「ウイルスは中国研究所で人工的に変造された」
新型コロナウイルスの武漢研究所流出説が再燃する中、英国の研究者らがウイルスが中国の同研究所で人工的に変造されたことを法医学的に突き止めたと、近刊の学術誌で論文を発表する。 英国の日刊紙デイリー・メイル電子版28日の特種報道で、近く発行される生物物理学の季刊誌Quarterly Review of Biophysics Discoveryに掲載される学術論文を事前に入手し「中国がコロナウイルスを造った」と伝えた。 論文の筆者は、ロンドンのセント・ジョージ大学で腫瘍学専科のアンガス・ダルグライシュ教授とノルウェーの製薬会社イミュノール社の会長で生物学者でもあるビルゲール・ソレンセン博士の二人で、研究の発端はイミュノール社で新型コロナウイルスのワクチンを開発するために、ウイルスを調べ始めたところ、ウイルスが人工的に改ざんされた痕跡(フィンガープリント)を発見したことだったという。 そこで二人は、武漢ウイルス研究所を疑って2002年から2019まで同研究所で行われた実験にかかわる研究論文やデータから、その根源を探る「レトロ・エンジニアリング」という手法で分析した。
この記事の画像(3枚) その結果二人は、中国の研究者が、その中には米国の大学と協調して研究していた者もいたが、コロナウイルスを「製造する術」を手にしたらしいことが分かった。 彼らの研究のほとんどは、米国では禁止されている遺伝子操作で性質の異なるウイルスを作り出すことだった。
コウモリのウイルスを遺伝子操作で変造
二人は、中国の研究者が中国の洞窟で捕らえたコウモリからそのウイルスの「バックボーン」と呼ばれる部分を別のスパイクに接着させ、より致死性が高く感染力の強いウイルスを造ったと考える。 そのウイルスのスパイクからは4種のアミノ酸の列が見つかったが、こうした構造は自然界のウイルスには見られないことで、人工的なウイルスであることを裏付けるものだとソレンセン博士は言う。 コロナウイルスの発生源については、世界保健機関 (WHO)の調査団が中国で調査した結果「コウモリから別の生物を介してヒトに感染した可能性が高い」と報告し、中国のキャンペーンもあって自然界での変異説が有力視されてきた。
「軍事利用」が目的だったのか?
しかし、ここへきて武漢ウイルス研究所の研究員3人が2019年秋にコロナと似た症状で入院していたという米情報当局の情報がマスコミに流されたり、英国の情報部もウイルスが武漢研究所から流出したものと判断したと伝えられ「研究所流出原説」が再燃。バイデン米大統領も26日コロナウイルスの発生源再調査を命じ、90日以内に報告するよう求めた。 そうしたタイミングで出てきた今回の研究論文は、単なる噂話ではなくウイルスを法医学的に分析した学術研究なので説得力があり、今後このウイルス変造が「軍事利用」を目的としていたのかどうかなどの論議に火をつけることになりそうだ。