分断される世界/不確実性を増す経済/共創の企業経営
※ロシア・ウクライナ戦争半年、世界情勢を鳥瞰する視点
http://blog.nihon-syakai.net/blog/2022/09/13801.html
※世界と日本をめぐる論点(戦争・資源・金融・通貨・物価)
http://blog.nihon-syakai.net/blog/2022/10/13913.html
分断される世界
・ロシア-ウクライナ戦況は長期化の様相。この戦争は様々な意味で「世界の分断」を浮き彫りにしている。
・世界は大きく三極の構図。【覇権を維持したい米欧勢力】(資源取引や軍事支援を巡って結束に綻びも見える)、【ロシア・中国が主導する反米欧勢力】(上海協力機構、BRICS、OPEC+、資源国同盟など、拡大傾向)、【その狭間で最大国益を狙う新興国】(インド、トルコ、ASEANなど、戦略的バランス外交と駆け引き)。
・中国情勢では、党指導体制強化、ゼロコロナ締付けと批判誘発も体制強化の一環である可能性、サウジと包括協定などの動き。一方で、膨れ上がる債務、住宅バブル処理等は、中国経済のアキレス腱となっている。
・米国情勢では、不透明な中間選挙、民主主義への疑念、バイデン政権の世界的プレゼンスの低下は否めない。
・日本の政治姿勢は米欧勢力の一員という立場だろうが、企業経営にとっては、コトはそう単純ではない。
まずサプライチェーン構築(セキュリティ含む)の変数が極度に複雑化。脱炭素、パンデミックも関係する。
製造業では、資源、原材料、中間製品をどう確保するか。各国の流動的思惑から貿易制限が一般化し、自由主義的取引の発想では立ち行かなくなる可能性が高い。金があっても買えない、円安で負けるリスクもある。
・正解がない時代を生きる企業経営者に求められる能力は何か。多極化する世界各々の立場に深く同化しつつ、大きな力の流れを先読みし、是々非々で判断するだけの「強靭な思考力」だろう。
(世界には、良し悪しは別として、自分たちと異なる価値のモノサシを持つ人々が、事実として多く存在する。西側の、自由、民主等の価値観を絶対正しいとする思考に依っていては、ビジネスの世界では通用しない。)
不確実性を増す経済
・目下のところ、物価と金利がどうなるかが焦点で、インフレ抑制と金融バブル崩壊の狭間で綱渡りが続く。
2008年リーマンショック以来の金融緩和バブルの後始末をどうつけるか、つけられるのかという問題。
・本質的には、金融勢力≒米欧勢力と、現物勢力≒中国・ロシア主導の反米欧勢力と資源国同盟の力関係。
あるいは基軸通貨ドルはどこまで延命できるか。ただし、金融支配の終焉、もしくは覇権の逆転といっても、ある日突然起こるのではなく、おそらく10年近くかけて推移する、その中長期的な読みが肝心となる。
・企業経営にとっては、通貨価値そのものはコントロールできない問題だが、資産戦略(社員の生活を守る、会社の安定継続)、投資戦略(どこに企業の変異点=成長エンジンを賭けるか)に神経を尖らせる局面が続く。
(企業物価上昇に対して、米欧企業は商品値上げや賃上げへの反応が早いが、日本企業は必ずしもそうでない。デフレマインドだから成長しないといった批判も見かけるが、この構造的相違は別記事で考察したい。)
共創の企業経営
・生き残りを賭けた企業間競争が激しさを増すが、企業経営を巡る世界のコンセンサスも変化している。
・株主資本主義(資本家利益第一)ではなく、幅広い関係者、社員、顧客、取引先、地域、社会の充足が統合軸。
そもそも、その企業は何のために存在し、何のために活動するのか、「企業の存在目的」が問われている。
共認時代の組織統合を体現する企業が、市場においても存在感を高めていくだろう。
・企業が営む事業も、気候変動・自然資産・生物多様性等、人類的課題を良き方向へ前進させることを志向する。
そうした大きな社会課題の解決は、一企業ではたどり着けない、人材結集も設備投資も単体では不可能。
ここに、企業同士が従来の枠を超えて、志のもとに力を合わせる、つまり「共創の時代」の必然性がある。
・今や最大の経営課題は、「社内外共創による変革→新しい価値創造の場づくり+社員の活力づくり」。
人材の活力と思考を解き放つことができるか。この潮流は人材教育の領域に大きな変化をもたらしつつある。
※なぜ共創なのか、本質は何か?
http://bbs.kyoudoutai.net/blog/2022/12/11714.html
※教育50年の変遷と人材育成の未来
http://blog.nihon-syakai.net/blog/2022/11/13960.html
By Yusuke.I
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