2013年08月13日

米国の圧力と戦後日本史(総集編6) ~米国支配(TPPとグローバリズム)の果てにあるもの~共同体企業ネットワークが拡大していく~

前回の記事では、従米路線に転じた中曽根以降~小泉の日本について扱う中で、特に当初は対米自主を目論んでいたと思われる中曽根が従米に転じたのはなぜか? アメリカの日本への要求が従来に増して直接的になった背景は? マスコミとより一体となって政治支配を行う手法などに焦点をあてた。
今回の記事では、小泉以降の日本、取り分け自民党の世襲体制(安倍、福田、麻生)が悉く潰されていったのはなぜか? 民主党が政権をとるや否や従米へ転じてしまったのはなぜか? 安倍政権の意図=TPPでアメリカが実現しようとしている意図は何か?TPPとグローバリズムのその先にあるものは何か?について焦点をあてる。

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米国の圧力と戦後日本史23
~米国に抗いきれず、ことごとく潰されていった世襲政権~

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★世襲議員の増加=民主主義のウソ
選挙で当選するためには、知名度、支援者、そして何より金が必要とされる。これら三つの力の総合点によって、当選するかどうかは決まる。これらはそれぞれ「看板」「地盤」「カバン」と言われ、俗に「三バン」と呼ばれているが、特に「地盤」となる講演会の組織やその運営資金は非課税であり、そのまま引き継がれていく。
 
つまり、世襲というだけで、新候補とは既に圧倒的な差が選挙前に付いていることになる。これでは、新候補が当選することなど適うはずもなく、せいぜいマスコミへの露出を通じた大幅な「知名度UP」ぐらいしか対抗する手段を持たない。
 
これは、民主主義の根幹である「平等な選挙」など、どこにも存在しないことを意味している。当選に必要な様々な私権が相続される世界では、民主主義など成立し得ない。
 
★最も安定させられる国家体制は、世襲体制
上記は世襲議員が増えてきた理由にはなるが、安倍→福田→麻生と有力政治家の血縁者が総理大臣に選ばれる理由にはならない。
小泉政権以降、安倍→福田→麻生と有力政治家の血縁者が総理大臣に選ばれたのは、なぜか?
小泉政権は歴代まれにみる売国政権であり、「自民党をぶっ壊す」という彼の宣言通り、政界は混乱に混乱を重ねてきていた。この状況の中で、自民党政治家が真っ先に考えるのは、この混乱状態を如何にして安定させるかということである。
 
国家(序列)体制の頂点に位置づけられる政治の世界では、日常的に権力闘争が繰り広げられており、誰をトップにしても収まらず、安定化させることは容易ではない。そこで必要になるのは、「誰も反対できない」人物をトップに選ぶことにある。つまり、『安定』を最優先に考える以上、トップに必要なのは、「誰も(表立っては)反対できない大義名分を持っている」ということにある。そして、「血縁」というのは、絶対に乗り越えられない壁である。
 
つまり、安定を作り上げ維持するのならば、有能な人間を選ぶよりも、それはともかく「反対しにくい世襲議員」の中からトップを選ぶ方が適しているということになる。
 
実際、古代日本における天皇制も、老舗と言われる歴史ある企業も世襲であるし、もっと言えば部族という集団形態そのものが、世襲を前提としている。
 
 
★世襲政権が、悉く短命に終わったのは、なぜか?
安倍→福田→麻生の世襲政権は、政界における「力の基盤」を引き継いでおり、さらに安定化を志向する政治家によって選ばれたのであれば、党の外に力の基盤を求める必要がない。(中曽根や小泉との決定的な違いである) 
故に、彼らの政権運営の視点も、党の外=アメリカではなく必然的に党内に向かうことになる。そして、党内の利害調整その他に運営の中心軸を設定した結果、アメリカの虎の尾を踏むことになり、アメリカ(→マスコミ)によって退陣に追い込まれていくことになった。

特に2008年リーマンショックに向って世界経済が突き進んでいたこの時期、アメリカ(特に、ロックフェラー財閥)はとことん追い詰められており、米国債の購入、郵政民営化の実現は彼らの生死に直結する。アメリカ(ロックフェラー)としてもなりふり構っていられない状態にあった。日本の政権が短命の繰り返しになろうとも、彼らは都合の悪い首相を切り続ける必要があったのである。  
 
★反米保守の壊滅
さらには、この過程を通じて、反米保守は完全に影を潜めることになる。反米政治家の子ども、あるいは孫であれ、従米に転換しなければ生き残ることはできない。
 
(こうして完全にアメリカに下ったのが安倍であり、現在の安倍政権が順調に政権運営しているように見えるのも、完全な従米政治家となった証左であろう。)
 
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米国の圧力と戦後日本史24
~脱米から従米へと大きく転換してしまった民主党政権。否定の論理では何も実現できない~

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★対米自主を期待されて誕生した民主党政権であったが、初期段階でその志は潰え、その後は従米へ。国民の期待は完全に潰えた末に、民主党は与党の座を降りることとなる。 
 
★なぜ民主党は対米自主から従米へと転換してしまったのか?  
この原因の第一は、民主党がそもそも旧自民党、旧社会党、松下政経塾出身者などの寄せ集め集団であり、一本化された党内の統合軸を持ち合わせていなかったことにある。つまり、従米派と脱米派が常に争っており、どちらが主導権を持つかで党の方向性が決まってしまうからだ。
 
 さらに根本的には、長年野党として政治に携わってきた民主党には、与党を否定する論理はあったが、実現するための論理は持ち合わせていなかった。つまり、実現の意思と実現の論理が無かったからこそ民主党はなにも実現出来なかったのである。
  
★しかし考えてみれば、「否定の論理しか持ち合わせていない」というこの構造・思考回路は、マスコミの構造であり、思考回路である。つまり民主党のこの体たらくは、マスコミがつくり出したとも言える。 
 
★マスコミの最大の洗脳とは、この「否定の論理」という思考回路の伝播であり、民主党のみならず全国民的に、否定の思考回路を植えつけられてしまっているのではないか。しかし、否定だけでは何も実現できないことは民主党が証明した通りである。 
 
 今ほど「実現の論理」(=実現基盤の発掘)の提起と伝播が求められている時代はない。

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米国の圧力と戦後日本史25 
~安倍政権の意図は何か?アメリカがTPPで何を実現しようとしているのか~

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★アメリカ=ロックフェラーが、「TPP締結⇒日米の一体化」を焦るのは、なぜか?
単なる貿易問題の解決で、日米を一体化させる必要はない。いずれ必然的に発生するであろう『ドル暴落』を睨んでの事としか考えらない。
 
『ドル暴落』が現実のものとなれば、アメリカの貿易は停止状態に追い込まれ、アメリカの全産業が崩壊する。失業率は大幅に悪化し、ハイパーインフレから食糧を巡る暴動が発生するだろう。一部では、殺し合いの内戦状態に入るはず。軍隊やFEMAが鎮圧に乗り出すだろうが、忠誠を尽くす様な”国家(観)”がある訳ではないから、最終的には軍も大衆も地域ごとに分裂することによって、何とか安定することになると考えられる。
 
人口減や生産基盤の破壊などのダメージは大きいものがある、これらの結果生じる「ドル安・労働賃金安」という状態は、工業生産国として復活する上ではまたとないチャンスとも言える。
 
問題は、本社機能がアメリカに存在する場合には、暴徒や軍に襲われてしまう危険性が高いという点。だから、『もし本社機能を避難させておくことが出来れば』このシナリオは実現性を帯びる事になる。
つまり、米企業の本社機能が日本に移転している状態で、
・アメリカでドル暴落に伴うインフレ→暴動
・米軍やFEMAによる鎮圧→秩序回復
・ドル安及び労働賃金が下がったところで、工場を建造し、工業生産を回復させる  
 
この手順を取れば、(現在の中国がそうであるように)通貨安及び低賃金を背景に、工業生産を伸ばす事は可能だということになる。そこに環太平洋の資源国家の豊富な資源も付いてくる。しかも、アメリカの借金はほとんどチャラの状態。
 
つまり、「逃避先としての日本」が確固たるものであれば、米ロックフェラーはドル暴落を恐れる必要がないし、何なら自らその引き金を引くことすら視野に入ってくる。
  
つまり、アメリカ=ロックフェラーがTPP締結で狙っているのは、「貿易拡大のため」でも「延命策のため」でもなく、「ドル暴落に備えた逃避先を確保するため」だということになる。 
 
このシナリオの方向で、アメリカが動くなら
・アメリカ企業の、実質的な本社機能が日本に移転してくる。
 (もしくは、サブとしての本社機能が日本に設立される)
・それに伴って、日本企業の合併・統廃合が進む。
・さらに、それら企業の利益を最大化するために、日本の法人税率が下げられる
 (最終的には、日本が特殊なタックス・ヘイブン地域となる可能性がある)
ということになる。
 
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米国の圧力と戦後日本史26 
~TPP→グローバリズム・バブルの影で、共同体企業のネットワークが拡大していく~

グローバリズム・バブルを冷静な目で見ている中小企業(の経営者)は、大企業経由の仕事を受注する一方で、それがいつか打ち止めになることを見越して、「その次」を考え始めています。具体的には、バブルが崩壊した後も生き残っていくための基盤作りに着手し始めることになります。
 
すなわち、
・いかなる状況に置かれても、生き残っていける組織作りを志向し、
・さらに、同じような集団との連携を強める

ことになります。
 
「いかなる状況に置かれても、生き残っていける企業」には、様々な形が考えられます。仕事のポジションを見直す企業もあるでしょうし、異業種に参入する企業もあるでしょう。
 
しかし、どのような形を取るにせよ重要になるのは、
・いかなる状況でも、その状況を読み解き、突破口を見つける武器=概念装置

・どんな状況でも、突破口を開こうとする社員の意識や繋がり

です。
 
これは、多数の中小企業が『共同体的な企業』を志向する事を意味します。現在は、先見の明がある企業が先行している状況ですが、グローバリズム・バブルの崩壊→大企業の没落が顕在化するにつれ、級数的に増加するはずです。
 
また、自企業が共同体化に向けて組織改革に着手したとしても、それだけでは生き残っていく基盤になりえません。将来的な事業展望などを考えても、発展性はありません。ですから、同じような志向性を持つ企業同士の連帯が強まっていくはずです。これは、今までのような「経済取引を前提とした企業関係」とは全く違う、「助け合いを前提とした企業関係」となります。そのような『共同体企業のネットワーク』が、裾野を広げていくでしょう。既にその萌芽は、至る所から出始めています。

List    投稿者 kichom | 2013-08-13 | Posted in 03.アメリカの支配勢力と支配構造No Comments » 

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