市場論・国家論11.1600~1900(欧米海洋編)近代市場の拡大
新型コロナウイルスによる世界の死者が65万人を超え、5月後半の30万人台から、2カ月で2倍に膨れ上がったとの報道がありました。いよいよ再びロックダウン→株価暴落、奥の院によるアメリカ経済破壊の第2弾に向かっているように見えます。
過去のシリーズ
市場論・国家論7.大航海時代(ポルトガル→スペイン→オラン→イギリス)
市場論・国家論9.オランダ→イギリス 産業資本の興隆と産業革命
市場論・国家論10.1600~1900(欧州大陸編) 武力支配から資力支配へ
に続いて、るいネットより、奥の院の起源と歴史を投稿します。
市場論・国家論11.1600~1900(欧米海洋編)近代市場の拡大
実現塾の要約です。
・他方、海洋では、戦争に明け暮れる大陸を尻目に、(略奪ではなく)殖産興業を戦略の柱とする新しい金貸し勢力(ヴェルフ・ヘッセン)が、技術革新と交易事業によって着々と資力を増大させ、その市場を拡大していった。
彼らは1600年東インド会社設立、1694年中央銀行設立(これはサボイ・デルバンコが主導)と近代市場の基盤を固めてゆき、遂に1700年代半ば産業革命を実現した。この産業革命の真髄は、工業つまり機械化による大量生産にある。機械化によって価格が1/2になれば需要は2倍に拡大する。
しかも、サボイ等による市場拡大の対象が専ら領主や金持ちに限定されているのに対して、機械化による市場拡大は大衆需要を生み出し、言わば無限に増大してゆく。これが19世紀において、イギリス(ヘッセン等)がサボイ等を超えて資力を増大させ、世界の覇権を握ってゆくことになった理由である。
・しかし、この時代は、金持ち需要から大衆需要へと移行してゆく過渡期であり、国内の大衆需要の拡大による儲けよりも、世界中の金持ちを相手にした交易事業の儲けの方が大きかった。(注:但し、あくまでも技術革新によって生み出された交易事業である)
そして、国内及び海外での急速な市場拡大は膨大な資金需要を生み出す。この産業革命(機械化)による市場拡大に必要な資金需要に応えて登場したのが(ヘッセンの金庫番であった)ロスチャイルドである。
・ロスチャイルドは金貸し(金融業)を柱として主要産業を支配することによって、絶大なる制覇力を手に入れていったが、19世紀の世界は、イギリスの世界支配やドイツの興隆にせよ、あるいは中国侵略や日本の革命(明治維新)にせよ、ほぼロスチャイルドが動かしてきたとも言える。
・こうして見ると、1600~1900年は、農業生産を基盤とする武力支配の時代から金融と工業生産を基盤とする資力支配の時代へと移行してゆく転換期であったと言えるだろう。
それは同時に、資力が武力を規定してゆく時代への転換期でもあった。しかし、国家間の最終的な制覇力が武力(軍事力)であることは変わらない。ただ、武力を強化するためには、資力の増大が不可欠になったということである。
・そして、その資力を増大させる(つまり、最も儲かる)事業が、①金融業(信用創造)を母胎にして②略奪業へ、次に技術革新を基盤にした③交易事業へ、更に④工業(大量生産)へと移行していった。それらは全て資力の増大、つまり一番儲かる事業は何か?を動機としている。そして、上記の①②③④こそ、金貸しの力と機械化の力によって近代市場が拡大してゆく過程そのものであった。
・人類史は、100万年以上に亘る共同体社会と、略奪闘争に始まる約5000年間の権力支配の時代に大別されるが、この権力支配の時代は武力支配の時代と資力支配の時代に二分される。その権力支配の転換期が欧州の十字軍遠征に始まる1100年~1900年の時代であり、そこには両時代の全てが詰まっているとも言えよう。
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