2021年09月30日

【世界の力を読み解く】~恒大集団倒産は中国にとって危機なのか?~

以下の記事で中国に注目する理由は詳しく述べていますが、すでに中国は米欧に負けない強国となっており、むしろ中国の方が優位と言える状況にあります。

欧米民主主義の終わり(近代観念に頭をやられている日本)

中国はその地位をより確かなものにするために色々な国策を実行しており多くの動きを見せています。

特にここ最近では中国最大手不動産会社である恒大集団の動向が注目されています。
マスコミでは中国バブルの崩壊により、中国が大打撃を受けるというような報道が多くされていますがそれは本当なのでしょうか?

中国の動向を踏まえて本当の狙いを考察していきたいと思います。
中国集団

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〇習近平の国策は徹底して国家主導の国を目指している
一度簡単に戦後中国の歴史を振り返っておきます。
1970年代までの毛沢東の時代は、個人生活の領域まで介入するほどに管理を強化した国策を取って、中国人の商人性や身勝手さを消失させようとして失敗しました。

その後の鄧小平路線(1976~2013年)は、中国人の商人制を最大限に開放して経済を発展させるために経済・文化の面で自由放任策をとっていました。この当時は国力がなく欧米に従うしかなかったためにとられていた策とも言えます。

そのような流れを受けて習近平がとった策は国内での独裁制を強めたものでした。それは既に欧米に引けを取らない国力を身に付けている証拠です。

その国力をさらに確かなものにするために、政治でも経済でも自由放任になっていた部分を徹底的に潰して傘下に組み込んでいきました。またそれと並行して架空経済(バブル経済)を潰しての実態経済への移行も進めています。

これが習近平の大きな方針です。それらの方針に沿って行われたいくつかの事例としては以下のようなものがあります。

・大企業を共産党の傘下へ
ネット大企業(アリババなど)の創設者から略奪して共産党の傘下に入れようとしています。米では膨大な個人情報を握るネット大企業を軍産としていたことを踏まえて、スパイの疑いのあるネット大企業の創設者を追い出しています。

また、中国企業に対しては中国の貧富格差を是正するために「共同富裕」という政治運動を展開し寄付金をもっと出せと圧力をかけています。大企業はこぞって巨額の寄付金を出しており、習近平は貧困層を救っていると人気取りも成功させています。

・海外での株式上場の禁止
米国中心の巨大なQE金融バブルが崩壊する時に、中国が巻き添えにならないように米国からの撤退も着実に進めています。習近平が企業を弾圧するので中国は株価が下がり、中国はもうダメだという意見もありますが、これは意図した政策であるため問題はなく、本当に問題なのではQEバブルをコントロールできていない米国中心の金融システムです。

・メディアの弾圧
文化面ではエンタメ業界の著名人のメディアやネットでの文化面の活動を8月から相次いで規制・弾圧しています。習近平は、文化の廃退を是正すると言いつつ、ファンを集めて共産党をしのぐ権威を持ちかねない党の潜在脅威であるエンタメのセレブたちを党の傘下に引き戻そうとしています。(諸外国の影響を減らす狙いもある)また、ゲームや勉強、アイドルに夢中になりすぎて子供が軟弱になっていることへの対策でもあります。

〇恒大集団の倒産による狙いは?
習近平は架空経済をつぶしたいと思っているので恒大集団の倒産は問題どころか狙い通りという事です。中国政府が恒大を救済しなかったことはむしろ自然の流れにあります。
影響を受けるのは中国政府ではなく、習近平が潰したいと思っている、国内の金持ちと欧米諸国です。実際に米国など世界中で株価の暴落が始まっています。

これまでの流れを見ていくと、メディアが報道する中国の危機というとは真逆で習近平の狙い通りに事が進んでいる事が分かります。

次回は、なぜこのような強気の策を中国は推進していくことができるのかを解明していきます。

by Satoshi

List    投稿者 kurokawa | 2021-09-30 | Posted in 06.経済破局の行方, 09.国際政治情勢の分析No Comments » 

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