<金融破綻ウォッチング①>ドイツザクセン州立銀行の破綻
サブプライムローン問題で金融世界が戦々恐々としていますが、いよいよ銀行の破綻が表面化してきました。
サブプライムローン問題はファンドと絡んで複雑化しており、発端のアメリカに限らずどこで火の粉が上がるか分かりません。
そんな中、ドイツのザクセン州立銀行が破綻しました。信用度が高かった州立銀行の破綻は市場の不安を増大させるかも知れません。サブプライムローン問題が具体的にどの様な形で世界に波及していくのかを具体的に見ていくことは、今後の金融不安の動向を予測する上では重要かと思います。
そこでまずは、ザクセン州立銀行に関わる直近の報道をまとめてみます。
上の写真は、ドイツ連邦共和国首相アンゲラ・メルケル首相
■独ザクセン州立銀行、30億ユーロのサブプライム関連投資-関係者
8月21日(ブルームバーグ):緊急支援を受けているドイツのザクセン州立銀行は、米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン担保証券に約30 億ユーロ(約4638億円)を投資していることが、事情に詳しい関係者の話で21 日までに分かった。
関係者が匿名を条件に語ったところによると、同行のファイナンス部門のオーモンド・キーは、「AAA」格付けの資産担保証券(ABS)の中でサブプライム住宅ローン担保証券を保有している。オーモンド・キー部門は住宅ローンや商業用不動産、クレジットカード債権を裏付けとする証券に投資している。
信用収縮でファイナンス部門によるコマーシャル・ペーパー(CP)の発行の道が閉ざされ支援を受けたドイツの銀行は、IKBドイツ産業銀行に次いでザクセン州立銀行が2行目。ザクセン州立銀行は17日、オーモンド・キー部門の債務返済に向け、ドイツの国有銀行団から173億ユーロの信用枠を確保していた。
ザクセン州のホルスト・メッツ財務長官は20日の電子メールで、ザクセン州立銀行がオーモンド・キー関連で5億ユーロの損失に直面しているとの「観測」を一蹴(いっしゅう)した。同行はコメントを控えている。
■ドイツのザクセン州立銀行、早期売却の可能性=関係筋 2007/08/25(土) 05:12
関係筋によると、ドイツのザクセン州立銀行(ザクセンLB)の所有者は、同行を早期に売却することを目指している。ザクセン州立銀行は、米サブプライムモーゲージ(信用度の低い借り手向け住宅融資)などで多額の損失を出しており、ドイツの国有銀行団は前週、同行救済を表明していた。
関係筋によると、ウエストLBやノルトLB、バイエルンLB、バーデン・ヴュルテンベルク州立銀行(LBBW)の少なくとも4行が買収に関心を示しているという。ザクセンLBを所有しているザクセン州や地域の貯蓄銀行は、週末にも売却先を決定するという。(ロイター)
■独ザクセン州、州立銀行をバーデン・ビュルテンベルク州立銀行に売却へ 2007年 08月 27日 月曜日 08:26
[ドレスデン(ドイツ) 26日 ロイター] ドイツ東部のザクセン州政府は26日、経営が悪化しているザクセン州立銀行(LB)をシュツットガルトに本拠を置く独州立銀行最大手のバーデン・ビュルテンベルク州立銀行(LBBW)[LBBW.UL]に売却することを決定した。関係筋らによると、売却額は3億ユーロ。今回の売却によってドイツ国内での銀行再編が一歩前進することになる。
ザクセンLBは、米国のサブプライムローン(信用度の低い借り手への住宅融資)や他のリスクの高い債券に絡んだ損失が膨らみ、資金繰りに窮していた。
ザクセン州のスポークスマンは当地で記者団に「政府は全員一致でザクセンLBの州の持ち株を売却することを決めた」と述べた。
同州のミルブラット首相は先に、ザクセンLBはパートナーなしには業務を継続できない状況に追い込まれたと話していた。同首相によると、ザクセンLBはLBBWの子会社として運営され、LBBWは、受け入れ難いリスクがさらに浮上した場合、ザクセンLBを元の所有者であるザクセン州ならびに地域の貯蓄銀行に返却する権利を持つという。
■英バークレイズ、独ザクセンLBのファンド設立を支援 2007年08月27日20時05分
[フランクフルト 27日 ロイター] 27日付の英タイムズ紙(電子版)は、経営が悪化した独ザクセン州立銀行(LB)について、同行の経営悪化の原因となったオフショアファンドの設立を英バークレイズ銀行が支援していたと報じた。
同紙は「ザクセンLBの経営悪化の原因となった複雑なファンドの設計をしたのはバークレイズとみられる。また、バークレイズはLBの投資先に追加担保を要求し、これがLB経営悪化の一因になったもようだ」と伝えた。
同紙によると、ザクセンLBの経営悪化の原因となったオフショアファンド「ザクセン・ファンディングI」(ダブリン籍)は、ザクセンLBとバークレイズ・キャピタルが共同で設立。同ファンドは、米資産担保証券(ABS)に投資していたが、投資資金の調達先だったコマーシャルペーパー(CP)市場の流動性低下で資金繰りが悪化した。
またバークレイズは、ザクセンLBが出資していたクレジット投資専門のヘッジファンドに対し先週、追加担保の差し入れを要求。その後担保の一部を差し押さえた。
この報道に関するバークレイズのコメントはとれていない。
同紙によると、バークレイズに近い筋は、同行が設立を支援した投資ファンドが損失を出しても、バークレイズの損失は最小限に抑えられる見通しだと指摘。またバークレイズは、運用資産の選択や運用自体には関わっておらず、顧客がトラブルに陥ってもバークレイズが責任を問われることはないという。
ザクセンLBは26日、独州立銀行最大手のバーデン・ビュルテンベルク州立銀行(LBBW)[LBBW.UL]への身売りで合意した。
■遂に出てきた・・・・メガトン級!
「ぐっちーさんの金持ちまっしぐら」2007-08-30 18:21:49
恐れていたことが遂におきたというべきか・・・・
SachsenLB Had EU46 Billion in `Secret’ Investments
(最初に見たのはブルームバーグ)
ドイツ、ザクセン州の州立銀行(もちろんAAA)がサブプライムの「秘密投資」(この後の記事にサブプライムと書いてあったが恐らく、サブプライムを仕込んだCDOだと思われる)でなんと460億ユーロの損失!! 約7兆円超・・・・
恐らくザクセンだけとは思えず、他の州立銀行も同じでしょう・・・
このランデスバンクと呼ばれる州立銀行は州に「保証」されているわけではありません。所謂キープウェル、すなわち、経営状況を詳しく観察する権利を州に与えているということで、なぜかAAAが付いています。
これを利用してリバースフローターですとか、様々な仕組み債を日本で販売しています。その総額はちょっと想像できませんね(多過ぎて)。
リバフロのほかに、リバースデュアル、ファーストツーデフォルトなど。所謂円建て仕組み債券の発行体としてはポピュラーなものばかり。ギャランティーはついていないのでこれらはすべてデフォルトでしょう・・・・
日本は関係ないと言っていた人々はまたまたボウズ・・・ということですな。
まだ株価は反応していませんが、これはえらいこと・・・だと思われます。
では!
当初から見ると損失額の情報はどんどん膨れあがって来ています。今のところ実態は不明ですが、日本のバブルの経験からも、開けてみたら巨額な損失だった!、ということは充分考えられます。
ザクセン州立銀行の損失額はべらぼうな額に達している可能性があり、買い取ったバーデン・ビュルテンベルク州立銀行は抱え続けられるのか?受け入れ難いリスクが浮上したとして元の所有者であるザクセン州ならびに地域の貯蓄銀行に返却する可能性もあります。
その場合には、ドイツ政府やドイツ銀行団はどの様な対応をとるのか?また、世界市場の反応は?
様々な仕組み債を日本で販売していた様ですので、日本への影響も懸念されます。
今後どの様な展開となるのかを追っかけてみようと思いますのでお楽しみに!
(なんの展開も無ければ今回限りになりますが、悪しからず・・・)
※紹介記事の「ぐっちーさんの金持ちまっしぐら」は最近よく拝見しているブログで他に出ない現場情報が多く、その信頼性は高い。
次回が楽しみな方はクリック!
(by コスモス)
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