2008年06月10日

排出権取引という制度が何故生み出されたのか?

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6月9日、福田首相が地球温暖化防止に関する日本の基本方針として、CO2の「排出権取引制度」について「今秋には国内統合市場の試行的実施を開始する」と導入する考えを表明した。
いよいよ日本でもCO2排出権の取引が始まることになりそうですが、この排出権取引制度、はっきり言って「これで本当に地球のCO2排出量が減るの?」という率直な疑問があるわけですが、ちょっと調べてみると、それ以上にこの排出権の取引を巡る新たな市場が生まれようとしていることに気が付きます。
排出権取引というのは、実は地球温暖化対策というのは名目だけで、本当の目的は新市場を生み出すために導入されたものではないのか?
という疑問を元に、排出権取引の起源と歴史を調べてみました。
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どうやら排出権取引の起源はアメリカにあるようです。以下はブログ「自然の摂理から環境を考える」の2007年6/3の記事「IPCCの実態は?」からの引用です。

アメリカは70年後半から酸性雨による環境被害が深刻化しており、10年間にわたる化学調査の結果、二酸化硫黄や窒素酸化物などによる大気汚染が原因であることが判明しました。

90年に修正大気浄化(清浄)法を設け、二酸化硫黄排出権取引を開始させます。これによって、二酸化硫黄が減少するとともに排出権取引という新たな市場を作り出しました。

これは推測になりますが、IPCC設立の導入は、将来的な二酸化炭素の排出権取引を見越したものではなかったのでしょうか?(※アメリカは京都議定書から離脱しましたが、排出権取引制度を主張していました。)
そして、排出権取引の実績をつくるために、自国においてまずは二酸化硫黄排出権取引を開始したように思われます。

ここでIPCCとは?

IPCCは「気候変動に関する政府間パネル」と呼ばれるもので、1988年、国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により、地球温暖化に関する最新の情報や研究の評価を行うため設立されました。

政府間パネル(委員会)という名称が付けられていますが、参加者は政府関係者に限られず、各国の科学者が参加しており、国際的な地球温暖化問題への対応策を科学的に裏付ける組織として、間接的に大きな影響力を持っています。

(中略)

地球環境問題がサミットで取り上げられるようになったのは、1987年のヴェネチアサミットからですが、この時点では中身に突っ込んだものではありませんでした。
気候変動が本格的に取り上げられたのは翌1988年のトロントサミットからです。
そこでは経済宣言の第31項から第33項までが環境問題に充てられています。

特に第33項では、「有害廃棄物の越境輸送に関する合意に向けての国連環境計画(UNEP)の努力も、UNEPと世界気象機関(WMO)の協力のもとでの地球的規模の気候変動に関する政府間パネルの設立とともに、奨励されるべきである。」という一文で、気候変動について言及しています。しかし、サミットにおいては「気候変動の問題は先進国の経済問題である」という認識がありました。

(中略)

トロントサミット後の6月23日に、アメリカの上院エネルギー委員会の公聴会において、NASAのジェームズ・ハンセン博士が「80年代の高温が続く異常気象は99%地球温暖化と関係している」と証言しています。

トロントサミットの宣言やこの証言はアメリカ国民に受け入れられただけでなく、世界中に報道された事が契機となって「地球温暖化」が注目されるようになったようです(参考;『地球温暖化とCO2原因説の起源』)。
そして、これを受けて前段の「IPCC」の設立へとつながっていきます。

なるほど、アメリカの酸性雨対策としての二酸化硫黄の排出権取引が起源のようですが、実はそれが現在のCO2排出権取引の伏線であった可能性があるということですね。
京都議定書に批推していないアメリカが、排出権取引だけを主張するというところを見ても、そもそも自国のCO2排出量を削減する気がさらさらないこともわかります。
だとすると、次にポイントとなるのは、この排出権取引市場が出来上がることによって
誰が儲かるのか?
という点です。引き続きこの点を追求し、排出権取引が決して地球環境のためではないということを明らかにしていきたいと思います。

List    投稿者 hiroaki | 2008-06-10 | Posted in 09.国際政治情勢の分析2 Comments » 

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コメント2件

 ハズレ社会人 | 2008.10.01 8:34

なぜ米金融安定化法案が否決されたのか

オツカレです。
国民に目を向けるのか国に目を向けるのか難しい決断だ。
[ワシントン 29日 ロイター]米金融安定化法案、一部議員の説得で再可決…

 brown hermes bags | 2014.02.01 22:25

hermes uk to austria 日本を守るのに右も左もない | 米金融安定化法案の主要ポイント

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