特別会計の闇
■特別会計というブラックボックス
マスコミでは一般会計しか取り上げられないが、実は国家予算には3種類ある
一般会計、特別会計(下記)、財政投融資である。
ではこの3つの違いは?ということになると極めて曖昧だ。例えば一般会計の法律律上の定義は、「特別会計に属さないすべての会計」であり、特別会計の定義は、「特定の事業を行う場合」に「一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある会計」ということである。見ての通り、いくらでも恣意的な区分が可能である。
強いて区分するとすれば、一般会計とは所得税や消費税を財源とするもので、それに対して特別会計は、印紙税、ガソリン税等の租税、保険料、基金からの繰り入れなどを財源とし特定の事業のために運用される費用ということになる。しかし、実際は一般会計の約半分が特別会計に組み入れられ(重複計上され)国債も特別会計に組み入れられている。さらには13種ある特別会計同氏も相互乗り入れしており、複雑さを極める
問題は一般会計は、少なくとも会計監査があり、国会での議論も行われている。しかしそれに対して特別会計は会計監査もなく、各省庁の管轄に任されているとして国会で議論されたことさえほとんどない。もちろんマスコミもまともに報道したことはない。要するに完全にブラックボックス化しているのだ。むしろブラックボックス化させるために官僚たちが複雑化させてきたといっても過言ではないだろう。
実際「森友問題」は特別会計で購入した国有地を格安で払い下げたという問題だが、これは特別会計の運用の問題である。しかしこの問題が特別会計のブラックボックス化という観点で報道されたことも全くない。
そのブラックボックスの象徴が「石井紘基刺殺事件」である。2002年小泉内閣当時、民主党議員だった石井紘基氏が国会議員の国政調査権をもとに各省庁に情報開示を要求し、その資料を基に国会質問を行う予定であったところ、その三日前に刺殺された事件である。現場からは国会質問用の資料が消え去り、いまだに行方不明。警察も現場保存や指紋採取さえロクロク行わす真相は未だに闇の中という事件である。石井氏は刺殺の直前にこれで「与党の連中はひっくり返る」と周りに語っていたそうだ。
※平成20年度末で特別会計は13ある。
交付税及び譲与税配付金特別会計(総務省・内閣府)労働保険特別会計(総務省・内閣府)年金特別会計 (総務省・内閣府)
地震再保険特別会計(財務省)国債整理基金特別会計(財務省) 外国為替資金特別会計 (財務省)財政投融資特別会計(財務省)
エネルギー対策特別会計(経産省)特許特別会計(経産省)
食料安定供給特別会計(農水省)国有林野事業債務管理特別会計 (農水省)自動車安全特別会計(国交省)
東日本大震災復興特別会計(復興庁)
■官僚天国の温床、売国資金?
この特別会計は、戦争に端を発する。1894年の日清戦争以来、日露戦争、第一次世界大戦、シベリヤ出兵、満州事変、中国戦争、太平洋戦争などいくつも戦争をし、少ないときでも国家予算の30%くらい、1941年の真珠湾攻撃から始まった太平洋戦争では、毎年80%を越える大金を使っていた。しかしその仕組みは戦後になっても残り続け最大で45の特別会計が存在した。平成12年ころからいわゆる事業仕分けの見直しによって、基金の数は13にまで減少したが、予算総額は拡大の一途を辿り、今や400兆、重複除いても200~250兆と国家予算の200%~250%に達している。つまり見直しと言うのは形ばかりで、実際は統合を繰り返し、(例えば年金会計に健康保険等を併合し)基金規模が巨大化しただけというのが実態である。そのため今や特定の事業のための基金という建前さえ怪しく余計にブラックボックス化したというのが現在である。
この特別予算の問題は、国民の税金がどう使われているかわからない、というのが最大の問題であるが、その一つが特殊法人の問題である。
各省庁が出資し、関連会社化している特殊法人は今や3000社を数える。それらは、官僚の天下り先として機能し、数年で退職を繰り返しては膨大な退職金を手にするという「官僚天国」の温床となっている。
それら特殊法人は活動実態のほとんどないものも多数あるといわれる。そして仮に実態があるとしても、その存在は確実に民業を圧迫する。
また何に使われているかわからないものの象徴が「外国為替管理基金」である。この基金は、円高が進行すると円を売ってドルを買うことで円高を防ぐという目的の基金である。これが何に使われているかよくわからない。例えば、この基金で買ったドルは米国債の購入に充てられているが、公式発表では米国債の保有金額は、140兆円となっている。しかしこれは短期米国債のみの数字である。実際は中期・長期の米国債も購入されているが、その金額は全く発表されていない。
国会議員の亀井静香氏、石原慎太郎氏等有力政治家たちは、日本は少なくとも300兆の米国債を保有していると断言する。要するに使い道が明記されていないものが多額にわたって存在するのだ。その一部がいわゆる埋蔵金と呼ばれるもので、アメリカの戦争資金や工作資金に流れているのではないかと憶測されている。
そして最大の問題は、一般会計、特別会計含めた国民の負担金の重さである。2020年のGDPは539兆で、これを母数とし租税負担、保険料を合わせれば国民の負担率は56%~65%という計算になる。さらに上記計算は、地方税約40兆を含んでいないのでそれを加えると63%~72%である。諸外国(例えばアメリカは32%)と比べてもとんでもなく負担率が高い。※この金額は国債等を含んでいるが、借り入れは将来の租税負担に跳ね返るので国民負担に算入している。
江戸時代は「五公五民」と言われ、重税の象徴とされてきたが、それを遥かに上回る負担である。
しかも「五公五民」は江戸初期の検地上での収穫高を分母にしており、その後実際の生産力が上昇した結果、全体としては年貢は3割程度と推計されている、http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=336777
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