中国が「世界最強のIT国家」になる歴史的必然性
以下は、講談社現代ビジネスに掲載された野口悠紀雄氏の記事より、要約です
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グーグルは、以前から検索やメールの情報を集めそれを広告に用いて巨額の利益を得ていた。フェイスブックも同様である。さらに、個人の情報を集めることで巨額の利益を得る仕組みをなお、開発中である。ただ、アメリカにおいては個人主義、民主主義の前提から必然的に大きな壁にぶつかる。
しかし、中国ではそのような規制が弱く、ビッグデータを簡単に集められる。そして、ビッグデータの収集は、AI(人工知能)の技術開発の発展にとって極めて重要な条件であるから、中国が圧倒的に有利に立つ。人工知能のディープラーニングにおいて圧倒的に有利に立つのだ。
潤沢な資金や優秀な人材もあるが、それ以上に、中国の社会構造、国家構造がIT産業に対して有利に働く。
ヨーロッパ近代社会は、個人主義を前提にして作られた。中国共産党の一党独裁はこれと前提にしておらず、市場経済とは矛盾すると当初は思われた。実際、一党独裁下の市場経済で汚職がはびこっている面は否定できない。
しかし、IT産業では、上にで述べた理由により、中国の体制が有利に働くのだ。
これまでの工業社会では、個人の自由と経済全体の発展が調和してきた。しかし情報産業においては、むしろ、個人の自由を強調しすぎるととは不利に働く。中国の人口の大きさ、そして、国家体制は、IT産業は本質的な意味で合っていると考えられるのだ。
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以上は、要約です。
中国の体制で必ずしも良しとは思わないが、中国の人たちから見れば、生活が豊かになり、また、欧米諸国に支配されていた歴史を考えれば、国全体がより強くなることは非常に重要で、プライバシーの侵害など相対的に大した問題と感じていないのはないか。
最先端の産業での、中国と欧米の、歴史的な力関係の大逆転は、これまでの価値観の前提を疑うことを要求してくる。
日本においても、「自由」「平等」「個人」これまで前提にしてきた価値観のせいで、さまざまな問題が噴出している。その前提を考え直さなければ、現実に対応できなくなっていくのは間違いない。
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