2008年02月28日

コソボ独立-この時期に宣言された意味

2/17、コソボ自治州政府は、セルビアからの独立を一方的に宣言した。
0103KosovoMap.jpg
コソボというとセルビア人にアルバニア系住民が10万人も虐殺されたというんで1999年納豆NATO軍が空爆を仕掛けたんだが、これがまた例によってアメリカの軍事介入の口実のためのデッチアゲというんだが、日本版ウィキペディアではアルバニア系住民は最低1万人は殺されたことになってるが、反体制運動家の巣窟ANTIWAR.COMでははっきりとクリントンによるfraud(詐欺)だと書いてある。
 
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日本だとクライン孝子あたりなんかは30万人虐殺とか書いてるな。30万人が一度に死ぬとどうなるかというのはスマトラ大地震で現代人も理解したと思うんだが、あたり一面が死体で埋め尽くされる。映像メディアの発達した現代、この地球上に30万人の虐殺を隠せる所などあるわけがない。
ポジショントークは置いといて、どちらにしろ2ヶ月も空爆したおかげでNATO軍は無傷な一方で劣化ウラン弾をさんざん打ち込まれたセルビア人とアルバニア人の双方に数千人(8000人とも)以上の死者を出した挙げ句に両方とも難民化して逃げ出して大変なことになった地域がコソボなんだが、結局アメリカのシナリオ通り親欧米のダティッチ大統領が今年2月3日になって選出されて冒頭の独立宣言に至ったというわけでこのタイミングの意味するところが田中宇さんちで書かれてます。

タイミングの悪いコソボ独立
コソボ問題が米地上軍侵攻なしに終わった後、アメリカを単独覇権主義(英イスラエルの傀儡)に戻す新策として「テロ戦争」の構想が、おそらくイスラエルの発案として浮上し、01年の911事件を機に、ブッシュ政権のアメリカは見事に単独覇権主義に戻ったように見えた。
 しかし、単独覇権主義を推進するためにブッシュ政権を牛耳ったはずのネオコンやチェイニー副大統領は、実は多極主義勢力の代理人だった。彼らは、表向きの言動は単独覇権主義、米英イスラエル中心主義だが、実際にやったことは、過激にやりすぎて米英の覇権をぶち壊す行為だった。イラクやアフガンの占領は失敗し、反米反イスラエルのイスラム主義が席巻し、金融危機の対策は稚拙で米英金融覇権の破綻を早めるものだった。ロシアや中国を威嚇するほど、露中は結束し、米英の覇権を壊す方向に動いた。
 ブッシュ政権が終わり、来年から民主党政権に戻った場合、米政府は再びイギリスとまっとうに組む本物の米英中心主義に戻るかもしれない。その先手を打つ意味で、ブッシュ政権は任期最後の1年間に、米英イスラエルの覇権の自滅と、世界の多極化を全力で推進している。
 今回のコソボを独立させる戦略は、その努力の一つである。イスラエルとイスラム世界を戦争させようとするのもその一つだ。英イスラエルが中東を分断するためにテコ入れしてきた北イラクのクルド人勢力が、トルコ軍の北イラク侵攻によって潰されかけているのも、その一つである(米政府はトルコにクルドを潰させている)。
 ブッシュ政権を「隠れ多極主義」とみなす私の分析を荒唐無稽と思う人もいるが、911以来の米政府のあまりにひどい無茶苦茶は、過失と考えるには無理がある。世界では米英中心体制が急速に崩れ、中露が台頭し、多極化が進んでいることは、誰の目にも明らかになりつつある。今年中に米金融とドルの信用崩壊も進み、この傾向はさらに顕著になるだろう。

自分でも荒唐無稽と書いてるんだがブッシュのあまりの稚拙な戦略は鬼畜米英イスラエルの地位を低下させて次の新世界秩序であるところの多極主義に移行するためで、その総仕上げとして米英イスラエルルートを破壊して回ってると言うんだがまあ頷けなくもないくらい使い古された手ではある。
 
もちろん覇権主義の総仕上げというか断末魔じゃないかという見方もあって普通はこっちだと思うんだが例のMDとやらが旧ソ連から独立した国々に重点的に配備する計画があるんだがコソボなんかバルカン半島のど真ん中でロシアのミサイルを防衛するというか喉元にミサイルを突きつけるのに格好の位置なんで、まあそういうわけなんだが。


 
もう一つは最近資源マフィアっぷりが露骨なロシアの天然ガスの欧州への供給ラインがコソボを通ってると言うんでこれの嫌がらせじゃないかという見方もある。逆にセルビアの後ろ盾になってるロシアのガスプロム社はセルビアの石油・電力利権を手に入れたので「コソボ封鎖」が行われる可能性もあるんだがやりすぎるとコソボの欧州傾斜が強まるのでこれはロシアにとってはジレンマだな。
コソボ独立問題とロシア外交 – 水口章:国際・社会の未来へのまなざし
 
いずれにせよコソボは資源が何もないところなので、大国の狭間で泳ぎ回らないと誰からも見捨てられた悲惨なチェチェンと同じ道を歩むしかない。(今調べたらチェチェンの失業率は76%だそうだ)その意味では、独立宣言を世界中に発信してかなりの有力な反応を得たコソボのしたたかさが光ってる。
 
ところで意外なところからコソボを応援する声が上がった。台湾なんだが独立宣言に対してアジアで最も素早く反応して賛意を表明してコソボのHPでも「ありがとうリスト」に台湾の名前が載ったんだが速攻削除されてがっかりしているらしい。
<コソボ>独立承認「国家」リストから削除、台湾外交に打撃―台湾:レコードチャイナ
 
コソボの問題は、日本の問題としては極東地域での台湾をどう位置づけるかという問題に直結する。日中友好条約の非道な宣言で国際社会から転落してしまったのが台湾なんだが人口2000万の台湾と12億の中共のどちらを重視するのかと聞かれたら商売人共の答えは決まっている。もちろん国際政治上は独立を宣言したからといって勝手に独立できるはずはないんだがコソボの独立宣言を受け入れる正当性として上げられてるのがこれだ。
 

1 宗主国の主権が排除され自治政府が機能している
2 地位が確定しないことによって治安情勢の悪化の恐れがある
3 独立による宗主国系住民の人権迫害や文化遺産破壊の恐れがない
4 独立が地域限定的であり他地域の紛争拡大や独立運動の連鎖に繋がる恐れがない

一番大事なのは4だな。どの国だって自国内に紛争地域や独立分派運動を抱えていて触れられたくない部分はある。無いのは日本くらいなんだが、ちなみに町村官房長官はコソボ独立宣言の翌日こんな発言をしている。

町村官房長官は18日午前の記者会見で、コソボ自治州がセルビアからの独立を宣言したことに関し、「日本は伝統的にセルビアとは良い関係にあり、一定の配慮をしなければならないが、一連の経過をかんがみれば、承認する方向だ」と述べ、コソボを主権国家として承認する考えを表明した。
(2008年2月18日11時59分 読売新聞)

アメリカ様の意向に目にもとまらぬ早さで追従することには誰にもひけをとらないのが日本なんだがセルビアと日本が伝統的に良い関係にあったとは初めて聞いたな。こういう時にアメリカに恩を着せたり中共に牽制球を放ったりするのが外交だと思うんだが違いますかそうですか。

List    投稿者 taku | 2008-02-28 | Posted in 09.国際政治情勢の分析3 Comments » 

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コメント3件

 にほん民族解放戦線^o^ | 2008.06.07 2:26

アメリカにとっては、世界的な食糧高騰も飢餓も新たなビジネスチャンスでしかない

            ※画像は日経新聞6/4朝刊より
食糧サミットが閉幕した(msn)。
世界中で食料高騰によって飢える人々が続出する中、「バイオ燃…

 taku | 2008.06.10 22:52

成人に占める肥満な人の割合の国別ランキングです。
http://www.gamenews.ne.jp/img/gn-20071120-11.jpg
メタボだ生活習慣病だと騒いでいますが、日本人の肥満率は世界の先進国で群を抜いて低いみたいですね。
一位はアメリカ、次点はメキシコです。

 hermes handbags navy | 2014.02.03 7:40

hermes courier homepage 日本を守るのに右も左もない | 飢餓はなんで起こる?

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