2022年02月07日

【日本の活力を再生する】“働く”をつくりなおす企業3~市場的分業と共同体的分業~

みなさん、こんにちは!
“働く”をつくりなおす企業シリーズ1と2では、自社企業でどのように“働く意識”を再生しているかを紹介しました。今回は、1つの職に対してではなく複数の職を持って働く意識がどのようなものなのか?そこにどのような可能性があるのか?を見ていきます。

 

【企業からの副業推進とその裏側】

コロナ禍以前からじわじわと広がり始めた「副業」という選択。最近では、積極的に副業を推進している企業が多く存在しています。一般的な副業推進の理由とされているのは、キャリア形成やスキルアップ、所得増加などが主。
ただ、本当の理由はもっと別のところにあります。

それは「企業が雇用者の面倒を見切れない。だから自立してもらう(=企業から切り離す)」というのが裏の理由です。

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≪人口が減っていくわけですから、あらゆる物やサービスの消費者が減るんですから。企業としては雇用の維持が困難になる、もしくは賃上げが苦しくなります。だったら働き手側が、雇用されている会社に頼らず、自分の力で収入を上げていこうよ、ということなんでしょう。≫(働き方改革で副業が推進される本当の理由と恐怖https://writers-way.com/article/920

企業へのぶら下がりではなくなるとも言えますが、体のいい切り捨て=集団解体の副業推進とも言えます。

 

【百の姓をもつもの】

本業と副業の話をしましたが、似たような働き方の人々が江戸時代にもいました。「百姓」です。

≪現在と同じように、農業を専業として生計を立てていた人々もいたが、多くは”兼業”として農業に従事していたことがわかっている。大工、鍛冶は、職人あるいは百姓が営んでいたが、木挽、屋根屋、左官、髪結い、畳屋は、多くの場合専門の職人などおらず、百姓が畑の合間に営んでいた。宗教者については、寺は僧侶だったが、神職については「百姓神主」の割合がかなり高かったとされている。また、医者、商人、漁民も百姓が営むことが多かった。≫(多くの人が本当の意味において「百姓」となる時代が来るhttps://setsuyaku.ceo/post/358)

百姓は、午前中は農業、午後は農業以外の仕事/ボランティアを何でもやるという働き方が主でした。(パラレルワークの都市江戸https://paraft.jp/r000016000973)

農業ともうひとつの職業で働く、仕事スタイルだけで言えば、副業と似ていますね。

 

【なぜ副業がいま、注目されるのか】

江戸時代は、まさに、“なんでもやる”のが当たり前でした。本業と副業という捉え方ではなく、生活/地域集団において必要性を見出しそれが仕事になっていったという感覚でしょうか。

ところが明治以降、世界の市場経済の流れに吸収されていった日本も、大量生産→大量消費の時代となり、生産量拡大のためにひとつの仕事に専念する、専業一本=“それだけやる”が当たり前の価値感に変わっていきました。

この価値観が近年まで続いていましたが、市場縮小に伴い、自分の生活は自分でまかなう⇒専業一本ではない副業という考え方が、現代になって注目されるように。小さくなる市場の中で、生きていくために互いの仕事を奪い合わなければ生きていけない、そういった時代に変わってきてしまったのです。

副業が注目されるようになった流れを押えましたが、つぎに、現代の副業と江戸時代の百姓はどう違うのか?をもう少し固定化していきます。

 

【全体の最適化】

現代の副業は、個人の能力や生産量はあがる一方で、結果的には小さくなっていく市場のなかで単に仕事の奪い合いを行っているだけ=市場全体の最適化には繋がっていないように思えます。
反対に江戸時代の百姓は、地域共同体の生活の中で必要性/役割を互いに見つけ出した持ちつ持たれつの関係性=役割の最適化であると感じます。

★専業化という価値観にによる「市場的な分業」なのか、役割の最適化による「共同体的な分業」なのか、ここが大きな違いでしょう。
生産“量”の上昇ではなく、生産力/生産性の上昇、どれだけここに繋がっているか。

どちらの働き方のほうが、正確に言えば、どちらの働く価値感のほうが、幸福に働けるでしょうか。
みなさんも、一度、自分の働く価値観がどのようなものか考えてみてはいかがでしょう。

次回は、現代における百姓的働き方「共同体的な分業」が行われている企業や地域を紹介していきます!

List    投稿者 fuji-m | 2022-02-07 | Posted in 12.現代意識潮流No Comments » 

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