2022年09月12日

【企業を強くするには?】「想いを言葉にできなくなった若者たち」の心の声を開く

いま、多くの日本企業の「組織風土」が著しく劣化し、活力を失い、沈滞している。だからこそ企業がこぞって社員の活力上昇・活性化・モチベーション向上などの施策に頭を悩ませている。どうして日本企業はこのような状態になっているのか。

様々な要因が複雑に絡み合っているのだが、企業の人材育成と日本の教育はひとつながりであると日々感じる。人事職として日々多数の事業部門の人材相談や、教育関連で中高生に関わる両側面から、今の現状を捉えたい。(2013年頃から小中学生の不登校が増加し始めた。その世代が、10年をへて社会に出る新卒社員となる時期になっている、ということも注目点。)

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【1】不安がちな若手社員。かみ合わない上司と部下。

・不安がちな若手社員が増えている。力をつける前に簡単に「辞めたい」となってしまう相談も非常に多いし、社会的には新入社員は3年と持たない状況だ(3割が辞める)。

▶︎参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(平成29年3月卒業者の状況)

・さらにコロナ禍も経てテレワークになったり働く環境の変化で、「適応障害」や「うつ」になってしまう若手社員が多く見られている。

・経団連が2021年に行った職場のハラスメント防止に関する調査によると、「5年前と比べてパワハラが増えた」と答えた大企業の割合は、回答した400社中44%だという。パワハラが増えたとも言えるし、上司部下のコミュニケーションがうまく取れなくなっているとも言える。

 

【2】~しないといけない、でがんじがらめの若手社員。

・そんな彼らの相談から感じるのは、非常にみな素直であり、誰かの期待に応えたい・役に立ちたいという思いは強い子が多いことだ。
・ただ、「期待に応えたいものの、力不足で応えきれない」、「とにかく自分に自信がない」、「こうしなければならない、だから我慢するしかない」、「先輩が忙しそう、だから自分で考えるしかない」と、「~しないといけない」でがんじがらめになっている。

実際にあったのは、こんな事例だった。
「顔色がずっと悪かったので、いま、辞めたいと思っているでしょ?と聞くと号泣。『辞めたいなんて思ってはいけない、そんなことを考えていると社員失格だ、、、と、誰にも言えずに元気が出ないまま頑張っていた』」という。

⇒相談後「うまくいかないことはたくさんあるが、逃げずに前さえ向けば(自分が開きだせば)、自分よりも何倍も自分のことをわかってくれている仲間が必ず助けてくれる。そこに安心して飛び込みたい!」と笑顔になってくれた。彼女は否定的な想いを出せないと抑圧していたのである。

 

出せない毒は身体にまわる

・これらの一番の問題は、相談できないこと。開くことができるだけで、大きく変わる。そのため、自分を責める思い込みの「毒」が身体にまわり、外に出せないまま、心や体調にまで影響して、体調不良や場合によっては、うつのようになってしまう。

・その処方箋は毒を抜くこと=相談で吐き出させること、なのだが、簡単にはうまく行かない。

それはなぜか?

 

【3】自分の気持ちを言葉にできない若手社員、開かせられない先輩社員

・自分の感情や気持ちを言葉にできない子が増えているように思う。
・自分が何を感じていて、何が辛くて、何が楽しくて、が良く分かっていない。「何を思っているの?」と上司は聞くわけだが、本人も分からないので、漠然とした回答をして、それに対して、答えるものの、前に進まないのである。
・とりわけ中高生からSNSを身近に感じてきた世代。周りの評価に非常に敏感になっている。迂闊なことを言えば、炎上する社会の中で、良い子にしておく、周りの迷惑になることをしない、と刷り込まれて、表面的に取り繕うことが自然になってしまっている。(実は、凄く封鎖していることを気づけていない。)
・そもそも、「言葉にできない状態なのだ」を意識して、面談をしないと、「何を考えているか分からない」となってしまって、たくさん言葉を投げかけてしまう。

 

心を通い合わせる面談を

心を通い合わせる面談が重要だ。その心を開く面談のポイントは2つある。

1つ目は、共感を軸とした「心理的安全性をつくること」。

まず、この場は話していい場である、信頼できる関係であるということを伝えることが大事。例えば、辞めたいと思っている人に対して、「辞めたいと思っている?俺も何度も同じ気持ちになったから、よく分かるよ~」と初めに話しているだけで、一気に心を開いてくれるようになる。

逆に「何を考えているんだ?そんな考えではダメじゃないか?こうしても〇〇になるだけだ」と、本人の選択を先回りして否定して、引き留めようとすると、すればするほど、心は固く閉ざしていく。

まず、こちらが頑張りや、考えていることを肯定すること。その上で、本人が、自分自身を許すこと。~しなきゃのメンタルブロックを外すこと。

 

2つ目は、しっかりと聞くこと。考えを理解し、相手の気持ちになって一緒に考えること。

意外と、開かせることが苦手な上司が多いと思う。自分も心を閉ざしてしまうと、心を通わせられなくなる。

私は、面談は60分あるとしたら、40分は聞いている。こう思ったんじゃないか?と気持ちを当てていく感覚。そして残りの20分をスッキリさせて、実際にどうするかの方向性(展望)を示していく。

基本的に、退職したい理由は、

①「人間関係がうまく行かないか、仕事がうまく行かない。」がほとんどです。それを放置していると、
↓↓
②「自分の本当のやりたい事と違う」と考え、理想の働き方・理想の職場を考えるようになります。
↓↓
③そして、「時間・お金・家族・自然」のこれらがないために、それが実現できないと退職の気持ちに至ります。相談されるときは、③の理由を話され、取り付く島もないことが多くあります。

しかし、③の理由だけを捉えていても、本当の想いには気づけません。根っこの部分から、しっかり捉えていくことが重要です。

そして、その根っこを突き詰めると、みな「変わらない現実」が一番の問題になっています。

本質的には、仕事は面白いものでしかないので、そのワクワク感や、何をやってもいいんだ感。想いを実現する、実現できるという意識転換を図っていく(そのような環境にしていく)のが一番。

最終的には一緒につくっていこうと、現実が変わっていく感覚を持ってもらって、相談する側もされる側も一緒に成長していくことが重要なのだと、感じています。

List    投稿者 yamane | 2022-09-12 | Posted in 12.現代意識潮流No Comments » 

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