ウクライナ情勢から、21世紀の情報戦を考える。
※ウクライナ情勢をどう見るか?(視点)
※ウクライナ情勢。日本は大丈夫なのか?
ロシア・ウクライナ戦争は長期化の様相です。
大局的に注目すべきは「ドル基軸通貨体制」「エネルギー・資源・食糧」がどうなるか、日本の国益にも直結する問題です。
コロナ、脱炭素、ロシア・ウクライナ戦争と、大きな転換が段階的に進行しつつあります。
もうひとつ、今回の戦争の特徴は「世界を巻き込んだ情報戦」でしょう。
「メディアと戦争」は20世紀(映像の世紀)以来のテーマですが、21世紀に入って、スマホ・SNSによって戦場の映像が(ジャーナリズムを介さずに)ダイレクトに大量に発信されるようになりました。これは情報戦の新しい事態です。情報総量は爆発的に増えて、事実情報も、偽情報(フェイクニュース)も、圧倒的な物量とスピードで拡散します。サイバー攻撃も激化。
国際メディア情報戦はまさに、国家、企業、PRエキスパート、広告代理店、メディアの担い手を巻き込んだ総力戦です。
(イーロン・マスク氏のTwitter買収の件も、こうした文脈で考える必要があると思われます)
このような情報戦の渦中でいくつか気づくことですが、情報を受け取る大衆側はより「感情」に流されやすくなっている、情報を発信する側は自らの「正義」(倫理的正当性を訴える)に対する共感が生命線となっていることでしょうか。
コロナにしても脱炭素にしても戦争にしても、瞬時に世界世論が一色に染まるようなことが起こります。
外からの目線で考える(価値を図るモノサシは自分の外にいくつもある)、歴史事実を構造化する、自らの頭で考えることに自覚的でないと簡単にプロパガンダに組み込まれてしまう、そのような時代なのです。
■戦争プロパガンダ https://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=376678
ベルギーの歴史学者アンヌ・モレリはあらゆる戦争に共通するプロパガンダを解明するとして、「戦争プロパガンダ10の法則」(草思社)で以下のようにまとめている。
1.「われわれは戦争をしたくない」
2.「しかし敵が一方的に戦争を望んだ」
3.「敵の指導者は悪魔のような人間だ」
4.「われわれは領土や覇権のためではなく偉大な使命のために戦う」
5.「われわれも意図せざる犠牲を出すことがある。だが敵はわざと残虐行為におよんでいる」
6.「敵は卑劣な兵器や戦略を用いている」
7.「われわれの受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大」
8.「芸術家や知識人も正義の戦いを支持している」
9.「われわれの大義は神聖なものである」
10.「この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である」
今、ウクライナやロシアがSNSを用いて互いに情報戦を仕掛けているというが、その内容は「10の法則」に合致するものばかりだ。どちらが正しくて、どちらが間違っているという話ではない。どんな国でも戦争というものに突入して、そこで勝つためにはこのようなプロパガンダを駆使しており、そこでは時にフェイクニュースも平気で垂れ流しているという醜悪な現実がある。そういう「情報戦」に日本人があまりにも無防備ではないか、ということを指摘したいだけだ。
■高木徹『国際メディア情報戦。グローバルな世論を味方につけろ』http://intelligence.livedoor.biz/archives/52093286.html
情報戦というと、情報機関が水面下で暗躍する、 「ごく一部の人しか知らない情報」をいかにゲットするかの戦いのことだと、思う人も多いだろう。しかし、現代において重要なのは、むしろどれだけ多くの人に、 自分に有利に働く情報を到達させ、いかに印象深くその心に飢え付けるかという、いわば「出す」情報戦なのだ。
「国際メディア情報戦」。それは、グローバルな情報空間で形作られる巨大な情報とイメージのうねりであり、それをどのように誘導するのか、また防ぐのか。いわば「現代の総力戦」の本質は、さまざまなテクニックを使いながら、最終的には、「自分たちの方が敵よりも倫理的に勝っている」ということを、いかに世界に説得するかという勝負である。
■プロパガンダ・世論操作とメディア民主主義 https://yoshinobu44.hateblo.jp/entry/2022/04/25/165814
ウクライナ・欧米とロシア双方の立場から、国際的な世論形成の情報操作が軍事作戦と平行して行われているのです。戦争当事者だけではなく、世界の世論がウクライナ・欧米諸国とロシアのどちらが握るのかという情報戦争が行われているのです。このような状況で、あらためて、エドワード・バーネイズ著「プロパガンダ」とW・リップマン「 世論」を読んでみて戦争下におけるメディア民主主義の問題を深くみつめてみたいと思います。
■「過去50年間のほぼ全ての戦争は、メディアの嘘の結果だった」ジュリアン・アサンジ
https://ochakai-akasaka.com/counseling/220313-2/?msclkid=28efdeb7c5d411eca94820fe3032e530
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