の発見』「1.古代・中世」(みすず書房刊)を参考にさせていただきました。
中世キリスト教の欲望否定(封鎖)から近代観念の欲望肯定(刺激)にどのように変わっていったのか?
十字軍による略奪した財を原資として市場拡大→私権の拡大可能性が開かれた結果、欲望否定(封鎖)から欲望肯定(刺激)へとパラダイムが転換する。
そして、十字軍遠征開始直後の12世紀には、ギリシアの文献、とりわけアリストテレス自然哲学の翻訳運動がものすごい勢いで始まるが、これも欲望肯定の正当化の根拠を欲望肯定時代(ギリシア時代)に求めたからだと考えられる。