2009年09月11日

国家や市場を超える、共同体社会の興隆

『ヤスの備忘録 歴史と予言のあいだ』9月7日の記事「日本に関して3」に興味深い記事があった。紹介させていただきます。
WebBotという仕組みに基づく未来予測とのこと。特にネットで交わされた会話の単語に注目し、それを収集し統計化し、そこからアメリカ人の集合無意識(潜在意識)を読み取り、それを元にして未来を予測(予言)するものらしい。但し、予言の的中を保証するものではないとのこと。
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●経済成長という概念の不可能性
しかし、もっと根源的な問題がある。つまり、そもそも経済成長などということが、日本のみならず世界で可能なのかということだ。コルマン博士は、最近の論文で以下のように述べているが、これは正しい可能性がある。
「現在われわれのいるギャラックティックアンダーワールド(第8サイクル、1999年1月~2011年10月28日)の目的は技術の発展や経済の成長を目的にしたサイクルではないということだ。そうではなく、これまでわれわれの経済システムが矛盾を引き起こしてきた地球環境や他の生物種に配慮する全体的な視点を獲得することのなである。いまメディアの報道はいつこの不況が終わり、成長が回復するのかと持ちきりだし、オバマ政権の政策もその方向に向けられているが、マヤカレンダーから見ると、経済成長などということが今後可能となるのかどうか疑ってかからなければならないだろう」
さらに次のように続ける。
「では経済成長がもはや存在しないとするなら、今度はどのようなシステムが出現するのであろうか?そのように聞くかもしれない。これから起こることは、過去5000年間人類が経験したことにない持続可能な経済への移行なのである。それは、環境と人間とが分裂していないそれこそ高次元のエデンの園のような、いまの時点では把握することはかなり困難状態への回帰であろう。いま持続可能な経済への移行を唱えている世界の指導者はいない。また、経済成長がもはやあり得ないという事実を認識している人もほとんどいない。経済成長が不可能となった現実に直面すると、さまざまな国で絶望した人々による社会不安が増大することだろう。権力的な階層構造の組織は崩壊することだろう。
では持続可能な経済は出現するのだろうか?マヤカレンダーにはこの問いに関する答えはない。なぜなら、それはわれわれが将来行う選択と、どのようなものを創造するかに依存して決まってくるからである」
いま世界経済は金融機危機を克服し、成長軌道に再度戻る可能性も指摘され始めている。だがこれは、アメリカを始め、各国政府の巨額の経済刺激策によって、深刻な恐慌に突入してもおかしくない世界経済が下支えされているからに過ぎない。経済刺激策に息切れが出始めたとき、世界経済はコルマンがいう経済成長が不可能な現実に直面させられるのかもしれない。
もし、そうであるなら、有効な成長モデルを描くことができず、右往左往している現在の日本の姿こそ、世界の将来を先取りした姿かもしれないのだ。とするなら、もしわれわれが日本で公共圏を維持する根源的に新しいスタイルを見いだした場合、もしかしたらこれは世界をリードするシステムになる可能性すらある。

公共圏の低成長型地方分権的維持のシステム
ではどのようなシステムになるのだろうか?それはまだ分からない。だが、一つはっきりしていることは、高度経済成長を前提にした中央集権的なシステムでは公共圏の維持はもはや難しいということである。
少なくとも新しいシステムは、低成長か、または経済成長がほとんど期待できない状況においても、社会が生き残るベースとなる公共圏を安定的に維持できなければならないということだ。
はっきりしていることは、マニフェストで地域主権の強化を打ち出している民主党は、中央集権的システムの限界を理解しており、これを地方分権的システムへと分散化する方向で改革を推し進めようとしているということである。つまり、地方には使途の縛りがない財源を一括して与えるかわりに、公共圏を維持する責任を地方に委譲するというわけだ。

●コミュニティー単位の公共圏
しかし、これを経済成長がほとんど期待できなくなった状態で実施するのである。当然、政府が地方に委譲する財源も大きくはないだろう。限定されたものにならざるを得ない。
すると、公共圏の維持の責任をまかされた地方自治体は、行政サービスをさらに下の市や町にまかせるという具合に、公共圏の維持の単位が最終的には地域コミュニティーまで降りて行くという結果になる可能性が大きい。
むろん、小さな地域コミュニティーに、すべての行政サービスを代行する力はない。とするなら、NPOなどを通して地域住民を積極的に巻き込んだ住民参加型のシステムに最終的にはならざるを得ない可能性が強い。

●民主主義でしか機能しなくなるシステム
これはどういうことかというと、いままで政府が中央集権的に管理していた公共圏の維持が、行政サービスを受ける住民自らの参加で維持されるという、いわば地域コミュニティー全体が村落化したようなシステムになるということだ。おそらくこうしたシステムでは、意志の決定は住民参加の直接民主制になる可能性が大きいのではないだろうか。

●公務員制度改革と新しいシステム
公務員制度の改革は、単に公務員の数が多いから減らすだの、民間との給与の格差が大きいから減らせだのというような単純なものではない。社会が生き残るためには公共圏はなくてはならないものだ。これから中央集権から地方分権、そして地域コミュニティー主体のシステムへと大きく変貌を遂げてゆくはずである。この出現しつつある新しいシステムに合致した公務員制度が必要なのだ。

●新しいシステムはWebbotの「広域自足経済圏」か?
このように見て行くと、一つおもしろいことに気付く。新しいシステムの中核となるこのような地域コミュニティーは、SOCとかBogcomと呼ばれ、Webbot予測が描写する「広域自給自足経済圏)」と非常によく似ていることである。これまでのALTA報告書の中から抜き出して見る。ここで時期の指定があるが、おそらくあまり意味をなさないと思うので無視していただきたい。
・ これらの地域は、既存の資本主義システムからいち早く抜け出た自立可能な共同体の構築に成功したからである。こうした共同体は「ボグコム(bogcom)」と呼ばれるようになる。その成功が賞賛される5つの共同体は1000マイルという、国民国家の独立性を脅かすに十分な規模にまで成長する。2009年秋には国民国家はほとんど国民の信頼を失っており、こうした自給自足的共同体の興隆にはなすすべもない。
・現在の死につつある資本主義システムとはまったく異なる人間主義的な経済のシステムが台頭する。
・革命はアメリカのみならず世界各地に広がる勢いを見せる。一方、EUに属するこれまで低開発諸国とされていた5つの地域が、メディアで成功した地域としてもてはやされるようになる。これらの地域の成功は、それぞれの地域の1000マイルの範囲に及ぶ。
・2009年の秋から2010年の冬にかけて、人々は国民国家の幻想やかつての資本主義システムには見向きもしなくなる。
当初、民衆は政府や権力、そして支配エリートに対して無関心を装う態度をとる。彼らは生活の必要性にしたがい、ただ淡々と資本主義を抜け出た自給自足的なライフスタイルへと移行するだけである。こうした革命には暴力は当初伴わない。
・初めて国境を越えた国際的な自己組織集団(自給自足的共同体)が誕生する。しかしながら影の支配勢力は、こうした自己組織集団を敵対視し、これにテロリストのレッテルを貼ろうとする。
・自給自足共同体としての「自己組織集団(SOCs)」は成功するが、当局は逆にこれを「その場に踏みとどまり社会を再建する行為」として賞賛し、その成功を利用しようとする。当局や主要メディアはこれを、「郊外型農業」「小規模企業」「隣近所の協力組織」などと呼ぶが、そうした名称は政府が作ったものである。その内実は「自己組織集団(SOCs)」だ。

2009年秋にドルが崩壊するにともない、地球的な規模の広域自給自足経済圏(SOC 自己組織化集団)の形成が一気に進む。この最初のものは女性を中核とした共同体である。彼らは、自分たちの家族の健康の維持と食料の確保の必要からそのようなコミュニテーィーを形成する。そして2009年から2010年の冬になるになると、彼らは自分たちの方法が新しい経済システムを作る方法であることに自覚的になる。しかしこの共同体は、男性中心の父性的な原理を信じるイスラム教徒、ユダヤ教徒、モルモン教徒、バプティストなどのような多くのグループによって非難され、弾圧される。だが、非難が激しければ激しいほど広域自給自足経済圏(SOC 自己組織化集団)は世間に知られるようになる。

このようなWebbotが描くイメージは、まだまだ今のわれわれの現実から見ると遠いような気がする。だが、経済成長が困難になりつつあるいま、公共圏を維持するこれまでとは根源的に異なるスタイルが必要になることは事実であろう。それは明治以来の中央集権的な国家像の一大転換を迫るものとなろう。
さらにそれは、コルマン博士のいう「過去5000年間人類が経験したことにない持続可能な経済への移行」という人類史的な動きともシンクロしている可能性すらある。
そしてこうした転換の端緒が、今回の選挙で成立した民主党政権によって切られることになるなら、われわれはまさにいま新しい歴史を作る新しい力の作動を目の前で目撃しているかもしれないのだ。

この記事の論点を一言で言い表すならば、現代は私権時代5000年間を覆す大転換期であり、時代は私権社会から共同体社会に転換しようとしているということであり、そこで新しいシステムが求められているということだろう。
(本郷猛)
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List    投稿者 hongou | 2009-09-11 | Posted in 12.現代意識潮流5 Comments » 

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コメント5件

 ななし | 2010.02.25 22:31

アメリカはまだあきらめてませんよね。
マスメディアを使った小沢叩きをやめませんしね。
トヨタ叩きや円高もその一環だと思います。
最近では、日本の財政危機説を流布し始めましたよね。
マスコミが小泉の息子をやたらと持ち上げるのもそうですしね。
関東学院卒でフリーターやってたようなボンクラが脚光を浴びるのも米国の後ろ盾無くしてはダメでしょう。

 みみー | 2010.02.27 16:44

写真が強烈ですネ。
マッカーサーのかっこいい写真に比べて、ヤングスモール宮沢→放心岸→小泉プレスリー。日本の総理大臣ってかっこ悪いな~、と思わせるのもマスコミ=アメリカの差し金なのでしょうか?

 トッポ | 2010.03.02 19:21

写真が多く楽しい記事ですね。
特にプレスリーの真似をする小泉の写真の横に、民主党の選挙当選風景を持ってくるあたりがなんとも。。。(笑)
アメリカと日本の関係は、主従関係というよりも、アメリカを引き立たせる為のヒールの様な役回りなのかなと感じました。
次の最終回が楽しみです♪

 harima | 2010.03.02 19:59

全学連を主導した共産主義者同盟(ブント)のブントって、面白い言葉ですね。このブントはどのような組織だったのですか、少し解説して頂けませんか。
経済学者・青木昌彦氏もあまり存じ上げていませんが、何だか生き方が岸信介元首相に良く似ていますね。米国に向かう岸伸介元首相の訪米を阻止しようとして、すなわち米国に逆らって豚箱に入ったが、ライシャワー駐日大使の取り計らいでハーバードからスタンフォード大へと留学し、その後米国支配層の庇護の下で、身を処すところはそっくりですよね。

 hermes so kelly bags | 2014.02.02 0:27

hermes freising 日本を守るのに右も左もない | 学者・官僚・マスコミは、かくして骨の髄まで金貸しの手先に成り果てた8 ~「アメリカに食い尽くされる日本」を読んで②~

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