教育50年の変遷から見た人材育成の未来 ~競争から共創へ。これからの企業に必要なのは共創人材~
現在求められている教育は何なのか。現場ではどんな意識なのか。戦後50年の教育を俯瞰し、人材育成の未来を追った。
■科学立国から、生きる力を鍛える教育へ
戦後以降の教育50-70年代は、欧米に追いつけ追い越せで、科学技術教育を強化し、「科学立国」を目指しました。しかし70年代に貧困が消滅し、バブル崩壊以後の2000年代からは、産業界の教育方針に向けた要請が非常に多くなっています。
同時に進学率も上昇し、受験戦争は激しさを増します。しかし80年代以降にゆとり教育の流れから「生きる力(自ら学び、自ら考える力)」を鍛える教育へと舵を切っていきます。
08年には、脱ゆとりに向かうものの、その本質は変わっていません。
12年の中央教育審議会(中教審)の答申では、大学の質的転換として、アクティブラーニング(能動的学習)の導入を提言し、20年に向けた大学の入試改革にも動き出し、
17年には学習指導要領で「主体的・対話的で深い学び」を、
21年には中教審の答申で「令和の日本型学校教育」として「個別最適な学びと、協働的な学び」が打ち出されました。
■自ら考え、仲間と協働し、共創を生み出す力
22年の経産省「未来人材ビジョン」では、
「常識や前庭にとらわれず、ゼロからイチを生み出す能力」
「夢中を手放さず一つのことを掘り下げていく姿勢」
「グローバルな社会課題を解決する意欲」
「多様性を受容し他社と協働する能力」が求められています。
つまり、自ら考え、仲間と協働し、共創を生み出し社会課題を突破する、【共創人材】が求められていると、私自身は捉えています。
■人並みで。目立ちたくない子ども・若者たち
教育事業部で学習塾経営をする中で、とりわけ近年顕著なのが、子どもたちの仲間圧力の強まりです。教育事業部独自に行っている勉強する理由のアンケートも、ここ5年の「1位は親が言うから、2位がみんながやっているから」、と主体的な意欲が減退しています。
さらに、成績が良くても悪くても「目立ってしまいいじめられる」ため、「人並で良い、目立ちたくない」という思考が年々強まっているようです。これをネガティブに感じるかもしれません。
ただ、90-00年代以降に生まれた今の10代後半から20代は、生きる力を重視した、他者との協働を主とした教育の中で育ってきました。
■協働で進める仕事の方が活力も成果も高い
だから、彼らは競争よりも共創なのです。争う競争ではなく共に創る働き方が深いところに根付いている。
実際、社内を見ていても、一人で考え、他人よりも先んじて成果を上げる仕事よりも、先輩社員や他者との協働で進める仕事の方が活力も成果も高くなる傾向にあります。
そして、活力の高い人材ほど、誰かの役にたちたい想いと、人とのつながりを欲しています。
その力を軸にして、人と人をつなぎ、共創の場を生み出していける人材が、次の次代を担う人材になっていくはずです。
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