2008年11月11日

米覇権終焉と米大統領交代は、日本にとても可能性があるという認識へ

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米国の次期大統領はオバマ氏に決まった。オバマ氏の対アジア外交の方向性は、現状では中国外交重視との見方がある。日本にとって今後も米国との関係は最重要課題であることは変わりないと思うが、オバマが選出された米国の空気、各国世論などからは、ブッシュ時代は明らかに間違いで、世界中で改変を期待しているところがあるものとみられる。
このことを契機に、日本のとるべき姿勢と、今後の米国関係構築の可能性をみていきたい。

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■オバマの外向政策は中国重視
毎日jpより  米大統領選:重み増す対中国関係 オバマ氏のアジア政策http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081106k0000m010112000c.html
 

米大統領選でのオバマ氏当選を受け、麻生太郎首相は「日米同盟は日本外交の基軸」と表明した。オバマ氏と直接のパイプがない日本政府は同盟を基礎に関係構築を狙うが、アフガニスタンでの「テロとの戦い」を中心に安全保障面で一層の貢献を求められるとの見方も広がる。オバマ氏が唱える国際協調路線にどこまで足並みをそろえられるか試される局面も出てきそうだ。
 
 首相は5日発表した談話で「日米両国は自由・民主主義、基本的人権の尊重、市場経済の推進といった価値観を共有」と強調。そのうえで「日米同盟は日本外交の基軸であり、アジア太平洋地域の平和と安定の礎だ」と重ねて指摘した。
 
 こうしたことを再確認したのは「オバマ政権がアジア外交で中国重視の立場を取り、日本の対米影響力が相対的に低下する可能性がある」との懸念があるためだ。河村建夫官房長官は5日の会見で懸念を打ち消したが、米政府にとって中国との関係が重みを増しているのは否めない。

オバマ氏は中国重視か、日米関係の人脈の細さ心配の声も
YOMIURI ONLINE  2008年11月6日(木)
 
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20081106-OYT1T00102.htm
 

米国の新大統領に民主党のバラク・オバマ上院議員が選ばれたことを受け、日本政府はその対日政策を見極めつつ、共和党のブッシュ政権のもと「黄金時代」とも言われた関係の再構築に力を注ぐ考えだ。
ロナルド・ポスト駐日米公使は5日、都内で記者団に、「米指導者の間では日米関係が重要との認識がある。政権が変わっても影響はない」と語った。
 ただ、「変革」を唱えたオバマ氏が現政権の政策を転換する可能性は高い。民主党のクリントン政権が中国寄りの立場をとり、「歴代大統領は前任者を全否定する傾向がある」(外務省幹部)こともあって、オバマ氏も中国重視だとする見方は強い。「あまり日本をご存じでない」(自民党の細田幹事長)ことへの不安や、米民主党と日本政界との人脈の細さを心配する声もある。
―――中略―――
「インド洋での海上自衛隊の給油活動に加え、アフガン本土での治安維持活動に参加を求めてくる」(山崎拓・自民党外交調査会長)との見方や、北朝鮮の拉致問題をめぐる不協和音への警戒感も漂っている。

■日米関係不安視→日本は相変わらず従米の意向
天木直人のブログ―日本の動きを伝えたい― より
「オバマ大統領誕生に思う その② 対米従属が更に進む事を憂う」 2008年11月6日

http://www.amakiblog.com/archives/2008/11/06/#001222 より

 これから書く事はオバマ次期大統領の責任ではない。もっぱら日本側の問題である。
私は日本の対米従属政策は、これからもっと進んでいくと思う。
なぜか。 ひとつは、日本の指導者たちが米国という国をまったく理解していないからである。米国有力者との真のパイプを有している者が誰ひとりとしていないからである。
 
 日米外交の担い手は外務官僚である。ところがその外務官僚がまるで米国との間に関係を築けていないのだ。 麻生首相のブレーンの1人が前外務次官の谷内正太郎であるらしい。しかしその谷内前外務次官がおよそ米国との関係に弱い外交官なのである。
 ―――中略―――
 しかし、米国との関係の希薄さは、外務官僚だけではない。
政治家も財界も学者も有識者も、いわゆる日本の指導者の中で米国との強い人的パイプを有している者はいない。 野党政治家や左翼主義者に至ってはなおさらそうだ。 このことから何が導きだされるか。
 それは、米国に対して対等な立場にたって正論を語ることができない、という事である。
この事は、オバマ次期大統領が熱狂的な支持を受けて成立したこととあいまって、オバマ米国にますます異を唱える事ができないということを意味する。
更に言えば、日本には、ブッシュ政権の誤ったイラク攻撃に追従してしまったという負い目がある。
オバマ次期大統領の成立は、彼の資質もさることながら、ブッシュ政権8年間のアンチテーゼであった。そうであれば日本はオバマ政権に楯突く事ができないのだ。
 
 さて、そろそろこのブログの結論を述べることとする。
オバマ次期大統領は、イラクからの撤退を開始する一方でアフガンでの「テロとの戦い」を強化すると伝えられている。 果たしてそうなるかどうかは今後のオバマ次期大統領の安保・外交姿勢を見てみないとわからない。
 しかし、日本の政府・外務省は、その事を先取りして、アフガンへの協力を進めなければ日米関係がもたない、などと言い出すに違いない。少なくともテロ給油を続けなければ米国からの圧力がかわせない、と言い出すに違いない。
そして、これに対する野党の反論が封じられてしまう。オバマの米国に反対するのか、という言葉に、野党は、「いくらオバマでも、戦争に協力する事はできない」、と自信を持って言い返そうとしないのではないか。私が対米従属が更に進むと憂う理由がそこにある。
 
 いまこそ日本は憲法9条を掲げ、オバマ次期大統領に「テロとの戦い」の名の下に行なわれる戦争を止めるように求める必要がある。 オバマの人気を上回ってあまりあるものは「平和」である。
平和をすべての価値に最優先する憲法9条は、戦争に取り付かれた世界の指導者たちにとっては邪魔なものかもしれないけれど、戦争に苦しめられてきた世界の人々に対しては絶対的な価値を持っている。それを正面に掲げて、日本とともに平和外交の先頭に立とうではないか、と言えば、オバマといえども、いや、オバマだからこそ、反論は出来ないのだ。
 ―――後略―――

天木直人のブログより―日本の動きを伝えたい―  2008年11月9日
「誰が米国大統領になろうとも日米同盟関係は不変」と言い続ける日本政府と外務官僚
http://www.amakiblog.com/archives/2008/11/09/#001228 より

 シーファー駐日米国大使は6日、オバマ大統領の当選を見届けた上で、誰が米国の大統領になっても日米同盟の重要性は変わらない、と日本に向かってメッセージを発した。おかしな話だ。ブッシュ大統領の退任とともに駐日大使を去るシーファー氏が、どういう権限を持って、そのような発言が出来るというのか。しかし、その発言をよく聞くと、日本はもっと米国の「テロとの戦い」に協力しろ、と言っているのだ。歴代の駐日米国大使のなかで、このシーファー大使ほど日本を軽視した大使はいなかった。
 
 彼はブッシュ大統領の代理人として日本に戦争協力を求めるためだけに4年近くもの間滞在した。それだけの大使だった。さすがの日本政府指導者も外務官僚も、さらには日本の各界の指導者たちも、シーファー大使に辟易したと見えて、その接触は極めて限定的だった。
 シーファー大使が、次期政権でも日米関係の重要性は変わらないと、話す言葉には、しかし、少なくとも明確な意味がある。どのような政権になっても日本から搾り取れるうちは搾り取るからいいな、よく覚えておけ、というメッセージを日本に伝えているのだ。
 
 これに対してどう考えてもおかしいのが、日本の政府指導者たちがその米国との関係を不変であるといい続けることである。オバマ次期大統領が決まった事の感想を求められて、麻生首相は、「どなたが大統領になられようとも日米関係は50年以上培ってきた。(この関係を)新大統領とも維持していく」とコメントした。 この白々しさを、11月9日の毎日新聞「発信箱」で、伊藤智永記者が次のように痛烈に批判していた。
 
 ・・・米国民の多くは、いまやブッシュ時代を「間違っていた」と考え、オバマ氏を選んだ。日本以外の同盟国も、それぞれブッシュ路線と確執を抱え、オバマ氏の「変革」に期待を寄せる。同じ時期の日米関係を、外務省は「戦後最良」と自賛してきた(が)、その基になったのは、小泉純一郎元首相とブッシュ大統領の人間関係。なのに今、日本だけ反省もなく「誰が大統領でも同盟は不変」なわけはなかろう・・・
 その通りである。
―――中略―――
 11月9日の日経新聞「オバマ米国と世界」の中で、次のようなくだりがある。
 ・・・日本政府は大統領選の前から在米大使館、外務省を総動員して「オバマ政権」にそなえ、陣営幹部と接触を図ってきた。大統領選から二日後の電話協議でオバマ氏から、「同盟を強化していきたい」との言葉を引き出し、関係者は胸をなでおろした・・・
 
 おめでとう。
 
 しかしなんという情けない外交をやっているのかと思う。そこには、オバマ新政権との日米関係をどう構築していくかという日米同盟観はなく、あるのはただ米国が日本をどう見てくれるか、という事だけである。

■米国関係の転換期
 オバマ次期大統領の対アジア外交は中国重視という見方が強い。
これらを受けて日本政界との人脈の細さから一部悲観的な報道もあり、麻生首相や河村官房長官らは懸念を打ち消すような発言をしている。従来と変わらない従米政策でいくものと今のところは思われる。
特にブッシュ政権では日本以外の同盟各国やさらにアメリカ国内においても、ブッシュ時代は間違いだった、と誰もが思っている。しかし、日本は最後までブッシュと一緒であった。ブッシュ時代を反省せず、弱腰外向のままなのだろうか。
しかし今後、米国支配の終焉は明らかである。
「路上で世直し なんで屋【関西】」http://blog.livedoor.jp/nandeya_umeda/archives/50847716.html
米国支配の終焉という状況を認識することが最重要になってくる。
この状況を無自覚でいるから対米関係に不安になり、米国への迎合路線強化へ向かおうとしてしまう。今ここで無駄に米を延命させることは、日本をますます世界から乖離させる状況に向かわせるのではないだろうか。
国民が求めているものは、「誰が大統領になろうと変わらない」と言う米との良好関係をアピールするものではない。オバマと米国を正しく理解し、米国支配が終焉する事実認識を持ったうえでの真の可能性ある政策を望んでいるのではないだろうか。
オバマの真の意図はまだ図り兼ねない部分が多い。日本への期待は何なのか、今後の動向を見極めたうえで、日本の本源性、未来への可能性をしっかり提示できることが望ましい。
今皆が必要な認識は、米大統領交代は日本にとっても可能性があるという認識が必要ではないだろうか。

List    投稿者 yamatetu | 2008-11-11 | Posted in 09.国際政治情勢の分析7 Comments » 

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コメント7件

 ふしぶじゑ | 2009.02.22 1:35

TBありがとうございます。
なるほど、現下の世界を見てると当面FRBが米国債を買い支えるというのは十分に有り得ますね(ヒラリーは昨日中国で、中国による米国債買いの今後についてどんなこと言われたんでしょうかね?)
そうすると高橋洋一氏の言ってる政府紙幣の発行というのも、「日米同盟」の連携としての米国債買い支え支援の一つになるってことでしょうか。
そうやってボートの底の穴を日本がふさいでやるのはいいですが、ボートそのものにの穴が多すぎて沈んでしまう可能性が高そうですけど…(苦笑)。

 のだおじさん | 2009.02.24 20:57

>通貨の信用は、直接には、その国の財政信用に依存します。その背景になるのが、経済力・政治力・軍事力です。
アメリカの経済力が衰弱していけば、政治力・軍事力も衰弱していくことは明らか。しかし、信用は相対的なもので世界中で経済力が衰弱している現在、逆にアメリカの信用は相対的には高まっていると言えるかも知れない。
アメリカの経済的衰弱が信用の低下へとつながるのは、アメリカを超える信用が形成された段階か、アメリカの信用が世界でも相対的に低い状態になったときではないか。

 匿名 | 2009.02.24 21:04

本日、日本の麻生総理がオバマ大統領と会談が行われる。オバマの目的はアメリカ国債の購入と転売しないことを約束させる狙いです。
 日本はアメリカにどんな注文を付けるのでしょうか。中国は「国債を買うか売るかはアメリカの経済政策次第」とクリントンに注文をつけたらしい。クリントンも人権問題で中国に注文を付ける予定が、トーンダウンしてしまった様です。

 本郷猛 | 2009.02.24 22:03

ふしぶじゑ様、コメントありがとうございます。
高橋洋一氏が提言してきた政府紙幣はたかだか25兆円程度であり、特定の目的財源だと考えられます。その目的はやっぱり米国債購入資金でしょうね。
 

 匿名 | 2010.08.24 0:11

米国債など戻ってこないんだから関係ないだろ。
アメリカに金を貸すのはドブに捨てるような物だ。それを
やめるしかできない。

 匿名 | 2010.08.24 10:37

「アメリカに金を貸すのはドブに捨てるような物だ」というのはその通りなんですが、ドル・米国債暴落がどのような形で行われるのかは考えておく必要がありますよね。

 dark blue hermes handbags | 2014.02.03 7:27

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