2014年11月03日

アメリカ情勢1 超大国アメリカの衰退

追い詰められた金貸しの暴走→秩序崩壊の危機(不整合)は、日本だけでなく、世界中の人々が感じている。ロシアも中国もインドも、米軍も金主(王族)も大衆も、この不整合を「何とかしなければ」と考えている。秩序崩壊の原因が金貸しの暴走にあることは明らかである。(国際情勢はどうなる?~金貸しの暴走→秩序崩壊の危機⇒世界的な金貸し包囲網)

マレーシア航空機の2度にわたる事件、ウクライナ軍とロシアの紛争、中東での軍事衝突、日本での福島原発の事故とその後の原発再稼動、安部政権の暴走や日銀の異次元緩和・・・世界で起こっている事件の背後には、追い詰められた金貸しの動きがある。ここでは、1913年のFRB設立以降、金貸し(ロスチャイルドやロックフェラー)の本拠地となったアメリカ本国の最近の動きを探っていく。

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記事構成

第1回 超大国アメリカの衰退

第2回 アメリカのウソ1(9.11のウソ、テロとの戦いのウソ、アメリカが作り出す現代の戦争)

第3回 アメリカのウソ2(自由と民主主義のウソ、グローバリズムのウソ、金融のウソ、TPP)

第4回 アメリカの国内情勢1(金融勢力の動き)

第5回 アメリカの国内情勢2(大衆や米軍の動き)

 

アメリカ情勢1 超大国アメリカの衰退

戦後から1980年頃までは、アメリカは超大国のイメージを歴然と放っていた。豊かな消費生活は、ハリウッド映画と共に世界に伝えられ、羨望の的だった。ソ連という軍事大国はあったが、経済的・文化的な影響力は皆無だった。
その後、日本の経済的台頭、日本バブル、世界のマネー経済化、9.11事件→イラク戦争、サブプライムローン・・・を通じてアメリカのイメージは大分変わってきた。

豊かで、大らかなアメリカというイメージから、交渉でごり押しするアメリカ、アメリカンスタンダードを押し付けるアメリカ、他国に強引に攻め入るアメリカ、裏で何やっているか分からないアメリカ、挙句の果てに孤立していくアメリカ、病んだ国・貧困大国アメリカ・・・・そんな印象が強まってきた。

現在のアメリカの状況を具体的に見ていく。

●借金だらけ
久しくアメリカは三つ子の赤字(政府・経常収支・家計)が膨らみ、ドル暴落が度々ささやかれてきた。そして近年では毎年デフォルト騒ぎが起こっている。ここでは経常収支と政府部門の赤字について見ていく。

①経常収支の赤字。下の図は米国の貿易や取引、海外旅行収支の合計を示す経常収支の累計を示す。特に2000年ごろから急激に累計額が上昇しているのが分かる。07年ごろで6兆ドルに迫る勢い。データが古いが、現在では、もっと金額が嵩んでいることは間違いない。

米負債

 


②政府の借金、米国債
下図は、米国債の発行高ですが、1980年ごろから急増している。しかも米国債を所有しているのは殆どが外国。外国からの借金がどんどん増大しているのが分かる。

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③アメリカの政府債務は5500兆円!(2008年の記事から)
上記①、②の数字はあくまで借金の一部に過ぎない。一般会計の赤字に年金や失業保険、生活保護、医療保険の金額を含めると5500兆円もの借金があるという衝撃的なことが分かっている。

アメリカ連邦政府の借金は5500兆円!まったくもってショッキングな数字だが、米国会計検査院(GAO)によれば本当のことらしい。
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総計$53trillion

一般会計の赤字: $11trillion
ソーシャルセキュリティー:$7trillion
メディケア、メディケイド:$34trillion
その他$1trillion
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※日本も含めて先進国はどこも大量の国債を発行して、借金だらけ。そのもっとも先行しているのがアメリカと日本。これは、アメリカが金貸しの本拠地であること、日本はその本拠地の属国であることと関係がある。彼らが市場拡大させようとした国々(ex中国)の輸出先としてアメリカを使い、そのアメリカの借金補填先として日本が使われているからである。

●国民の貧乏化
借金生活に陥っているのは、国だけではない。多くの国民も貧困や借金に喘いでいる。貧困層へのサブプライムローンが破綻したのは記憶に新しい。
アメリカ国民の状況を見ると、

・新自由主義登場によって失われたアメリカの中流家庭。
・食料配給(フードスタンプ)で生活する人々。
・医療費で生活破綻、急増する無保険者たち
・カード地獄に陥る学生たち。
・経済的に追い詰められ、兵役につくしかない人々。
・一元化される個人情報と国民監視体制。

(参考:「貧困大国アメリカ」

アメリカの状況を一言で言うと、かって世界の憧れの的だった豊かなアメリカンライフを営む中流階級が崩壊したということ。
その一方で、アメリカの超富裕層(上位1%)に冨が集中している。(下グラフ参照)
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☆なぜこのようになってしまったのか?堤未果さんの『 貧困大国アメリカ』では、“民営化と自由化が国内難民と経済難民を生み出した”とレポートしている。アメリカは1980年以降、規制緩和に市場原理→民営化、新自由主義経済こそが正しい、それが世界の進むべき道、グローバル経済のあるべき姿と主張し、実行してきた。これらの動きは、国民の意向が反映されたものではなく、それによって儲けることができる、利益を極大化しようとする金貸しとその傘下の多国籍企業の方針が反映されたものと考えられる。

この結果、多国籍企業の経営者など一部の富裕層に冨が集中し、国家の規制(=保護)を失った一般大衆は経済的困窮に追い込まれやすくなってしまった。

下記グラフに、米歳入に占める法人税の比率を示す。政府の借金が天文学的になり、国民は貧困化している中で、法人税の割合は激減した。その結果その経営者や元締めである金貸しからなる富裕層に冨が集中していった。(この動きは、日本の昨今の動き(消費税を増税しながら法人税減税)と重なる動きである。)

 米法人税

 

●矛盾を解決しようとして導入したバブル

金貸しが行ったのは、一般国民の所得をより引き下げて自分たち超富裕層に富が集中する強欲資本主義(彼らは新自由主義という言葉でそれを隠す)を導入したことだ。一般国民は収入減で消費を削減していくので、新自由主義は必然的に国家経済を縮小させ、市場を縮小させていく。しかし、それでは市場の主:金貸しは困るので、それを補うために金融・不動産などの資産バブルを作り出し庶民に借金させて消費させるしかなかったのだ。
しかし、リーマンショック(サブプライムローン破綻)に見られるように、ついにその資産バブルと借金が限界まで来て新自由主義は破綻してしまった。


●「力の支配」の限界

また、国民の貧困化が進む一方で、近年特にブッシュ政権時代に軍事費を急増させてきた。その軍事費は他国に比べて圧倒的な額(主要国全てを合計した額に匹敵)に上っている。これが莫大な国家財政赤字の元凶になっていることは間違いない。

 

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アメリカが、これほど金を掛けながら躍起に他国に対し、圧倒的に優位な軍事力を維持しようとしているのはなぜだろうか?そしてそれは、効果あるのだろうか?

アメリカはもはや張子の虎でしかない より
張子の虎であると言える理由は、もはや先進国では力の原理は通用しなくなっているにも関わらず、アメリカだけが見せかけの力の原理を頼みにしているという理由だ。根本的には力の原理が衰弱し、序列原理では統合できなくなってしまったという現実を捨象し、自らに都合の良い観念(自由と民主主義⇒強いアメリカ⇒テロとの戦い等)に安直に寄りすがってゴリ押しを図ろうとするという点では、偽者であり、実は張子の虎と言っていい。実効力のない偽者の観念に頼って侵略やゴリ押しを繰り返すから、世界中で反米意識や民族意識が高まるばかりである。

力の原理の衰弱は、日本を含めて先進国共通の構造であるが、アメリカはいち早く豊かさを実現した分、力の原理の衰弱もいち早く顕在化した国であると見ていいだろう。(中略)ブッシュ政権になって、さらに「強いアメリカ」のスローガンは強まったが、実態は、力の原理の衰弱に伴ってアメリカの活力は衰弱する一方である。そもそも、力の原理が衰弱して活力が衰弱する一方である国が、力でゴリ押しできる訳がない。

国内に対しては、露骨な新自由主義→資力支配によって国民を支配し、対外的には軍事力によってゴリ押ししようとするアメリカ(金貸し)。そうして、国民は活力を失い、衰弱し、国際的には民族的反発をくらい(プーチン・ロシアや中南米の反米路線)、国際的に孤立化してきたのだ。


●追い詰められた金貸し

アメリカの孤立化が、誰の目にもはっきりしてきたのは9.11以降だろう。ブッシュによるイラク攻撃には多くのの国が反対した。このあからさまな「力の支配」路線に限界を感じた金貸しは、さらに別の手法を考え出した。

それは、「ステルス攻撃」で脅す方法である。2000年以降、インドネシアや四川、ニュージーランドそして3.11で繰り返された大地震。それに鳥インフルエンザやSARS、不可解な気象、不可解なテロetcが激増している。・・・ニュージーランドや日本は大地震後、TPP参加を表明した。(この手法については詳しくは「アメリカのウソ」シリーズで扱う。)
つまり、「力」による強引な方法は全く変えようとはしないで、ステルス化という方法で、幼稚な騙しの世界に入り込んでいるのがアメリカと金貸しなのだ。現在それもばれてきて、アメリカ支配はいまや不整合だらけ。そしてアメリカに従っている主要国は、完全なポチ政権(安部+官僚)に支配された日本程度で、日本もアメリカと共にに世界から孤立しつつある。

市場は縮小、バブルも効かない。そして力の支配も効かない。・・・それだけ金貸しは、追い詰められているのである。その裏返しが傘下の多国籍企業へ冨を集中させ、企業による直接統治を図るTPPの推進である。

 

●アメリカの延命を支える日本

最後に、このようなアメリカと市場の衰弱で追い込まれた金貸しを支えているのは日本であることを示す。アメリカの1%の金貸しの経営する米国大企業は法人税をまともに払わず、99%の米国民と日本国民に、米国連邦政府の財政を負担させてきたことが分かる。(以下記事)

日本国民の預貯金650兆円が米国連邦政府の財政を支えてきたと知れ!

われら国民は、財務省から、日本政府が抱える日本国民に対する借金総額が1000兆円規模と吹聴されてそれを信じ込まされています。財務省はこれを日本国の借金と国民に宣伝していますが、厳密には、日本政府が日本国民の預貯金から日本の金融機関経由で勝手に借りた借金総額です。この欺瞞的な財務省の財政危機扇動宣伝に国民がだまされて、今回、われらお人好し国民は消費税増税を仕方なく容認するよう洗脳されているわけです。
これに対し、財務省の内情に詳しい、元財務官僚・高橋洋一氏は、日本政府は1000兆円もの借金をしているが、一方、日本には650兆円の対外金融資産があるとばらしています。 周知のように、米ドルは世界基軸通貨ですから、650兆円相当の対外資産は米ドル資産です。

金貸しにとって、日本が命綱であることが分かる記事です。これらの事実がバラされることを金貸しは極度に恐れている。そのために日本のマスコミや政府を強力に支配している。日本のマスコミが、重要な事実を伝えず、洗脳機関と化したのはそのためだ。
逆に言えば、これらの事実を国民に伝えることができれば、金貸し支配は崩壊していく。
そのためにも、どんどんバラしていく。次回、日本のマスコミがひた隠す、「アメリカのウソ」について扱う。

 

 

 

 

List    投稿者 nihon | 2014-11-03 | Posted in 01.どうする?マスコミ支配, 09.国際政治情勢の分析No Comments » 

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