2008年08月18日

食糧高騰とCO2悪玉説のもう一つの狙い

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約1ヶ月前、北海道洞爺湖において環境サミットが開催され、その場G8の先進国とともににアフリカの主要国首脳が呼び出され、食糧と原油高騰についての声明が発表された。
また同サミットにおいては「環境と気候変動」(CO2問題)が取り上げられた。
食糧の高騰と原油の高騰については、すでにこのブログでも金融資本による投機目的によるものであり、それはアメリカからの離脱に伴い、現物を買い占めることで、その後の世界情勢の主導権を握ろうとするものであるという見解が提起されている。
それに対して私はもう一つの視点を提起したい。

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それは、食糧や原油の高騰が引き起こす政情不安、もっと端的にいえば現政権に対する揺さぶりであり、いわば恫喝的手段を用いて取り込みを画策せんとするものである。
実際とりわけアフリカ諸国を中心に食糧インフレによって、生活は窮乏し反政府運動が一気に活発化しており、各政権は危機状態にある。(すでにハイチ、カメルーン、ブルキナファソ、チュニジア、ソマリアなどで暴動が起こり、コートジボワール・モーリタニア・モザンビーク・セネガルなどで政情不安が広がっている。)
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90年代中盤以降、世界は金融資本同士の生き残りをかけての争奪戦となっている。もちろんこれらの国々もその渦中にある。
その場合、金融資本がその国や政府を意のままに動かすために、用いてきた常套的手段が、国内外に対立を作り出し、不安定さを作り出すという手口である。

論理的に考えても、市場とは序列統合のすきまを突いた‘抜け道’であり、万全な国家体制は市場にとってはむしろ邪魔者です。つまり、市場拡大には序列統合内に一定の‘ひび割れ’があることが不可欠であり、極論するなら、市場とは不安定期の方が拡大しやすいと言えます。
るいネット(土山惣一郎さん)

この、政情不安を作出するために、食糧やエネルギーの価格高騰が活用されているというわけだ。
それだけではない。これらの後進諸国に対してはもっと深遠な戦略が進行しているような気がしてならない。
同じく環境サミットにおいてはCO2による温暖化の問題が中心的に取り上げられ削減目標を設定することが大きなテーマとなっていた。これもすでにるいネットなどで指摘されてているように、このCO2温暖化犯人説は完全な政治キャンペーンである。(おそらく原油に代わる代替燃料やそれに向けてのインフラ整備、あるいはCO2の削減目標の設定に伴う設備改定などが生み出す天文学的な設備投資の誘引を予定し仕組んでいるのであろうが、この問題についてはまたの機会に詳述する)
政情が不安定化する上記の国々の石油産出量は乏しい。かつ悉く食糧輸入国である。
原油と食糧の高騰はこれらの国々にとってそれだけでも致命的だが、原油悪玉説はそれに追い討ちをかける。
原油悪玉説による「クリーンエネルギー」策の推進は図らずもアフリカ首脳をして、「我々から豊かになる権利を剥奪するのか」と嘆かしめるほとであって、対設備投資に対してのエネルギー効率の低い太陽電気などのエネルギー投資の推進は、後進国の貧困を固定化させるものだからだ。
しかしながら市場を原理的に見れば、次のようなことが指摘できる。
すなわち「市場は貧乏人がいてこそ拡大する」。それは搾取対象の存在を不可欠とする。人工的な格差こそ「市場の拡大の原動力」なのである。
つまり貧困層を恒常的に生み出すことによる市場の究極の延命策の一つなのではないかという疑いがあるのだ。
この想定が杞憂であればよいのだが。

List    投稿者 kitamura | 2008-08-18 | Posted in 09.国際政治情勢の分析6 Comments » 

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コメント6件

 うさぎちゃん | 2008.11.14 3:08

子供の頃は、大人になったら新聞をとって毎日よまなきゃいけないんだろうな~って、思ってました!
でも、大人になった今でも新聞ってとる必要ないなと思っちゃうんですよね~
インターネットでいつでも情報が得られるんだからわざわざ買わなくてもいいかって。。
その方が環境にもやさしそうだしね。
実感にマッチしている記事で「なるほど~」って思っちゃいました!!

 takesyo | 2008.11.14 19:04

うさぎちゃんさんコメントありがとうございます。
>実感にマッチしている記事で「なるほど~」って思っちゃいました!!
よかったです。
社会の事を考えるのに右も左も関係ないことは勿論ですが、知識レベルでも良く知っていても知らなくても関係ないのです。
だから
>インターネットでいつでも情報が得られるんだからわざわざ買わなくてもいいかって。。
>その方が環境にもやさしそうだしね。
という、私の考えが及ばない意識も出てくるのです。
確かに意識としてはエコにも繋がるものもありますね。
参考になりました。
ありがとうございます!!

 スズクニ | 2008.11.14 23:04

最近久しぶりに、新聞を読んでみると、なんだか昔に比べて分厚くなっている気がした(だれか、データとか持ってる人がいたら教えて!)
で、中身はというと広告が増えてるんですよね。広告が増えた分厚くなってるんだと思います。
今の新聞業界は収入の約半分がスポンサー収入のようで、スポンサーがいないとつぶれるという状況らしいです。
こんなんじゃ、事実も報道できないですよね。

 kaku | 2008.11.17 0:05

新聞読んで一番イライラするのは、もっと詳しく知りたいのに当り障りのないことしか書いてなかったり、その出来事がなんでおこったのかつながりが分からないとき。新聞は入口にはなるけど、追求するには向いてないですね。
>大衆側の意識が「事実が知りたい」「社会のもっと深いところが知りたい」と事実(社会・認識)へ収束しているからであり、その大衆の意識変化に今だ昔ながらの手法を用いている新聞は「見るに値しない」という評価が下ったからに他なりません。
そのとおりだと思います!

 curryrice | 2008.11.17 0:40

日本の新聞に先んじて、経済危機の中心地アメリカの新聞はもっと悲惨な状況になりつつあるようですね。
また、日本の新聞は世界の中でかなり特殊な状況にあるようですし、凋落過程を探る上で新たな視点が見えてきたら、また是非記事にしてください!楽しみにしています。

 kuwavillage | 2008.11.17 13:16

>大衆側の意識が「事実が知りたい」「社会のもっと深いところが知りたい」と事実(社会・認識)へ収束しているからであり、その大衆の意識変化に今だ昔ながらの手法を用いている新聞は「見るに値しない」という評価が下ったからに他なりません。
そもそも、新聞社含め多くのマスコミ機関はスポンサーの広告費が第一義目的で、彼らにとって事実の発信はその次なのかなって感じます。まず、そういったマスコミを取巻く構造をみんなが理解したなら、本当の情報発信の媒体がどういうものであるべきなのかに気づいていける気がします。事実か否かを判断できる場として、可能性のあるのがインターネットなのかもしれませんね。
参考になりました。ありがとうございます★

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