「金融破綻の連鎖が意味するものは?」残課題と追加課題
2008年09月18日の記事「リーマン→メリル→AIG~金融破綻の連鎖が意味するものは?」の残課題と一部追加課題を挙げる。
いつも応援ありがとうございます。
★米財務省・FRBが本丸である米住宅公社への救済策を打ち出すことになるが、具体的にどういう救済策がありうるか? その仕組みの調査が必要。FRBの通常の役割だけでは不十分。異常事態に対してどこまでの裏業・禁じ手が打てるのか、想定しながら調べる。
⇒7/26アメリカ議会で可決した「米住宅金融支援法」の中身は?
⇒さらに「金融安定化法案」が検討されているが、その中身は?
1980年代後半に破綻が急増した貯蓄金融機関(S&L)の不良債権買取機関である整理信託公社(RTC)に似た組織を検討しているらしい。
副島隆彦氏の『恐慌前夜』によると、破綻したS&Lの預金者たちに対して、預金額の1/3しか返さなかったとのこと(「1/3戻ってくればいいほうだ」というのがアメリカ人の普通の感覚らしい)。当時の処理の仕組みは?
⇒「AIGの発行済み株式総数の約80%分の株式取得権」が新株予約権であることはわかったが、AIGの株主からの反発もあり、再協議がなされるとのこと。
『Bloomberg.co.jp』「AIG株主:22日に政府救済策の代替案協議へ-株式希薄化に反発」
当初公表された条件では、米政府が79.9%の持ち分相当のワラントを得るに当たり、株主の承認が必要とされていた。ところが、19日遅くに当局に提出された文書では、ワラントや株主投票への言及部分が削除されていた。
FRBとアメリカ政府は一般株主を騙まし討ちにしたに等しいわけだが、株主からの批判に対してどう対応するのか?
★今回のつなぎ融資で息をつけても1週間で化けの皮は剥げる。庶民(年金基金や保険の加入者)は果たして安心できないで、解約が殺到し保険契約金が返ってこないor年金基金に穴が空けば、必ず政治問題化する。
⇒AIGの主要顧客は誰か?(企業?個人?)契約条項はどうなっている?(アメリカの個人家計も金融商品で水膨れさせていて、解約すると赤字が顕在化するので解約できない構造にある?)
★今回破綻しているのは、これまで証券化で利益を上げてきた金融機関。
金融機関の中でも危険度に違いがある。証券化商品の運用から想定した危険度は、投資銀行>証券=保険>銀行?
正確には、各金融機関の特性をナンバー1~2くらいまでに絞って調べる。
★他の金融機関は大丈夫か?
一連の金融破綻から他の金融機関に連鎖する。
AIGはバランスシートに穴が空いたわけだが、証券化商品を大量に保有している全世界の金融機関が同じ危険性を孕む。リーマンの取引先企業が半年前から逃げ出していたという噂から考えて、大規模な粉飾決算をしていた疑い。他のバンカメもゴールドマンもヤバイのでは?
⇒【参考】日本の銀行・保険の投資資産構成がどうなっているか?
重要なのは、銀行や保険の資産構成(どこに投資されているか?)。
それは証券投資に対する法的な規制によって左右される。
●日本の銀行
銀行・証券分離原則は、アメリカの1933年銀行法に遡る。1929年の大恐慌の遠因に証券市場における様々な不正の原因が銀行・証券の兼営になったとの総括に基づくもの。加えて、銀行経営を健全化するために、株式投資の禁止、債権投資の投資適格債への限定という規制を課し、さらに預金者保護のために連邦預金保険制度を創設。これを倣って日本の戦後の銀行・証券分離原則も導入された。現在でも、法的な枠組みとしては銀行・証券分離の原則は維持されているが、80年代以降の規制緩和により、分離原則は空洞化し、両業態の垣根は実質的に解消されつつある。
従来、日本の銀行の資産の大半は企業等への融資が大半だったが、国債や株式などの有価証券への投資が増え、日本の銀行全体では銀行資産に占める有価証券の割合は2割超まで上昇しているとのこと(2003年度末)。その中心は国内債権で、とくに最近では、国債だけで証券投資残高の半分程度を占めている。従って、日本の銀行全体の資産内訳は、融資8割(国内・国外含む)国債1割、その他1割が有価証券といったところで、有価証券のうち半分が国内とすると、5%が国外証券ということになる。
※融資の国内・国外比率は? 国外比率が多い銀行は危ないということになる。
●日本の保険
日本の保険業法では保険金を確実を支払うために、運用対象・運用割合に限度が設けられている。例えば国内株式への投資割合は総資産の30%以内と規制されている。
資産運用の割合として、1970年代には融資(貸付)の割合は6~7割りを占めていたが、金融の証券化が進むとととも有価証券の割合が増え、日本の保険会社全体では2003年度末には有価証券65%:貸付金23%:他12%となり、有価証券へ大きく依存するようになっている。
有価証券投資の内訳は、2003年度末で国債30%:地方債5%:社債15%:株式18%:外国証券28%:その他4%。
海外の有価証券・不動産への投資、海外向け融資は総資産の30%まで認められている。2003年度末の外国証券の投資残高は総資産の18.3%、有価証券のうち28.1%を占めている。現在ではもっと増えているはず。(データは『証券市場読本』米澤康博著 東洋経済新報社)
日本の銀行や保険の規制や資産構成は大まかには以上のようなものだが、アメリカではどうなっている? 日本より規制が小さいはずだが。
日本の銀行や保険は(預金者や保険の保護のために)規制がある分、投資銀行や証券会社よりは安全だと大まかには言えるが、有価証券への依存度が急速に大きくなっておりリスクがどんどん高まっている。これが1980年代の日本のバブル期との違いの一つ。
また、より正確には主要金融機関の個別分析が必要。例えば、三菱東京UFJがモルガン・スタンレーに9000億円の出資、三井住友がゴールドマンに2000億円の出資などといった話を聞くと、とても安全とは思えない。⇒主要な金融機関の公表財務データから推測する必要がある。
例えば、AIGの財務データでは、2007年12月末の投資資産総額は8625億ドルで、サブプライムをはじめとする住宅モーゲージ担保証券の残高は1345億ドル(資産総額の約16%)、米国債・地方債は551億ドル(約6%)となっている。他の主要金融機関はどうなっている?
★それにしてもなんで、AIGだけ助けるのか?
この間、なんでロスチャイルド系の金融機関ばかり救済され、ロックフェラー系のリーマンは潰されるのか? それを先導しているのはポールソン財務長官だが、なんでブッシュ政権でロスチャイルド側の人物が財務長官でいるのか?
★また、ロスチャイルド系のゴールドマンやモルガンが持ち株会社になり、そこが日本の銀行資金で資本増強を図っているのはなぜ?
(本郷猛)
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コメント5件
ネコネコうさぎ | 2008.12.11 18:43
検索エンジンの問題と、後は評価する判断軸が不鮮明なところですね。
だから個々人の人気投票になってしまっている気がします。
この評価形成をどう変えていくかが重要ですね!
Mocky | 2008.12.11 18:51
>なでしこ☆様
現状、ネット上の評価がやはり今のマスコミの問題点と共通なのですが、注目されやすいネタやに飛びつきやすい傾向があります。これはある意味しょうがないのかもしれないですが、事実に基づいた評価が出来ればこの問題も解決されると思います。システム的には改良の余地はたくさん有りそうですね。
>ネコネコうさぎ様
>この評価形成をどう変えていくかが重要ですね!
確かに、みんなが事実に基づいた判断が出来れば、人気投票でも問題ないんですけど、実際それが出来たら苦労しないってわけですよね。
ただ、評価形成をしていく事で事実に基づいた評価する人が増えていけば、ネットももっと変わっていくと思っています。
The Ginyu Force | 2008.12.16 21:03
『検索エンジンの利用回数が,米国では減り始めている。』の記事を読んでみると、アメリカ国内の話で、なおかつ、全体の減少数は2%(10月のみ)程度で、Googleは逆に8.1%増えているとの事。
さらに、アメリカの10月は大統領選挙と金融破綻で、かなり異常な月であった事から考えると、検索サイトの利用が減ったと判断するのは早すぎる。
中途半端な記事を引用するより、むしろ、「検索で本当に欲しい情報は手に入るか?」で素直考えた方が良いのでは?
austria hermes bags | 2014.02.02 15:41
hermes suisse 日本を守るのに右も左もない | 検索で本当に欲しい情報は手に入るか?
なでしこ☆ | 2008.12.11 5:02
これ、同感です♪
ウケを狙ってみたり、過激だったりと、
単なる人気投票の情報は、求めてないんですよね。
『実際、どうなの~?』『どうなってるの~?』っていうことが知りたいです!
そういうサイトが、どんどん増えていくように、発信します☆