2008年10月22日

10/19 なんでや劇場レポート2 ~金貸しの没落=私権原理の終焉~

なんでや劇場レポート1に引き続き、アメリカ金融破綻の行方を追っていきます。
レポート2では、『中~長期的な世界情勢の動き』を予測します。
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アメリカニューハンプシャー州 ブレトンウッズ
1944年の会議はマウント・ワシントン・ホテルで行われた

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■ブレトン・ウッズ2→アメリカの切り捨て
米国の命運を巡って、海の向こう欧州からある大きな動きがあった。
10/15にイギリスのブラウン首相がブレトン・ウッズ2開催を提案したのである。
以下田中宇の国際ニュース解説 2008年10月17日

>この会議は、G7(米英独仏伊日加)+BRIC(露中印伯)+その他の主要国(南アフリカ、サウジアラビア、メキシコなど)が、早ければ11月中に、おそらく米ニューヨークに集まって、金融機関に対する国際的な規制強化などについて話し合い、IMFと世界銀行という、1944年の「ブレトンウッズ会議」によって作られた国際金融機関の体制見直しや、潰れかけている国際貿易交渉であるWTOのドーハラウンドの再交渉体制などを決めようとするものだ。
>重要な点の一つは、ロシアが、英主導の第2ブレトンウッズ会議の開催に賛成していることである。今のロシアと英国は、仮想敵どうしである。露は、対露包囲網を作りたがる米英中心の世界体制が崩壊し、露中などBRIC諸国が、アジアやアフリカ、中南米などの発展途上国を率いて、世界を安定させるという非米同盟的な展開を望んでいる。金融破綻して自滅しかけている米英を、露が助けることは、露が敵視する米英中心体制を延命させてしまう。
>しかし英が、IMFや国連を改革し、露の満足するような非米的な新世界秩序を作ることに同意するのなら、話は別だ。今回、英が主導するEUのブレトンウッズ2構想は、G7とBRICが対等の立場で参加する形になっている。EU議長の仏サルコジ大統領は、今後の国際金融体制を作る際には、先進国以外の諸国の利害も尊重せねばならないと表明している。露としては、他のBRICや途上国を率いて、英が率いる先進諸国と対等に論争し、その上で新たな世界体制が作られるなら、英米中心体制を壊せると考え、ブレトンウッズ2会議の開催に同意したのだろう。
>米覇権の崩壊を見越した新世界秩序作りを提唱したのは、英政府が最初ではない。9月末から10月上旬にかけて、ロシアとEUとの間で、米が展開した単独覇権主義を再現させないための多極的な新世界秩序作りについての話が進んでいた。「第2ブレトンウッズ会議」を最初に提唱したのは、仏サルコジ大統領で、9月26日に仏ツーロンでの講演の中に盛り込まれていた。
>この時、英政府は猛反対し、サルコジ案を潰してしまった。英は、自国が主導しない多極型の新世界秩序には反対だった。
>しかし英は、その1週間後、ワシントンでのG7会議に向けて、唐突に態度を転換し、サルコジ案と似たような趣旨の、全EU的な国際金融救済案をEU内で提案し、同時に英ブラウンは、第2ブレトンウッズ会議を開くべきだと言い出した。
>英はその後、主導権をとろうと動き回り、ブラウン首相は10月15日には、ブラジルや中国などの政府トップに電話をかけまくった。仏サルコジは同日、英が主導権を奪おうとしていることに対抗し、独自の国際金融救済案をEUに提案し、英仏が主導権の奪い合いをしていると報じられた。


以上引用終わり
ブレトン・ウッズ会議とは、1944年に開かれた連合国通貨金融会議であり、この中で
①米ドルのみを兌換通貨とする固定為替相場制
②IMF、世界銀行の創設
が決められ、事実上ポンド覇権(イギリス)の終焉ドル基軸通貨体制が決定された。
今回のブレトン・ウッズ2は、ドル基軸通貨体制という60年間の米国覇権の見直しを迫る会議を意味することになる。
これは、元々は仏サルコジ首相が提案したものだが、G7を主導したイギリスが、金融救済策がわずか1日しか効果が持たないことを見届けると、翌日英ブラウン首相から再度提起された。
ここで重要な視点は、従来アメリカと一心同体であったイギリスがとうとうアメリカは持たないということ見通し、『アメリカを切り捨てる』(注)という判断を下したことにある。ロシアなどは元々英米中心体制の崩壊を画策し、中国やBRIC諸国などと協調して非米同盟的な展開してきたが、遂にイギリスを中心とする欧州主要国もアメリカの切り捨てを認めたのである。

■金貸し規制→金貸しの没落へ
ブレトンウッズ2の提案の中身は、金融規制(監視体制)の強化と言われている。
新ブレトンウッズ体制は、新たな金融秩序への期待感!
これは金貸し規制の強化であり、これが実現すれば金貸しは没落する。
金貸し支配の強いイギリスは金貸しが利権を失わないように当然優位な政策を画策するだろう。他の欧米各国も金貸し(の息がかかった者)が出席することが予想される。
しかし、BRIC諸国は金貸し支配ではないし、中ロは政治が金貸し支配からの独立性が高い。
従って金貸しの思い通りに事が運ぶことはない。
いずれにせよ、ブレトンウッズ2では金貸しと反金貸しの壮絶なせめぎ合いとなる。
しかし、金貸し規制の強化は進み、3~10年後の間には金貸しの没落が明らかになるだろう。世界の民意が反金貸し共認に向かっているからだ。
反金貸し共認の拡がり
そしてその過程で、中央銀行が大量に発行した膨大な国債の利息をどうする?という問題から、利息不要の国家紙幣の発行に転換することになる。
これで、金貸しの存在基盤は決定的に崩壊する。

つまり、中長期的には米ドル基軸通貨の崩壊⇒半年後に多極通貨へ転換(注)⇒それでも破綻で銀行国有化→その1~2年後に国家紙幣の発行という流れに世界は向かう。
その間に世界の民意は大多数が反金貸しに転換し、金貸し規制が法制化されていく。

■金貸しの誤算~貧困の消滅から私権原理の終焉へ
今回の金融覇権闘争の先導役であるD.ロックフェラーの戦略(ロスチャイルド潰し⇒多極通貨体制の設立)はなぜ破綻したのだろうか。
彼の誤算は
①カギを握る日本の支配が中途半端にしかできなかった。
②米大統領選で共和党敗北が明らかになり、それまでに決着をつけるべく勝負に出ざるを得なくなった。
③D.ロックフェラーの想定よりも早く銀行国有化が実行される。そうなるとロスチャイルドはつぶれない。
④ましてや世界共認で金貸しが封じ込められることなど想定外。
と複合的に考えられるが、最大の誤算は、
‘70年貧困の消滅→私権原理の衰弱の必然的帰結としての金貸し支配の終焉を予期できなかったことだ。
70年私権が終焉したにもかかわらず日米で新自由主義政策が強行されたのは金貸し支配によって、人々の意識転換を遅らせていたからである。だが金貸し没落は、私権原理の最終崩壊を意味し、10年後には世界は共認原理に本格的に転換していくことになる。

(注)金貸したちはドルが暴落した場合に備えて、貿易決済の基準通貨として世界の主要通貨のバスケット通貨を構想していると考えられる。この新基準通貨を基準にして各国の通貨の価値が計られることになる。円>ルーブル・元>ユーロ>ドルという順になることは必然。アメリカを切り捨てるという意味は、この貿易決済用の新基準通貨ができれば、その下でドルが下落しても放っておくという意味。
∵ドル基軸通貨に代わる世界共通通貨はいきなりは難しい。通貨を統一するには国債発行権を分配する権限をどこが持つのか?という問題に直面するからである。それができるのは世界政府樹立であるが、現時点では現実的ではない。

(続く)

List    投稿者 andy | 2008-10-22 | Posted in 06.経済破局の行方4 Comments » 

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コメント4件

 ななし | 2009.01.19 11:08

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大岡昇平氏の「レイテ島戦記」に書かれてた事ですが、氏が戦後フィリピンを訪れて聞いた話によりますと
現地の人の植民地支配に対する評価は、「戦前の米国による支配>スペインによる支配>日帝による支配>戦後の米国による支配」
だそうです。
戦後の米国による支配=資本家と結び付いて国民を搾取しまくってた時代が日本による支配より悪かったという事なんですね。
小泉改革を評して日本のサイパン化、フィリピン化だと仰ったのは森田実氏でしたっけ?

 hassy | 2009.01.19 14:00

ななしさん、コメントありがとうございます。
>戦後の米国による支配=資本家と結び付いて国民を搾取しまくってた時代が日本による支配より悪かったという事なんですね。
そうですね。
フィリピンはアメリカにとって、スペインから奪ったアジアで最初の植民地です。1946年の独立後もアメリカの強い支配のもとに置かれ、軍事的にも、冷戦中にはベトナムや中国に対峙する場所として重視されてきました。政治的にも、24議席からなる上院議員や、歴代大統領の多くは、一握りの特権支配層と何らかのつながりを持った人々です。国を支配しているのが農村の地主層であるため、貧困は都会より農村で厳しい、文字通りの「格差社会」です。
これが、現在でもフィリピン政府が「アメリカの植民地政府」と言われている所以です。再度の穀物価格や原油の高騰が起これば、アジアの中でもフィリピンは最も影響を受けるでしょう。そうなったら、国家そのものが崩壊し混乱に乗じて再び植民地支配に陥る可能性もあるのではないでしょうか。

 atomss | 2009.01.20 21:40

記事を読ませて頂き、最後の「トラクターから水牛へ」の部分に一番可能性を感じました。
アメリカ支配の政府の政策とは無関係に、農家は現実的な道を歩み始めているという事でしょうか。
80年代末のソ連の崩壊とアメリカの経済封鎖によって食料危機に直面した、キューバがとった道を彷彿とさせました。
食糧も農薬も機械もガソリンもすべて手に入らない状況に、カストロ政権がとった道は、有機農業であり、国民皆農民化への取り組みでした。都市の公園や空き地を市民の手で農地にし、小学校は急遽農業学校化して、農地となった校庭で子ども達が耕作を行ったそうです。
そして、有機農業を全面的に導入することによって危機を乗り切ることに成功したのです。
トラクターに代えて牛馬(牛馬は食用にはしない)、化学肥料に代えて堆肥(生ゴミ堆肥化やミミズ養殖)という、それまでの大規模農業からの大転換を一気に行ったのです。
待った無しの現実と強い指導者の結果ですが、フィリピンの大きな選択肢であると思います。

 hassy | 2009.01.21 18:52

atomssさん、読んでくれてありがとうございます。
コメントを読んで、キューバとフィリピンとでは社会構造に違いがあるなと思いました。フィリピンの私益しか追求しない大地主やアメリカべったりの指導者層の存在は大きな壁です。
アメリカの凋落によって国家そのものが変質しないと(それぐらいの指導者が登場しないと)困難だと思います。

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