2017年01月03日

中米経済戦争の幕開け・・・。互いの手の内のカードはどうなっている?

トランプの当選が決まったとき、中国人民日報系のタブロイド紙「環境時報」は、米国に文化大革命起こったと趣旨の社説を掲載したそうである。これは中国人にとっても率直な見方を現しているそうだ。

米国:「アメリカを再び偉大な国に。」
中国:「中華民国の偉大な復興。」

両国のスローガンの背景は、国粋主義的で自民族中心的であり、大衆を味方につけて扇動することを通じて自らの政治的立場を強くするという点で両者は似ている。
今年はその力をもってどう発動し、どの様な展開を見せるのか?

互いの手の内のカードはどうなっているのか?

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習近平のスローガンでもある「中国の夢」。
「中華民族の偉大なる復興」を実現するための地政学的戦略構想である。
中央アジアからヨーロッパ、東南アジアから南シナ海、インド洋、アフリカに至る一帯を中国の影響力下に置くことが優先され、将来的に米国に対抗できる、あるいはしのぐ大国の「夢」を実現するための重要な布石となる。

そして、一帯一路構想を実現するため中国版マーシャルプランと欧米メディアから呼ばれたシルクロード基金が創られるが、これだけでは足りない。
欧州勢も参加するAIIBがシルクロード基金に融資し、シルクロード基金が直接投資を行う窓口となる。AIIBとシルクロード基金については人民元決済が優先される計画で、これにより人民元の国際通貨への道も切り開く狙いだった。
さて、中米間の経済戦争が幕開けようとしているが、この勝負で中国と米国はどんなカードを握っているだろうか。

★中米経済戦争。互いの手の内のカードは?★

(以下引用)
■トランプの人事配置と外交戦略
(中略)
トランプの意識には中米貿易の巨大な赤字があります。中米貿易のアンバランスは、一方的な巨額の不均衡を特徴とするだけでなく、それが30年間も続いており、1985年の39億米ドルから、拡大を続け2015年末には3657億米ドルにまでなって、国際相互貿易の赤字新記録となっています。こうした情勢を、次期米国大統領としてのトランプに気にするなというのは無理です。2001年のノーベル経済学賞受賞者のスティーグリッツはこの状況を「両国間の経常収支の赤字が国民総生産の1.5%を越えると激烈な摩擦が起きかねず、2%を越えると報復行動を引き起こす。もし一方の国が貿易収支で貿易額の25%~30%に達すればそれは政治問題だ」と述べています。

米国はオバマ政府も実は既に中国のダンピングに対して反撃に出ていました。中国の輸出する鋼鉄に対して巨額の反ダンピング税、反補助金税を掛け、中国生産品に対して11回の「関税法337条違反の調査」を発動し、13回にわたって中国をWTO違反で訴えています。つまり貿易戦争を拡大しないという範囲では、米国は可能なことは全てやっているのです。それには中国のWTO加入15周年に際して、中国を市場経済国家と認めなかったことも含まれます。そしてトランプは中国に今後は貿易のルールを守れと警告しているのです。

■トランプの見せたカードの「切り札」はどれ?
では次期大統領トランプの手の内のどのカードが「切り札」になるでしょうか?大体こんなカードでしょう。

・貿易制裁 もし米国へ輸出される中国製品に対する関税を上げるとしたら、効果はこうなりましょう。
もしそれが他に代わりがない、中国製品にしかないものなら、そのツケを払うのは米国の消費者です。もし、代替えのきくものならば、中国製品の競争力は低下して、市場から次第に追い出されるでしょう。「メイドインチャイナ」は基本的にはすべてローテクの労働集中型産品や資源性が強いか、加工程度の低いもので、例えば衣料品や機械と電力設備、鋼鉄、非鉄金属など代替えがきく産品が多く、中国は不利です。中国がやれるのは米国輸出品への関税的な報復措置でしょう。米国の輸出産業の主要なものは情報産業、航空産業、システムエンジニアリングで、結果としてこれらの輸出減少を招きかねません。トランプが直面する反対者は中国ではなく、こうした米国産業です。これらの産業のロビー活動能力は相当に強力です。

(中略)

トランプが中国を「為替操作国家」に認定するために、基準を変えるかどうかはわかりません。「指標」は6つあります。私が興味があるのは1994年以降、米国議会にはときおり、中国を「為替操作国家」に認定すべきだという動議が提出されるのですが可決されたことはありません。この背後にどんな考えがあるのか、もしこの要素が消えてなければ、このカードは「切り札」ではあって、なかなか使えないでしょう。

■中国の手の内の切り札は何?
中国のメディアは今、「中国は最大の勝ち組」から更に「中国は世界の混乱に対するスタビライザー」に進化させて浮かれています。しかしこうした虚構の自賛はただ自分を慰めることが出来るだけですから、やはり中米経済戦争で自分たちはどんな切り札を持っているかを見なければなりません。

・「中国は米国の最大の債権国。肝心な時には切り札になる」
(中略)

・「中国は対外投資の世界第2の大国で、外資導入で中国からの資金がないとトランプの外資導入も上手くいかないだろう」。
(中略)

・中国は「二つのシルクロード計画」(一帯一路) で巨大な生産力を対外輸出しようとしており、トランプの経済政策はインフラ建設を拡大することも含んでいる。中米は供給と需要がぴったり合うはずだ。
(中略)

中米両国の現在のそれぞれのカードから見ると、米国がやや有利か、といったところです。
しかしトランプは米国のボクシングのようなやり方をしていますが、習近平は太極拳のようにこれに応じていますね。つまり「力を借りて相手を打つ」やり方です。トランプは大統領選挙で勝利したとはいえ、各種の反対勢力、例えば民主党、National Committee on United States – China Relations、Kストリートのロビイスト集団、共和党党内の反対派がトランプの対中政策に批判的であり、中には大変激しい反対もあります。米国は三権分立の国家である上に、マスコミという第四の権力もあり、それらはみなワシントンの政治に影響力をもっていますから。
(引用終り)

 

List    投稿者 sin | 2017-01-03 | Posted in 01.どうする?マスコミ支配No Comments » 

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