おもてなしは「主客一体」~相手と一体になり、互いに想いあう、充たしあい〜
おもてなしにおいて重要なのは、常に相手の傍に心を添えること。相手を想うこと。
では、どうすれば常に相手を想っていられるのでしょうか。
相手が喜ぶだけの場は「おもてなし」ではない
おもてなしを考える時に、まず陥りがちなのは、とにかくお客様ファーストで、単純に喜ばせる場を提供すること。
しかし客側だけの一方的な喜びというのは本来ありえません。それは、おもてなしではなく、奉仕、サービスです。
おもてなしとは、「おもて・うら無し」。つまり、表裏のない心で相手と一体になることです。
心が溶け合い、和合して、一体となることで、互いに想いあって、息が合う。
準備も含めてそういった場、空間、時間をつくりだすことが、おもてなしなのです。
例えば茶道では、身分は一切関係なく、雑念のない、澄み切った空気感のなかで、
リラックスの中にも緊張感があり、互いの精神が一体になっていきます。
一体感が高いほど充実した、質の高い茶会と言われています。
茶人として有名な千利休が、最も伝えたかったことは
難しい作法や礼法ではなく「おもてなしの心」だったと言われています。
茶道を極めるために説いたと言われる「利休七則」は
実は茶道だけでなく、相手を想うという視点で、
人と人との関わり合いで成り立つ、仕事をすすめていく上でも非常に重要な視点ではないでしょうか。
【利休七則】
一、茶は服のよきように点て
二、炭は湯の湧くように置き
三、夏は涼しく冬暖かに
四、花は野にあるように活け
五、刻限は早めに
六、降らずとも雨の用意
七、相客に心せよ
諸説ありますが、これを普遍的に現代語訳をしてみると以下のようになります。
【おもてなしの心得】
一、常に相手の状況や気持ちを考えて
ニ、準備は的確に、ぬかりなく
三、相手が心地よくなるように
四、表現は、本質を簡潔に
五、物事は段取りよく
六、相手のために万全の備えを
七、客の立場であっても人に気を配って
一見簡単そうに見えますが「分かっていてもできないのが人間。本当に全てができるのならば、あなたの弟子になろう」と利休は言ったといいます。
全てに共通するのは「常に相手を想う」「常に相手の傍に心を添える」ということ。
これはまさに商談やおもてなしの場の成果の高さとも重なりますね。
相手が求めているもの、こちらが提案・提供したいものがピッタリと同期すると、そこにいる全員が充たされ、それが成果になります。
いかなる仕事においても表裏のない心で、相手と一体になること
お客様相手のおもてなしの場ではもちろんですが、
社内、チーム内における日々のやりとりであっても同じことが言えます。どれだけ互いに心を通い合わせて一体になれるか。
その結果として互いを想い合い、高い成果を出すための工夫、動きができるようになるのではないでしょうか。
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