2019年04月23日

イギリスがEU離脱を後送りにする理由

今年3月末を予定されていたイギリスのEU離脱は、10月まで先延ばしとなった。

議会は混乱していたため、当初は無協定もまま離脱も囁かれていたが、それでは国内の混乱は必至となる。その回避としての先延ばしと言われている。

メイ首相は果たしてこの理由だけで離脱を先延ばししたのだろうか。

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◆粘るメイ首相

確かに、離脱を巡ってイギリス国内は混乱と膠着が続いた。メイ首相は何度も協定案を議会に提示するも反離脱派によって否決されている。反離脱派の工作とも言えるが、この混乱はメイ首相にとっては想定の範囲内ではないかと考えられる。

反離脱派を抑え、離脱延期を勝ち取ったメイ首相は、離脱に向けて文字通り進退をかけて取り組むことになるが、以前のエントリーでも記したように、メイ首相はイギリスのEU離脱を遂行するために首相に就いている。そのため離脱が実現した暁には、役割も終わる。

 

◆離脱の時間稼ぎ。それは新勢力との歩調を合わせるため

イギリスのEU離脱は、離脱後こそが重要。それはイギリス一国の状況だけではない。離脱後の世界情勢がどうなっているかが、イギリスの命運を左右する。

世界はすでにロシア・中国といった新勢力が台頭。グローバリズム勢力は弱体化しており、欧州においてもフランスにみられるように既存の情勢混乱もありEUも弱体化している。フランスがルノーを通じて日産を買収しようとしているのは、欧州のグローバリズム勢力が延命を図ってのことだが、イタリアをはじめEUの不安定な経済状況は時間の問題と言える。

しかしながら、まだ時期ではない。メイ首相とその背後にいる英国王室は情勢をそう読んでいるのではないか。

イギリスのEU離脱は、それを契機としてEUそのものを解体へ導くこと、合わせてイギリスが新勢力らと歩調を合わせてグローバリズムからの脱却を実現すること。この双方が最も効果的に作用するタイミングを狙っているのではないか。

欧州奥の院、そしてプーチンや習近平らとの歩調を合わせつつ、イギリスは動いている。

 

 

 

 

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