ロシア・ウクライナ戦争半年、世界情勢を鳥瞰する視点
ロシア・ウクライナ戦争開始から6か月が経ちます。
メディア報道は減少していますが、世界情勢の行方をどう見るか? 冷静に整理しておく必要がありそうです。
「NATO・G7を拠点とする米欧勢力」vs「ロシア・中国主導のユーラシア勢力(反米欧)」の構図ですが、戦争に係る直接の軍事力、経済力、情報力だけでなく、中長期的な力の趨勢をどう見るかが本記事の視点です。
実体経済の観点では、資源・エネルギーの主導権、両勢力の基礎的な経済成長力(人口・生産力等)の見通し。
金融覇権の観点では、米欧勢の力の源である「ドル基軸通貨体制」がどうなるかが最大の焦点と思われます。
■日本経済新聞2022年8月17日:「脱ドル」決済網、中ロ拡大 BRICS、通貨バスケット創設も 経済制裁の抜け穴に(https://www.nikkei.com/article/DGKKZO63496300W2A810C2EP0000/)
プーチン氏がBRICS通貨バスケット創設に言及するなど、中国とロシアが独自決済網づくりを進めている。中国人民銀行による国際銀行間決済システム(CIPS)もSWIFT(G7)の代替として国際的に影響を拡大。
■ドル覇権は崩壊寸前。中ロ主導の「新国際決済通貨」が新興・途上国を巻き込み金融危機を引き起こす=高島康司(https://www.mag2.com/p/money/1220589)
BRICS通貨バスケット→「新国際基軸通貨」は、明らかにアメリカ(ドル)覇権に対抗するものであるが、ユーラシア全域を包摂する新経済圏(陸・海の一帯一路、国際南北輸送回廊、北方海路)の実体経済を適切に機能させるための合理的な決済通貨システムとして、導入が拡大する可能性が高い。
新興国・発展途上国にとって脱ドル化は大きな意味を持つ。ドル利上げ→自国通貨下落→国内高インフレという苦境、あるいはドル建て国債の利払い費増大→無限債務という悪循環から脱する有力な選択肢となる。
そして、ユーラシア経済圏の構築と、新国際決済通貨による脱ドル化の動きは、ドル安から(金利上昇で下落している)先進国債券市場の暴落、つまり米欧勢力側の新たな金融危機を引き起こしかねない。
ロシア・中国主導のユーラシア勢力(反米欧)の結集拡大拠点と見られている「上海協力機構(SCO)」「BRICS」について、若干ですが整理しておきます。実体経済の観点、資源・エネルギー主導権、および基礎的な経済成長力から見て、力の趨勢を左右する存在になり得ます。これらの諸国がどう動くか、注目しておくべきでしょう。
■上海協力機構(SCO)・・・中国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタン・インド・パキスタンの8か国による多国間協力組織、国家連合。2021年、イランの正式加盟、サウジアラビア、エジプト、カタールの対話パートナー参加手続きを発表。
■BRICS・・・中国、ロシア、インド、ブラジル、南アフリカの5か国を指すが、2022年BRICS首脳会議に続く拡大会議では、アルジェリア、アルゼンチン、エジプト、インドネシア、イラン、カザフスタン、セネガル、ウズベキスタン、カンボジア、エチオピア、フィジー、マレーシア、タイの13か国が参加。
※習近平が発したシグナル「BRICS陣営かG7陣営か」(遠藤誉氏)
「BRICS陣営」と「G7陣営」の人口の比率。赤がBRICS5ヵ国、ピンクがBRICS拡大会議参加13ヵ国の人口比。この2つのグループだけでも、すでに世界人口の半分以上を占める。残りの発展途上国等は黄色の「BRICS及びその拡大会議参加国以外の非西側諸国」だが、対露制裁をしていない非西側諸国。
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山田 | 2022.09.13 15:30
今、みんな自由とか民主主義とか人権とかの机上の理念に捕らわれすぎなんですよ。そういうの無視して、いつかの田中角栄みたいに「儲かり末世」じゃなかった、「まっせ」の精神で、日本は外交戦略を組み立てるべきなんですよ!そうすれば道は拓ける!まあ偏差値高そうな岸田さんには無理だろうけどね。