【世界の力を読み解く】~失われていくアメリカの存在意義/ドル基軸通貨の行方~
大国と言えばアメリカ。そんな構図が変わりつつあります。
アフガンからの撤退、バイデン政権の支持率低下、インフレに起因した暴動に手を焼く中、ワクチン接種を拒否した警察官・軍人を解雇するなど、アメリカは国内の秩序を保つことができない状態になりつつあります。
国外に対する影響力もなければ、国内も統治できていない。もはや内部分断の状態といえるでしょう。
果たして、そんなアメリカの存在意義はどこにあるのでしょうか?
思いつくのは『ドル』の存在。基軸通貨であるドルの行方を見ることで、アメリカという国の行方が見えてきます。
〇基軸通貨の行方
そもそも基軸通貨とはどういうものだったのでしょうか。
http://www.kanekashi.com/blog/2021/12/9122.html
>第2次世界大戦末期の1944年に米国のドルを基軸とした固定為替相場制が各国で合意され、1945年に開始された。米国がドルと金との兌換を約束すると共に、国の通貨の交換比率(為替相場)を一定に保つ仕組みである。世界の金融市場の安定確保を狙ったこの制度は、ブレトンウッズ体制と呼ばれた。これは、ドルが正式に基軸通貨(key currency)になったことを意味したのである。
しかし、1971年に、ニクソン大統領が金とドルの交換を停止した(ニクソン・ショック)。さらに1973年に先進国が相次いで変動相場制に切り替えていったことで、ブレトンウッズ体制は崩壊してしまった。ドルが正式に基軸通貨の座に居た時期は、比較的短かったのである。
ところが、その後もドルは、世界の国際間での金融取引の中で圧倒的なシェアを持つ、事実上の基軸通貨の地位を今日に至るまで維持している。一国の通貨が基軸通貨、あるいは事実上の基軸通貨となることができる条件とは、一体何だろうか。
==引用終わり==
ポイントになるのは、元々『ドルと金との兌換』だったということ。
それが、当時世界を資本力と軍事力で掌握せんとしたアメリカが、ベトナム戦争で軍事費が上がり、金を流出せざるを得ない状態になったことで、ドル・金兌換を停止し、変動相場制を中心とする体制をつくりあげました。
※ただしこの変動相場制により、リーマンショックをはじめとする金融危機が世界的に発生することになります。
それでもドルが基軸通貨として成り立っていたのは、アメリカの資本力・軍事力による信用ですが、アジアからのアメリカ軍撤退が現すように、もはやその信用も過去のものとなっています。
そして、世界ではすでにドル離れが進んでいます。https://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=373197
>ドル離れが顕著なのは、ロシアやトルコなど米国との対立が顕著な国である。ロシアはウクライナ問題をきっかけに米国から制裁を受けており、金融市場の混乱が続いている。ロシア政府は米国債の保有を急ピッチで減らしており、一方で人民元の保有を増やしている。トルコも似たような状況だが、やはり米国債の保有を減らしている状況だ。
まだ大きな動きではないものの、人民元の保有比率拡大は、一帯一路計画に象徴される中国の新興国支援が影響している可能性がある。中国の最終的な狙いは経済援助を通じて人民元経済圏を確立することであり、ゆっくりとしたペースではあるが、中国の国際戦略もドルのシェア低下の一因となっている。
==引用終わり==
大局的には、世界中でドル離れが進行。新興国市場を中心に台頭する人民元の利用比率が高まり、ドルとは違う地域で人民元を主要な国際通貨とする国が増えていくでしょう。
そうやって徐々にアメリカの存在意義≒ドル基軸通貨の絶対性も失われていきます。
現在の金価格の上昇、ベーシックインカムをはじめ各国の動きを見ていると、世界は再びドル・金兌換時代のような、実物に信用をおいた経済システムとなっていくのではないかと予想されます。
国家紙幣の動きはどうなるか?世界の通貨秩序はどうなっていくのか?引き続き、最新の動向に着目しながら解明をしていきます。
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