2021年05月14日

遊牧部族の父系制への転換と蓄財競争の始まり

世界最初の戦争は遊牧部族が農耕部族を襲撃することで始まった。その直接の引き金は、5500年前の乾燥であり、それまで人類にとって絶対タブーであった「同類の殺戮」を可能にしたのは、「守護神信仰」(ex.自分たちは狼の末裔)による、自部族の特別視と他部族の否定(自己正当阿kと他社否定)の観念である。

しかし、その遊牧部族の強い集団自我と集団私権の下敷きとなったのが、遊牧部族の婚姻制度の転換と蓄財意識である。
遊牧は狩猟→牧畜から派生した集団で、通常夏用の牧草地と冬用の牧草地とを移動する生産様式である。

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■遊牧の開始に伴う男集団の形成
牧畜という生産様式は世界中の至る所に存在するが、遊牧は中央アジアから東アジアにまたがる広大な草原ステップの帯の地帯にほぼ限定されている。ここは乾燥度が高く、家畜の餌となる植物が少ない。また、牧草のある地域では、既に他の牧畜部族の縄張りとなっている。そういう生産力が低い地域で牧畜→遊牧に転換したのである。
その際に、女・子供も含む部族そのままで移動した可能性は小さい。何故ならば、まだほかに餌が見つかっていない場合は、女子供も含めて移動することは、生存確率が低い決死行となり、部族の滅亡の危機にさらされるからである。従って新たな牧草地を開拓する部隊として、開拓部隊(斥候部隊)が編成される。危険性の高い開拓部隊は、足手まといになる女・子供は参加させられない。おそらくその開拓部隊は成人(大人+若手)の男たち(5人から10人くらい)だけの集団であっただろう。それらがおそらく複数グループ作られることになる。
この開拓部隊の移動距離は当初はせいぜい1~3ヶ月まで位だったと予想され、その場合は狩猟時代と大きく変わりはないが、移動は家畜の餌となる植物植生によって決まるので年間コースとなって、1年間母集団に帰ってこないことになる。

1年間に1回しか開拓男集団が帰ってこなくなれば、1年間の禁欲生活を強いられることになり無理がある。開拓男集団の方でそれが問題化する。そこで一定縄張りを確保でき、生活が安定してきた段階では、開拓男集団は母集団に対して「女よこせ」要求を行う。丁度6000年前ころ馬が家畜化され、女子供でも長距離の移動が可能になったこととも相まって、母集団は女を分配するようになる。人工的に作られた男集団であるがゆえに、史上初めて女が移動する婚姻制度が登場したのだ(嫁入り婚)。

■母系から父系へ。婚資から蓄財競争へ
その際に送り出す娘に持参させたのが家畜等の「婚資」であるが、当初の婚資は、嫁に出す娘や、もともと息子たちである開拓集団に対する援助という色彩が強かったであろう。
女が開拓集団に常駐するようになれば、子供が生まれそこで育てることになるが、これが集団にとっては大問題となる。一年間帰ってこない集団で、かつ生産も生殖も自己完結しているとなれば、集団は分裂の危機に晒されることになる。もちろん、年に一度は会合や祭りなど集団統合の場は持たれたであろうが、それだけだと盆正月だけに集まる親戚程度の関係と大差なく、集団の分裂ベクトルを食い止めることはできない。
そこで取られたのが、人材の交換だが、とりわけ集団を結びつけるうえで、最も強力なのが婚姻関係である。そこで遊牧集団は、母集団と開拓集団との間の交差婚に移行するが、もともと男主導の集団であることに加えて、土地勘が重要な遊牧では、男を移動させれば戦力が低下する。従って女が移動する嫁入り型の交差婚の形をとることになる。この際に「婚資」が相互に送られることになるが、嫁取り交渉では持たせる財の大きさが集団の力を示すバロメーターとなり、集団の財が多い方が交渉が有利に運ぶので、各集団の蓄財意識が高まってゆく。

この段階では遊牧集団は決定的に変化している。一つはもともとは母系集団であり、女たちは生まれたときからずっと一体であったものが、交叉婚嫁入り婚によって女の出身はバラバラなものとなり、父系の集団へと変化する。当初は母集団だけは母系であったが、交叉婚によって母系は時を置かず解体されていく。
更に蓄財が集団の力を示すバロメーターとなり、蓄財競争が始まる。集団の蓄財=集団私権の大きさが集団の力を示すものとなる。
さらには嫁入りする女にとっては母集団から贈与された、一種の私有財産的な色彩を持つようになる。
つまり現在=私権社会につながる、父系社会と私権追求の出発点が、遊牧という生産様式とそれが生み出した婚姻制度の転換だったのである。

List    投稿者 nihon | 2021-05-14 | Posted in 01.どうする?マスコミ支配No Comments » 

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