2009年11月23日

欧州貴族が目指すものは、エリートによる専制か?

11月19日、初代「EU大統領」にベルギーのヘルマン・ファンロンパイ首相が選出された。
これは、「オバマ米大統領宣言『米は太平洋国家』は、欧州勢力の多極化戦略の再開」で紹介した、アメリカがEUではなく、アジア経済圏に組み込まれる動きと連動していると考えられる。
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『ジャパン・ハンドラーズと国際金融情報』 2009年 11月 20日「欧州新大統領は、黒い貴族たちの代弁者」 からの引用。

新しく選出されることが決まった、新欧州大統領(先頃、発効が決まったリスボン条約に規定)のベルギー首相、ヘルマン・ファンロンパイという人物。
この人物を選出することに最終的にゴーサインを出したのは、ビルダーバーグ会議の臨時会合(夕食会)だったといい、この中では、欧州域内の金融機関への統一課税や、グリーンタックスの導入案が話し合われた模様。この夕食会は先週開催された模様で、ここにはダヴィニオン子爵、キッシンジャーらが出席し、ガーディアンの報道では、さながらEU大統領のオーディションのような雰囲気だったという表現が使われている。木曜日のEUサミット(ラインフェルド・スウェーデン首相が司会)と同様に、このビルダーバーグの臨時会合は、非公開で開催されたという。逆に言えば、リークが起きると言うことは、参加者の中(イギリス人か?)に不満を抱いている人物が居たと言うことになるか。
EUの貴族たちは、ベネルクスに中心をおく、古いタイプの欧州連合主導で、新興国である新規加盟国への投資活動を通じて、域内経済を活発化させるという産業政策をとるようだ。この課程で、EU域内住民や金融機関には環境税や金融取引税を課すことで、EU官僚機構を強化すると見られる。これはさながら封建社会の復活だ。一部の利権をもった貴族たちの息の掛かったエコ企業が利益を上げ、新興国に技術を輸出することで利益を得る。域内CDMのような環境政策かもしれない。

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『静かなる細き声』2008年9月8日「帝政欧州」からの引用。

EUについては細かいことは知らないのですが、用があって法律の制定過程を調べてみると、EUにある委員会の中で出された結論を欧州議会が追認して、それにしたがって欧州官僚が細部を詰めて、各国に通達される、という過程を経ているらしい。これって、完全に有司専制ではないのか!?(注:「有司専制」とは、明治政府の藩閥官僚中心・超然主義の政府を批判した言葉。)
欧州議会なんてものは各国から十数人くらいしか選出されていません。解散もありません。ユーロクラット(欧州官僚)はまあただの官僚です。このように、どこまで市民を代表しているのか怪しい人達に、きちんと選ばれた国会議員よりも、分野によっては強い権限を与えるなんてことがあってよいのでしょうか?
どうも欧州は議会制民主主義を捨てて、行政が優越する国家連合を目指しているように思えてなりません。
欧州中央銀行も権限が絶大です。欧州中央銀行の金融政策のせいで、国情に合わせた金融政策がとれず、国債の発行も制限されて経済の不調が増幅されています。国債の発行額まで制限をかけられるようではもはや主権の放棄に近いと思うのですが、欧州の人達はこれに危機感を抱かないのでしょうか。不思議です。
欧州共通の外務大臣を作ろうという話もありますし、こうなるといずれ欧州共通の軍、指揮官、元首となるのは時間の問題なのではないでしょうか。

ヨーロッパでは伝統的に選挙王政・帝政がよいと考えられてきました。だから、皇帝の名はつけなくても皇帝に近い権力者(コンスル)が再び誕生する可能性はありますね。
選挙王政・帝政というのは日本人には少しなじみがないので分かりにくいです。中世ヨーロッパでは、有力者メンバーの間で国のトップを決め、その国々のトップたちの間でヨーロッパのトップ(神聖ローマ皇帝)を決めていました。王位・帝位は基本的には世襲ですが、欠格者と認められれば降ろされて有力者選挙となりました。これは古代ローマ帝国の1世紀から始まり、ゲルマン・スラブの慣習を交えながら中世に確立し、19世紀まで続いた伝統ですね。
また、古代ローマでは王政廃止後長く共和政で、王・皇帝の出現を嫌がったため、コンスルは任期1年でした。終身コンスルに任命されたカエサルやオクタヴィアヌスなどは実質王でも王を名乗らず、別の(いくつかの)称号を名乗りました。
西洋のインペラートル(将軍)に皇帝という中国の言葉を当てたために誤解されやすいですが、本来の意味では、名門の出の軍事司令官が任期自動更新型大統領を兼任したものと思えばよいと思いますね。その任期を1年に限定すれば、コンスル(執政官・統領)と大して変わりません。
皇帝の権力は時代とともに変わり、皇帝よりも教皇のほうが強かったり、皇帝を選出する選帝侯のほうが強い時代もありましたが、常に古代ローマを理想とし続けてきたことには変わりません。名目上は皇帝が各国の王に命令を下せることになっていました。
このような伝統が神聖ローマで1000年、古代ローマ・東ローマから数えれば1900年くらい続き、最近の高々100年程度そうでない時代があっただけです。EU大統領という名でローマのコンスルまたはインペラートルが復活するのは、ヨーロッパの有力者たちにとってはあるべき姿に戻るのだと思っているのではないでしょうか。有力者たちは一種の現代貴族で、日本の2世・3世議員と同様、EU議員の地位もほぼ世襲になるでしょうね。

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つまり、元々ヨーロッパでは有力貴族たちの合議制によって皇帝が選出されており、その下で官僚が差配する体制であった。現在のEUの背後にいる欧州貴族たちの目論みも同じではないか。つまり、民主制を捨てて、エリートたち(貴族と官僚)による専制を目指しているのではないだろうか。
近世に入ると次第に、国王の権力が強化され、中央集権化が進む。絶対王政(君主制)と呼ばれ、王権を支える機能として、官僚制と国王の常備軍が強化される。官僚制と常備軍を養うために、スペインやイギリスをはじめとするヨーロッパ各国の王家は海外植民地支配に乗り出す。重商主義である。
絶対王政の後、市民革命によってヨーロッパは民主制に変わるが、民主制を作り上げたのはブルジョア、つまり金貸しである。そして金貸しは、マスコミを使って大衆の共認(世論)を自らの都合よく染上げた上で、形式上は民主制度に乗っかって国家や社会を支配してきた。それを欧州貴族たちは苦々しく感じていたに違いない。元々は貴族たちの権力であったものを、「主権在民」という大義名分で金貸しによって奪われたのだから。
そして、金貸し支配が終焉を迎えつつある今、欧州貴族たちは民主制を捨て、EUを元々の自分たちの支配体制、エリート(貴族と官僚)による専制へと回帰させようとしているのではないだろうか。
こう考えると、「オバマ米大統領宣言『米は太平洋国家』は、欧州勢力の多極化戦略の再開」で紹介した、アメリカがEU圏には入れてもらえず、アジア経済圏に組み込まれるのもわかる気がする。アメリカにはエリート(貴族と官僚)による専制という伝統がなく、むしろそこから離脱した者たちによって作られた国家である。エリート専制を目指すEUには組み込めない。そういう判断が欧州貴族たちの間で働いているのではないだろうか。
(本郷猛)
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List    投稿者 hongou | 2009-11-23 | Posted in 09.国際政治情勢の分析5 Comments » 

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コメント5件

 匿名 | 2010.06.12 18:06

>戦争屋(D-ロックフェラー)は、何故ここまでしぶといのか? その力の基盤は何なのか?
改めて考える必要があるように思う。
非常に興味があります。ぜひぜひ追求してください。期待しています。

 本郷猛 | 2010.06.12 21:36

匿名さま、コメントありがとうございます。
>非常に興味があります。ぜひぜひ追求してください。期待しています。
ありがとうございます。
来週、続きを投稿する予定です。
期待してお待ちください。

 麗しの名無し | 2010.06.29 18:11

そらだっていい食い扶持ですもんね!!
既得権益なのでしょう!!なんか他に商売かんがえたらいいのに・・・。ドーナツ屋とか・・・。
日本国民がいくら馬鹿だといってもこれ以上騙されるわけにはいきません。

 本郷猛 | 2010.06.30 10:41

麗しの名無しさま、コメントありがとうございます。
>そらだっていい食い扶持ですもんね!!
おっしゃる通りで、戦争屋にとって日本の資金力は最後の命綱で、それを死守するために必死なのでしょう。彼らはそれだけ追い詰められているのだと思います。

 hermes bags britain | 2014.02.03 9:37

hermes uk wiki 日本を守るのに右も左もない | 亀井大臣辞任~戦争屋は、何故ここまでしぶといのか?

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