2007年12月09日

アメリカで高まるイスラエル・ロビー批判の背景

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「高まるイスラエル・ロビー批判 米タブー崩壊?」という記事が12月8日の東京新聞に載った。
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米国の「タブー」が揺れている。イスラエル・ロビーの問題だ。この不可侵だった圧力団体に昨年来、米国政治の主流派から公然と批判が上がり始めた。二期八年にわたるブッシュ政権は9・11事件を受け、アフガニスタン、イラク戦争へ突入、泥沼にはまった。批判は米国を戦渦に巻き込んだ責任を同ロビーに課す。次期大統領選を控え、前代未聞の「タブー」破りが物議を醸している。 (田原牧)

米東部アナポリスでは先月末、パレスチナ和平交渉の再生を掲げた国際会議が開かれた。だが、スポンサー役のブッシュ政権への国際的な不信は色濃く実際、成果も薄かった。むしろ、関係者たちの間で話題になったのは、政権外での米国政治の変化の兆しだった。

今年九月、世界十カ国以上で、一冊の本が同時発売された。題名は「イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策」(邦訳は講談社)。シカゴ大のジョン・ミアシャイマー教授と、ハーバード大のスティーブン・ウォルト教授の共著だ。米国ではすでに八万部以上が刷られているという。
二人は国際政治学の大家として世界に知られる。同書の原型となる文章は昨年三月、ハーバード大ケネディ政治学大学院のインターネットサイトに発表され、その直後、英国の雑誌に要約が転載された。
彼らの定義によると、イスラエル・ロビーとは「米国の外交政策を親イスラエルに方向付けるため活動する個人や組織の緩やかな連合」。同書では、その中核の米イスラエル公共問題委員会(AIPAC)や新保守主義派(ネオコン)による圧力が米国の外交政策をゆがめ、イラク侵攻を進めたと断言。その結果、米国の安全は未曾有の危機にさらされているとしている。
そのロビー活動の実相についても細かく紹介している。巨額献金が大統領選、上下議会選の結果を左右している実情。反イスラエル言論の監視など学会、メディア、議会、政権への影響力にも触れている。米国からイスラエルヘの経済、軍事援助の突出ぶり、さらに「イスラエルは使途を説明しなくてもよい米国の唯一の被援助国」という実態についても言及する。

注目されるのは二人の意見表明以来、米国内でイスラエルに批判的な内容の出版が相次いでいることだ。ジミー・カーター元大統領が書いた「パレスチナーアパルトヘイト(人種隔離)ではなく、平和を」もその一冊だ。昨年十一月の出版以来、この種の本では異例の十万部単位でのベストセラーになった。
カー夕-氏は「一部のイスラエル人は自分たちにパレスチナの土地を奪い、植民地化する権利があると信じている」と断言。「アパルトヘイト」という刺激的な形容も論議を呼んだ。
そのカー夕-政権で国家安全保障担当大統領補佐官を務めたズビグニュー・ブレジシスキー氏も今年三月、「セカンド・チャンス」(邦題は「ブッシュが壌したアメリカ」、徳問書店)を出版。これも直後にベストセラー入りした。
イラク戦争に当初から反対していた同氏は、米国の国際的な地位低下はパレスチナ問題での「公平な仲裁者からイスラエルびいきの提案者」への転換によると語り、原因を「親イスラエル圧力団体(ロビー).からの働きかけ」と指摘する。

こうした論調はかねてアラブ、イスラム圏では常識で、米国でも左派系メディアでは語られてきた。それでも、話題になった理由は何か。学習院女子大の畠山圭一教授(国際政治学)は「ミアシャイマー、ウォルト両氏とも米国では安全保障の参謀役ともいえる立場。いわば、米国政治の主流派からの発言ゆえ衝撃的だった」と説明する。

では、同ロビー批判はどの程度「タブー」だったのか。次期大統領選の候補者たちの主張が参考になる。民主党のヒラリー・クリントン氏は「イスラエルは何が正しいかを示す灯台」、同じくバラク・オバマ氏は「イスラエルとの関係は変更しない」、共和党のジョン・マケイン氏も「イスラエルを守るためには妥協しない」と表明している。つまり、イスラエル・ロビーへの配慮一色なのだ。
とりわけ、オバマ氏は今年九月、インターネツトで「イスラエル・ロビー」と検索した際、自らの選挙広告が掲載されることが報じられ、あわてて広告を取り消すドタバタを演じた。
ニューヨーク在住で「パレスチナー」の翻訳を進めているジャーナリスト、北丸雄二氏は「例えば、AIPACは会員数こそ十万人だが、年間予算は五千万ドル(約六十億円)以上。米国最大のロビー団体、全米ライフル協会には四百万人が所属するが、予算は約三百万ドル。膨大な資金力により、すでに米社会の各分野にイスラエル防護のシステムが築かれている」と話す。

「タブー」に挑めば、反発は避けがたい。今回の出版も例外ではなかった。「イスラエル・ロビー」について、ジョンズ・ホプキンズ大のエリオツト・コーエン教授(国際政治学)はワシントン・ポスト紙上で「これは米国の中東政策についてではなく、在米ユダヤ人の(米国への)忠誠に対する攻撃だ」と批判した。
こんな〃反ユダヤ主義”というレッテル張りがあふれ、それはカーター氏の著作にも及んだ。だが、非難に対し、ミアシャイマー氏らは「公に語れなかつたテーマを論議するためにこの本は書かれた」と一歩も引かない構えだ。

イスラエル・ロビーについては、以下の記事を参照ください。
8月6日「アメリカの政界で力を維持するイスラエル右派と、ロシアと繋がる欧州ユダヤ」
9月9日「アメリカを操るイスラエルロビー・・・・アメリカ国益派の反撃」
10月29日「イスラエル・ロビーとその背後」
イスラエル・ロビー批判は、この間のドル離れと連動しているとみるべきだろう。
アメリカ(及び国際金融資本)にとって、イスラエルの存在意義は次のようなものだったと考えられる。
アラブ諸国とイスラエルとの対立→戦争を利用して、国際金融資本→アメリカは両方を支援する。とりわけ、親米アラブ諸国に対して軍事的に守ってやる、その見返りに「石油取引はドルで行う」という約束をさせた。この「石油本位制」が1970年代以降ドルの価値を維持してきた基盤=ドル支配の基盤であった。つまり、アメリカ及び国際金融資本にとってイスラエルの存在意義はドル支配を続けるための手段であったと考えられる。国際金融資本がドル支配を見限ったのだとしたら、イスラエルの存在意義はなくなる。その現れが、この間の石油本位制崩壊の動き、およびイスラエル・ロビー批判なのではないだろうか?
8月6日の記事「アメリカの政界で力を維持するイスラエル右派と、ロシアと繋がる欧州ユダヤ」にあるように、実際、欧州のユダヤ人はイスラエルを見捨てて、ロシアとの繋がりを強化しようとしているとのこと。
国際金融資本がドル支配戦略に見切りをつけ、アメリカからの離脱を本格的に開始したのではないだろうか。例えば、ヨーロッパに拠点を移行させ、中国・ロシア等を相手に商売を拡大する。
欧州中央銀行はドイツのブンデスバンクやアメリカ連邦準備制度理事会よりも国家からの独立性が高いらしい。国際金融資本にとって最も都合の良い中央銀行であり、アメリカから離脱し、ヨーロッパへ舞い戻るという戦略というのが、まず考えられるところである。
いずれにしても、ドル支配⇒石油本位制⇒イスラエル支援という、アメリカおよび国際金融資本の支配スキームが崩壊、もしくは大転換しつつあることだけは間違いなさそうだ。それによって日本は危機的な事態に追い込まれる。ドルとアメリカ国債が下落しても構わないということであり、これまで日本は、ドルを溜め込み、アメリカ国債を買わせられ続けてきたからである。多額の借金を踏み倒されるのに等しい。
(本郷猛)

List    投稿者 hongou | 2007-12-09 | Posted in 09.国際政治情勢の分析No Comments » 

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