「生産力過剰が中国経済の”核の脅威”に」 ~中国版マーシャル計画1~
今中国では、需要と供給がアンバランスな状態である。
政府による過剰投資が生産力過剰状態になっており、これをバランスさせる為に生産力を輸出するといった、無謀な計画に着手している。
もっとも、対外的には「過剰」というワードは使わず、「生産力輸出」と表現するとしているが、最近の素行だけ見ても警戒されるに十分であり、いくら表向き「欧州、アジア経済の活性化を支援する」と叫んでも、中国の活性化が進出先ということに想像がつく。
すでに、欧州への入口でもある要所=ピレウス港の買収は、ギリシャ新政権による民営化の凍結によって頓挫した。
http://blog.livedoor.jp/nappi11/?p=3
今後も注目される「シルクロード経済ベルト」であるが、本当の目論見は何であるかを整理していきたいと思います。
「生産力過剰が中国経済の”核の脅威”に ~中国版マーシャル計画1~」
(リンク)
(以下引用)
《中国はなぜ”マーシャルプラン”が必要なのか?》※マーシャルプランとは⇒(リンク)
(中略)
ここで分析したいのは中国が中国版マーシャルプランを必要としているのは中国の大多数の産業がみな深刻な生産過剰に直面して中国経済の正常な運行にひどい脅威となっている、ということです。《生産能力過剰がなぜ中國経済の「核の脅威」とみられるか》
いわゆる生産能力過剰(Excess Capacity)とは生産能力と消費能力の総和です。米国のかつて主要生産設備の輸出と違って、中国の生産能力の過剰はインフラ(鉄道、道路など)の分野と不動産業の上流・下流に集中しています。中国のそれは中国経済の成長とほとんど共に生じたもので、そうなった原因を端的に言えば「投資は社会主義、需要は資本主義だった」ということです。
前者は投資資金が主に政府資金や国有商業銀行の資金だったということで、投資のリスクは最後には銀行の赤字となって実際に借りた者が本当のリスクは負わないのです。
国営企業のボスは責任を負わなくていいのです。民間企業の経営者で破産して逃げ出した人はたくさんいます。一方、需要が資本主義、というのは生産能力は市場を必要としており、需要がなければ生産能力過剰になる、ということです。ですから中国の生産力過剰には二つの特徴があります。まず1つは、生産力の過剰は政府が経済に干渉することによる必然的な産物だということです。中国の経済成長は往々にして政府の刺激政策と関連しています。政府が刺激策をとれば各地では必然的に大々的にプロジェクトをこうしたプロジェクトは極めて同質の構造ですからその結果、必然的に深刻な生産力過剰が生まれます。中央政府はマクロ的観点からある業種の過度の成長を抑制したいと思っても、往々にして徒労に終わります。古い生産過剰をなんとかしようとしているうちにもう次の生産過剰が発生するからです。2009年の人民代表大会経済委のレポートでは2005年以来、19の業界で様々な程度の生産過剰が生じ、国務院常務会議でテーマになりあました。しかし地方はGDPの政治的な功績を追求するため、生産能力過剰を抑制するすべはありませんでした。2013年なると、エネルギー多少日の電解アルミニウム、鋼鉄製造、あるいは新興産業のハイテク太陽発電と風力発電、さらには造船、鉄鋼業のミドル・ハイエンド産品の硅素鋼もみな業界も認める「生産能力過剰」になりました。
第2には中央政府の調整政策が往々にしてさらに多くの生産能力過剰を生んでしまうことです。中国の鉄鋼業を例にしますと、この十数年来何度か”輪廻”(*スクラップ&ビルド)しましたが、一部の地方ではいつもなんとか方法を探して抑制を逃れてきました。
(中略)現在の状況は鉄鋼業の過剰な生産能力はすでに何年も続いており、企業の増産意欲は依然として旺盛です。2013年の鋼鉄生産の過剰は3億トンでECの二倍もあります。中国連合鉄鋼ネットの統計によると2014年、中国には24基の新たな高炉が投入され年産予定は3500万トンになります。これは2013年の7000万トン増に比べると半分ですが景気低迷の状況下で、生産能力が依然として増強を続けているということです。
「投資は社会主義、需要は資本主義」だった。
投資資金が政府資金や国有商業銀行の資金であるが、借りた者が本当のリスクは負わないのです。
しかし、政府が経済に干渉するため、過剰生産を抑制しながらの増強という、何ともしがたい不整合な状況だった。
《アジア投資銀行計画策定ーなぜ困難の上に困難を重ねる?》
中国自身の状況を考えると、過剰生産能力を輸出するというのは進むべき方向のように見えます。これが習近平が就任後に周辺国に投資銀行建設計画を談判する主要な原動力です。2013年、習近平がインドネシア訪問の最、アジア経済の一体化を促進しようともちかけ、中国側は「ASEAN諸国を含む本地区の発展に向け、中国はインフラ建設の資金をサポートする」とし アジアインフラ建設投資銀行設立の提案をおこないました。中国の構想では各国がインフラ建設の主要な問題は融資だとみており、2011?2020年の間、アジア地区のインフラ建設需求には8兆米ドルの資金が不足するとし強い需要があれば、中国側が供給方にまわれば協議を達成するのは別に難しくはないと。このあと何回の多方面との懇談を経て、今年10月24日、中国、インド、カザフスタン、ベトナムなどが参加して 北京でアジア投資銀行設立覚書への署名がおこなわれ、2015年内に定款をつくり署名への運びとなって2015年末までに起動することになっている。
上記の参加国は何か思惑でもあるのだろうか?
中国側の「志を同じくする友人が協力に積極的に参加し・・・」との呼び掛けの腹の中は、「投資は社会主義、需要は資本主義」を押し付けるつもりではないだろうか?
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